祝DSDリマスター! 今こそ『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』の音楽を再評価しようじゃないか!の巻

tokyo drift

前回「ブライアン・タイラーの大運動会開催中!」とブチ上げたので、
せっかくだから今回もタイラーさんのサントラ盤について書きたいと思います。
今回は大運動会の徒競走部門、
ランブリング・レコーズさんの熱血企画「傑作サントラ50タイトル DSDリマスター再発売」の中から、
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)をピックアップさせて頂きます。

この『TOKYO DRIFT』は公開当時こそあーだこーだ言われましたが、
今となってはシリーズのターニングポイントになった作品だったように思います。
まずシリーズで最も興行成績が低かったにもかかわらず、
監督のジャスティン・リンはシリーズの「顔」になったこと。
まぁこれは「スター不在の続編でよくこれだけ稼いでくれた」ということだったと思われます。
事実『ワイルド・スピード MAX』(09)から『MEGA MAX』(11)、『EURO MISSION』(13)まで、
リンが監督した続編は興行成績も右肩上がり。
ジェームズ・ワンに監督交代した7作目も多分ヒットするでしょう。
リンが友達のサン・カン(ハン役)を出演させたいがために、
シリーズの時間軸がおかしくなった(続編が『TOKYO DRIFT』より前の話になった)のも、
この3作目からでした。

そして音楽の面でのターニングポイントといえば、
『TOKYO DRIFT』から作曲家がブライアン・タイラーに固定されて、
この作品以降のシリーズでスコア盤がちゃんとリリースされるようになったことが大きい。
(ルーカス・ヴィダルがタイラーの代打に立った『EURO MISSION』はスコア盤未発売だったけど)
1作目も2作目も既存のポップ・ミュージックが幅を利かせていて、
BTやデヴィッド・アーノルドのスコアは存在感が全くなく、
「何となく鳴ってるだけ」というぞんざいな扱いを受けていたのですが、
『TOKYO DRIFT』からはオリジナル・スコアを要所できっちり聞かせるようになったのでした。

『ワイルド・スピード』シリーズは毎回ヴォーカルコンピ盤が出るので、
「ヴォーカル盤最高!歌のないスコア盤はつまんねー」的なレビューが某密林サイトなどに投稿されますが、
いやいやいやいや、そういう狭いものの見方(聴き方?)はいかがなものかと。
『ワイルド・スピード』シリーズのスコア盤はほぼロックですよロック!
シリーズの中でも『TOKYO DRIFT』は特にロック指数が高いサウンドでオススメなのであります。
実際、こうしてDSDリマスタリングでリイシューされてるし、
スコア盤の収録曲がバラエティ番組とかスポーツ番組にもよく使われているので、
当時も結構売れたってことなんじゃないかなーと思いますが。

 

シリアスなリベンジ・アクション色が強くなっていった近作に比べて、
『TOKYO DRIFT』の頃の『ワイルド・スピード』は、
「だったら公道レースで勝負だ!」みたいなおバカなノリが健在だったので、
音楽も近作よりもブッ飛んだサウンドになっているのがポイントですね。
ゲスト・ギタリストに元ガンズのスラッシュを呼んできて、
タイラーさんも派手にギターを鳴らしまくり。
ちなみにスラッシュが参加しているのは、
“Mustang Nismo”、”Welcome to Tokyo”、”Sumo”の3曲です。

メインテーマはトラック2の”The Fast and The Furious: Tokyo Drift”ということになるのかな。
オーケストラとロックなエレキギターと和太鼓ビートと打ち込みのリズムが暴れ狂う7分強の大作ですが、
アルバムの最後にわざわざフルオケ版(”Symphonic Touge”)を収録してくれている、
タイラーさんのサービス精神が嬉しい。
初めて聴いた時に『リッジレーサー』のROTTERDAM NATIONを思い出してしまった、
イカレ系テクノ”Megaton”(トラック24)も面白すぎる。
“Sumo”はバラエティ番組でよく使われてましたね。
確か深夜枠だった頃の『お試しかっ!』の「帰れま10」で使われてた気がする。

ゴールドスミスとかモリコーネのサントラと違って、
こういう騒々しいスコア盤をわざわざDSDリマスタリングで聴く価値あるの?と思う方もいるかもしれません。
そこでワタクシはあえて声を大にして申し上げたい。

「大アリです!」と。

ワタクシ旧盤とリマスター盤を聞き比べてみましたが、
DSDリマスタリングで「超立体的三次元サウンド」に生まれ変わった本盤を聴くと、
スコアの中でふんだんに使われた電子音に奥行き感が出て、
前後左右に飛び回る音をめいっぱい楽しめるのです。
いやこれはマジで面白かった。
『TOKYO DRIFT』を再発タイトルに選んで下さったランブリングさんに感謝!ですねー。

 

ワタクシがこの作品にライナーノーツを書かせて頂いたのは、
もう8年近く前になるのですが、
こうしてリマスター盤として再発売されるというのも感慨深いものがありますね。。
ブライアン・タイラーに直撃インタビューが出来たのも思い出深い一枚です。
(ちなみにライナーノーツ原稿はその当時のものがそのまま使われてます)
今度のシリーズ7作目は『TOKYO DRIFT』のエピソードの後からの話になるみたいだし、
本盤を聴き直すにはちょうどいいタイミングではないかなーと思います。
この機会に是非!


『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』オリジナル・サウンドトラック・スコア
音楽:ブライアン・タイラー
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2813
発売日:2014/10/22
価格:1,800円(+税)

 

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