アトリさんのファンタジー・スコアにハズレなし!『シャドウハンター』の音楽がとてもよかったという話

city of bones

タイミング的には『アメイジング・スパイダーマン2』(14)のことを書いた方がいいのですが、
このネタだけはどーーしても書いておきたかったので、
ブログのアクセス数とか検索上位ページに来るかどうかとか考えず、
独断と偏見入りまくりで『シャドウハンター』(13)の音楽について投稿させて頂きます。

何度かインタビューでお世話になっているアトリさん(Atli Orvarsson)が音楽を担当しているということで、
先日MOVIX利府まで『シャドウハンター』を観に行ってきたのですが、
巷の評価はさておき、音楽が大変素晴らしい出来だったのです。
誇張でも何でもなく、「あぁーーわざわざ利府まで観に行ってよかったなぁぁぁ」と思ったほどでした。

アトリさんはいわゆる「リモート・コントロール組」の作曲家で、
ハンス・ジマーの作品で追加音楽をいくつか手掛けた後、
2008年の『バンテージ・ポイント』でブレイクした人。
最近は『デビルクエスト』(11)や『第九軍団のワシ』(11)、
『ヘンゼル&グレーテル』(13)など、ちょっとヒネったファンタジー映画への登板が続いていますが、
どの作品のスコアもクオリティ高くて聴き応え満点なのであります。

仮にその映画がB級だったとしても、
アトリさんのクオリティ高い音楽のおかげで映画に箔が付いていることも多々。
『バビロンA.D.』(08)なんてまさにそのパターンだった気がします。

アトリさんの場合、ファンタジーだからといって単に壮大な音楽を鳴らすだけでなく、
楽器の使い方とか、旋律の響かせ方にひと工夫加えてあるのがポイント。
そしてどの作品もメインテーマのメロディーがしっかりしているのが素晴らしい。
『デビルクエスト』の音楽もよかったなぁ。CDリリースされなかったけど…。

 

今回の『シャドウハンター』は主人公がティーン女子ということで、
基本的にメロディーがキレイですね。
メインテーマにあたる「クラリーのテーマ」(アルバム1曲目)も、
ピアノやチェレスタを使って繊細な感じに仕上げております。
で、後の楽曲でこのメロディーを様々なアレンジで反復させてスコアを展開させていくと。
ボーイズクワイアやアトリさんの妹さんのソロ・ヴォーカルも要所で起用して、
センシティブでミステリアスな音楽世界を作り上げています。
トレブル&テナー・ヴァイオル(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の響きも神秘的で、
大天使ラジエルとかルーン文字が出てくる世界観にマッチしたスコアですね。
ときどき聞こえてくるエキゾティックな音の響きも妖しくていい感じ。
(アルバム9曲目のMadame Dorotheaとか)

アクションシーンではオケ+合唱隊にサトナム・ラムゴトラのパーカッションとシンセが加わって、
なかなか荘厳かつ迫力のあるアクション・スコアを鳴らしてくれています。
Trailerheadのアルバムを好んで聴いている方は、
きっとツボにハマる音楽ではないかと思います。
アルバム12曲目のWhere’s The CupなどはTrailerhead好きにはたまらんスコアでしょう、多分。
オーケストラと合唱隊、ソロの生楽器とシンセ・サウンドのバランスが絶妙で、
「ポップ・ミュージック感覚で聴けるオーケストラ音楽」に仕上げているのがいい感じ。
ゲーム音楽世代にも受け入れやすい映画音楽というか何というか。

もしこれの国内盤が発売されていたら、
是非ライナーノーツの仕事をやりたかったなーとも思ったりするわけですが、
Milan Recordsのサントラはもうビクターさんから発売しなくなりましたからね…。
切ないデス。

まぁそれはさておき、『シャドウハンター』のサントラは”買い”です。
特にジマーさんのファンやTralierheadの音楽が好きな人にはオススメ!
…と、Trailerheadの日本独自編集盤のライナーを書いた自分は思うのであります。

 

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