数年前、「スナイプスの大運動会」というウェズリー・スナイプス主演作の一挙上映企画がございましたが、
『エクスペンダブルズ３ ワールドミッション』(14)にもウェズリーが出ているので、
『エクスペ３』のサントラ盤を紹介させて頂くにあたって、
「大運動会」というフレーズをありがたく使わせてもらいました。
わざわざこのブログに来て下さっている方には説明不要かと思いますが、
ブライアン・タイラーというのは映画音楽家でございます。
『アイアンマン３』(12)とか『ワイルド・スピード』シリーズとか、
アクション映画の音楽製作を手掛けるアツい男です。
年間４本ペースで映画音楽を担当している彼ですが、
今年も「働き過ぎじゃないか？」というぐらい大作映画に登板してます。
TVシリーズの『Sleepy Hollow』を13エピソード分作曲したかと思ったら、
夏は『イントゥ・ザ・ストーム』(14)、
秋は『エクスペンダブルズ３』（アメリカではこっちの公開の方が先）、
正月第二弾で『ミュータント・タートルズ』(14)、
来春は『ワイルド・スピード』の７作目、
そしてその後には超大作『Avengers: Age of Ultron』(15)が待機中…と、
これらの音楽を全てタイラーが担当しているわけです。
これはもう運動会以外の何ものでもない。
『イントゥ・ザ・ストーム』の音楽が大玉転がしなら、
今回の『エクスペンダブルズ３』は騎馬戦とか棒倒しといったところでしょうか。
何しろ荒くれ野郎共の激アツ・アクション映画でございますから。
過去２作を既にご覧になった方ならイメージが湧くかと思いますが、
今回の音楽もアツいです。
どのくらいアツいかというと、
「アツイゼ アツイゼ アツクテシヌゼェェーー！」
…という某デコゲーの名ゼリフが飛び出してしまうほど。
（ちなみに『ならず者戦闘部隊ブラッディ・ウルフ』というゲームです）
とにかく燃える。そして男臭さ全開のサウンドです。
…などと書いてしまうと、
「場当たり的に鳴らしまくってるだけだろ？」と思われそうなのですが、
そんなことはありません！
『エクスペンダブルズ』はシリーズを通して使われているメインテーマがちゃんとあるのです。
スコアを２，３回聞けばすぐに覚えられるような、
キャッチーかつ男気溢れるメロディーが思う存分楽しめます。
編曲も基本的にフルオケ。
ところどころでロックなギターやドラムスを鳴らしたり、
電子音が鳴ったりもしますが、
何と言っても畳み掛けるようなオーケストラの分厚い音色がたまりませぬ。
予告編音楽アルバムtrailerheadのキャッチコピーじゃないけど、
「２分でボルテージ最高潮！」な音楽がアルバムに全19曲詰まってます。
「俺に燃えるアクション・スコアを聞かせろぉぉ！」という方にはピッタリではないかと。
なお熱いフルオケ・スコアが存分に楽しめる本盤ですが、
２曲ほどスパニッシュ・ギター風味の異彩を放つ曲が収録されてます。
これが誰のための曲か、映画を観た方ならもうお分かりでしょう。
そう、アントニオ・バンデラス扮するガルゴさんですねー。
映画本編でもオイシイ活躍を見せてくれましたが、
サントラ盤でもきっちり存在を主張しているのがステキです。
『エクスペ』の過去２作のサントラ盤には、
ブライアン・タイラーのセルフ・ライナーノーツが載っていたのですが、
今回はタイラーも超多忙だったのか、
ブックレットにライナーノーツが載っていませんでした。
その代わりと言っては何ですが、
国内盤が出なかった過去２作のタイラーさんのライナーノーツを自分なりに読み解いて、
今回の『エクスペ３』で彼がどういう音楽を作り上げることになったのか、
ワタクシなりの分析をしてみましたので、
『エクスペ３』の日本版サントラをお買い求め頂いた際は、
ざざっと目を通して頂ければ幸いです。
いやしかし、ここ数年のブライアン・タイラーの多作っぷりがハンパじゃないので、
「作曲依頼が急増したぶん、１件あたりの仕事が練り込み不足になるのでは？」
…と要らぬ心配をしてしまいましたが、
『イントゥ・ザ・ストーム』といい本作といい、
あるいは去年の『マイティ・ソー／ダーク・ワールド』(13)といい、
どれもしっかりしたメインテーマを聴かせてくれる、
なかなか堅実な仕事をしているのではないかなーと思います。
１作目と２作目のサントラ盤も、在庫があるうちに併せてどうぞ。
ブライアン・タイラーの大運動会・大玉転がし部門、
『イントゥ・ザ・ストーム』のサントラもよろしければ是非！
『エクスペンダブルズ３ ワールドミッション』オリジナル・サウンドトラック
音楽：ブライアン・タイラー
レーベル：Rambling Records
品番：RBCP-2855
発売日：2014/10/22
価格：2,400円（＋税）
