遅ればせながら祝DSDリマスター盤発売! 『アイアンマン』はストーリーも音楽も1作目が一番好きですの巻

iron man

先週『パーソン・オブ・インタレスト』のサントラ盤のことを書いたので、
今月はラミン・ジャワディ強化月間ということにして、
彼の作品についていくつか書かせて頂きたいと思います。

今回はもうブログタイトルそのまんまなんですけど、
ワタクシ『アイアンマン』シリーズは2008年の1作目が一番好きなのであります。
前も書きましたが2作目はエピソードをいろいろ詰め込みすぎてドラマが浅いし、
何よりミッキー・ロークの扱いがヒドすぎる(特に後半)。
3作目は中国市場を露骨に意識した内容が気になって何だか話に乗っていけない。
その点1作目は、ストーリーが(いい意味で)シンプルで、
キャラクターの行動や性格づけがブレていないのが素晴らしい。

『ダークナイト』3部作のブルース・ウェインや、
『パーソン・オブ・インタレスト』のハロルド・フィンチの系譜に連なる、
「豊富な資金を悪との戦いに注ぎ込む大富豪」というトニー・スタークのキャラはやはり清々しい。
トニーとオバディア・ステインの関係を、
モーツァルトとサリエリに見立てた脚本もいいですね。
オバディアがサリエリのピアノ協奏曲(ラルゲット)を弾くシーンがあるので、
まぁ恐らくそういう解釈で合っていると思いますが。

で、音楽ネタついでにオリジナル・スコアの話になるわけですが、
『アイアンマン』シリーズは1作目がラミン・ジャワディ、
2作目がジョン・ファブロー監督のお気に入りのジョン・デブニー、
監督がシェーン・ブラックに代わった3作目が、
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(13)のブライアン・タイラーと、
続編が作られる度に作曲家が交代しましたが、
やっぱりいま聴いてもジャワディさんの1作目の音楽がベストではないかと確信しております。

何よりもまずオーケストラ・サウンドとハードロック調のギターを融合させたサウンドが秀逸。
他のマーベル・ヒーローたちにはない、
“アイアンマン”というキャラならではの「メカっぽさ」や「金属っぽさ」、
そしてトニー・スタークという男の「ポップカルチャーっぽさ」「モダンさ」を表現したナイスな音楽です。
事実上のメインテーマ曲であるトラック1”Driving With The Top Down”の飛翔感とドライヴ感は、
映画の公開から6年ちょっと経ったいま聴いても、全く色褪せておりません。
個人的に好きなのが、ギターロック全開なトラック3の”Merchant of Death”。
ヘヴィなギター唸るアグレッシヴな曲…なのですが、
劇中ではトニーがアウディR8を乗り回すシーンでしか使われなかったのが勿体ない気もします。

 

ランブリングさんが『アイアンマン』のDSDリマスター盤を発売するということで、
ワタクシ僭越ながらライナーノーツを新たに書かせて頂いたのですが、
文字数の都合上書けなかったことが1つありましたので、
この場を借りて補足させて頂きます。

ブックレットのクレジットには”Additional Music and Arrangements”名義で、
アトリ・オルヴァルッソンやローン・バルフ、ライランド・アリソンなど、
リモート・コントロール組の作曲家の名前が5名クレジットされてます。
こう書くと「『アイアンマン』ってジャワディひとりの仕事じゃなかったのか」と思われそうなのでフォローしておきますが、
3年前にアトリさんと会った時にいろいろ話を聞いていたら、
会話の流れで『アイアンマン』の話が出て、
あれはちょっと手伝っただけだったね」と言っていたので、
『アイアンマン』の音楽はほとんどジャワディさんの仕事だと思います。

なおこのDSDリマスター盤も、
ランブリングさんの特設サイトにマスタリング・エンジニア葛巻善郎氏のコメントが載ってますが、
簡単に言うと「もとの音源は音圧上げすぎ!(特に6曲目)」なのだそうです。
なので今回は曲のクレッシェンドがきちんと感じられるように調整したそうで、
「CDから音源をリッピングして波形を見ればよく分かるはず」…とリマスター音源に絶大な自信を持っておられます。

『アイアンマン』1作目のサントラは長らく廃盤状態でしたので、
今回のDSDリマスター盤発売はなかなか嬉しいものがありますね。
これで『アイアンマン』1作目のサントラ盤(=スコア盤)は、
シリーズで唯一日本盤がリリースされたスコア・アルバムになったのでした。
そんな由緒ある(?)作品のライナーノーツ執筆に携わることが出来て大変嬉しく思います。

まぁ『パシフィック・リム』が好きな人は、
『アイアンマン』のサントラも当たり前のようにもう鑑賞済だとは思いますが、
もしまだ聴いていない方がいらっしゃったら、
是非今回のリマスター盤を聴いて頂きたいと思います。
「映画は観たけどサントラはまだ買ってない」という方も、この機会に是非!
3分でボルテージ最高潮になれますぜ(何しろ1曲目がメインテーマ曲なので)。

『アイアンマン』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ラミン・ジャワディ
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2835
発売日:2014/11/19
価格:1,800円(+税)

 

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