『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの追加音楽を手掛けてきた作曲家たち

エイベックス様からのご依頼で、
『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂いたわけですが、
映画も大ヒット上映中だし、
もう少し『パイレーツ・オブ・カリビアン』の音楽について何か書いてみようかなと思ったのでまた書きます。
今回は字数の都合でライナーノーツに書けなかったネタ、
追加音楽(=Additional Music)を担当してきた作曲家を振り返ってみようかなと。

 

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『シンプル・プラン』のイヤ~~な後味再び…。サム・ロックウェル主演作『転落の銃弾』

a single shot

以前、映画音楽家のアトリ・オルヴァルッソンさんと都内某所でお茶した時、
「最近『A Single Shot』(13)って映画の音楽をやったんだけど、これ難しかったわー」と言っていたのですが、
その『A Single Shot』が『転落の銃弾』という邦題でDVDリリースになっていたので観てみました。
サム・ロックウェル主演のスリラー映画です。

舞台はバージニア州の田舎町。
ロックウェル扮する主人公ジョン・ムーンは、
密漁でかろうじて生計を立てているやさぐれハンター。
凄腕ハンターらしいのだけれども(映画後半でその”凄腕”っぷりを見せてくれます)、
森に入って早々、映画開始5分程度で鹿と間違えて若い女性を誤写。
これはマズい、と証拠隠滅を計るべく女性が野宿していた場所を探ってみると、
大金の入ったスーツケースを発見。

父親が経営失敗して実家の牧場を手放し、
幼い息子を連れて家出した妻からは離婚を申し立てられ、
ドン底の生活を送っているジョンは、
短絡的に「カネさえあれば人生やり直せる!」と考えスーツケースをネコババ。
当然そんな胡散臭いカネに手を出してタダで済むわけがなく、
それ以来彼の身辺で不審な出来事が多発する…というお話。

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遅ればせながら祝DSDリマスター盤発売! 『アイアンマン』はストーリーも音楽も1作目が一番好きですの巻

iron man

先週『パーソン・オブ・インタレスト』のサントラ盤のことを書いたので、
今月はラミン・ジャワディ強化月間ということにして、
彼の作品についていくつか書かせて頂きたいと思います。

今回はもうブログタイトルそのまんまなんですけど、
ワタクシ『アイアンマン』シリーズは2008年の1作目が一番好きなのであります。
前も書きましたが2作目はエピソードをいろいろ詰め込みすぎてドラマが浅いし、
何よりミッキー・ロークの扱いがヒドすぎる(特に後半)。
3作目は中国市場を露骨に意識した内容が気になって何だか話に乗っていけない。
その点1作目は、ストーリーが(いい意味で)シンプルで、
キャラクターの行動や性格づけがブレていないのが素晴らしい。

『ダークナイト』3部作のブルース・ウェインや、
『パーソン・オブ・インタレスト』のハロルド・フィンチの系譜に連なる、
「豊富な資金を悪との戦いに注ぎ込む大富豪」というトニー・スタークのキャラはやはり清々しい。
トニーとオバディア・ステインの関係を、
モーツァルトとサリエリに見立てた脚本もいいですね。
オバディアがサリエリのピアノ協奏曲(ラルゲット)を弾くシーンがあるので、
まぁ恐らくそういう解釈で合っていると思いますが。

で、音楽ネタついでにオリジナル・スコアの話になるわけですが、
『アイアンマン』シリーズは1作目がラミン・ジャワディ、
2作目がジョン・ファブロー監督のお気に入りのジョン・デブニー、
監督がシェーン・ブラックに代わった3作目が、
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(13)のブライアン・タイラーと、
続編が作られる度に作曲家が交代しましたが、
やっぱりいま聴いてもジャワディさんの1作目の音楽がベストではないかと確信しております。

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アトリさんのファンタジー・スコアにハズレなし!『シャドウハンター』の音楽がとてもよかったという話

city of bones

タイミング的には『アメイジング・スパイダーマン2』(14)のことを書いた方がいいのですが、
このネタだけはどーーしても書いておきたかったので、
ブログのアクセス数とか検索上位ページに来るかどうかとか考えず、
独断と偏見入りまくりで『シャドウハンター』(13)の音楽について投稿させて頂きます。

何度かインタビューでお世話になっているアトリさん(Atli Orvarsson)が音楽を担当しているということで、
先日MOVIX利府まで『シャドウハンター』を観に行ってきたのですが、
巷の評価はさておき、音楽が大変素晴らしい出来だったのです。
誇張でも何でもなく、「あぁーーわざわざ利府まで観に行ってよかったなぁぁぁ」と思ったほどでした。

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ロックなヘンゼルとグレーテルの音楽はまさに Baroque’n’Roll!!

hansel

TSUTAYAにて『ヘンゼル&グレーテル』(13)のDVDをレンタル。
去年都内某所で一緒にお茶したアトリ(・オルヴァルッソン)さんが、
「あの映画の作曲は面白かったなぁ」
…と言っていたので観てみようかなと。
この映画、結局劇場未公開のままDVDスルーになってしまいましたなぁ。

一時期『不思議の国のアリス』とか『白雪姫』とか『オズの魔法使い』とか、
有名な童話をアレンジして実写化するのがハリウッドでブームになりましたが、
この映画もその時期に作られたもの。
「大人になったヘンゼルとグレーテルは凄腕の魔女ハンターになっていた!」…というお話。
レザースーツに身を包んだヘンゼル(ジェレミー・レナー)とグレーテル(ジェマ・アータートン)が、
ファムケ・ヤンセン率いる魔女軍団とドツキ合いを繰り広げます。

MTV FILMS製作で、
プロデューサーがウィル・フェレルとアダム・マッケイ、
(『俺たちニュースキャスター』(04)などの主演&監督コンビ)
監督のトミー・ウィルコラは元ドラマーという事で、
全編ヒジョーにロックなノリのB級ファンタジー映画に仕上がってます。

 

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