いろいろスゴい『Man of Steel』の音楽

man of steel

ハンス・ジマーの事だから、きっと壮大な音楽なんだろうなーとは思っていたし、
去年の10月頃にベテラン音楽監督のボブさんから、
「いまハンスが隣で曲を作っとるんだが、
今度の『マン・オブ・スティール』(13)の音楽は本当にグレイトだぞ!」
…というようなメールを貰っていたので、期待値は上がる一方だったのですが、
実際にサントラを聴いてみたら確かにスゴかった。いろんな意味で。

 

まず誰もが知ってる「スーパーマンのテーマ」をバッサリ切り捨ててしまう大胆さに驚く。
「『マン・オブ・スティール』は従来の『スーパーマン』と違います」とサウンド面からも宣言したようなものでしょう。
さすがにクリストファー・ノーラン製作でジマーが音楽担当ともなると、
スタジオ側から変なムチャ振りをされる事もないだろうから、
自分のやりたいように音楽を作る事が出来たのではないかなーと思います。

サウンド的には『ダークナイト』3部作系のアレンジと申しましょうか。
重く、静かに、溜めて溜めて溜めてここ一番で一気に盛り上がるあの感じ。
スコアに明確なメロディーやキャッチーなメインテーマを求める人であっても、
このスコアに物足りなさを感じる事はないのではないかと思います。
Disc 1のラストを飾る”What are You Going to Do When You are Not Saving The World?”の終盤の盛り上がりは、
映画を観ていなくてもグッと来るものがありますね。

そして今回最も強烈な印象を残すのは、打楽器を前面に押し出した音作り。
“Drum Orchestra”としてドラマー/パーカッショニストが15人クレジットされてます。
で、そのメンツがまたスゴい。

Sheila E.(プリンスの元秘蔵っ子)
Vinnie Colaiuta(売れっ子セッションドラマー。フランク・ザッパ、スティングなどと共演)
Jim Keltner(ライ・クーダーやポール以外のビートルズ・メンバーとの共演で有名)
John JR Robinson(クインシー・ジョーンズのお抱えドラマー)
Jason Bonham(レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムの息子)
Josh Freese(元ナイン・インチ・ネイルズのドラマー)
Pharrell Williams(やり手プロデューサー。ザ・ネプチューンズ)
Danny Carey(Toolのドラマー)
Toss Panos(マイケル・ランドウやスティーヴ・ヴァイと共演したドラマー)
Curt Bisquera(ザ・ビーチ・ボーイズのアルバム『That’s Why God Made the Radio』などに参加している技巧派ドラマー)
Matt Chamberlain(トーリ・エイモスのサポートドラマー)
Trevor Lawrence Jr.(マライア・キャリー、メイシー・グレイらと共演したドラマー)
Bernie Dresel(ブライアン・セッツァー・オーケストラの元ドラマー)
Ryeland Allison(リモート・コントロール所属のミュージシャン)
Satnam Ramgotra(近年のジマーがお気に入りのパーカッション奏者)

ピンで参加するだけでも豪華ゲスト・ドラマー扱いになりそうな人もいるのに、
これだけのメンツを一度に揃えてしまうジマーの凄さ。
しかもブックレットを見ると、一度に10人のドラマーに叩かせている様子。
(ドラマーに囲まれて指揮?をしているのはジャンキーXL)
ゴージャスにも程があるってもんです。

 

いくつかのスコアで美声を聴かせている女性ヴォーカリストはHilda Orvarsdottir。
恐らくアトリさんが『フォース・カインド』(09)のライナーノーツ・インタビューの時に
「トーヒルドゥア」と呼んでいた妹さんでしょう。
クレジットを見ると、アトリさんは本作の追加音楽とオーケストラ指揮も担当してますね。
チェロはジマー作品でおなじみのマーティン・ティルマン。
まさに鉄壁の布陣。

「ライナーノーツを書くならいろいろ教えてやるぞい」とボブさんが言ってくれていましたが、
残念ながら今回はその機会がありませんでした…。
興味は尽きませんが、ご本人とまたお会いする機会があったらその時にという事で。

 

 

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