『セブン・シスターズ』のサントラ盤をよりマニアックに味わい尽くすための小ネタなど

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、異色SFスリラー『セブン・シスターズ』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

前回のブログで音楽の概要についてざっくりとご紹介させて頂きましたが、サントラを隅から隅まで味わい尽くしてみましょうかということで、マニアックすぎてライナーノーツでは需要がなさそうだったネタを書かせて頂きたいと思います。

 

『セブン・シスターズ』はアメリカ・イギリス・フランス・ベルギー合作映画で、監督がノルウェー出身のトミー・ウィルコラ、音楽担当もウィルコラ監督の盟友クリスチャン・ウィーバ(ノルウェー出身)ということで、100%ハリウッド産のSF映画とは製作スタッフの顔ぶれもだいぶ違うのですね。

で、その”異色”なテイストは音楽面にも現れておりまして、ウィーバがハードロックバンド「アニマル・アルファ」の元ギタリストというのは前回書かせて頂きましたが、スコアのレコーディングに参加したその他のソロ・ミュージシャンもユニークな顔ぶれが揃ってます。

ウィーバはさすがバンドマン出身らしく、本作のスコアでギターとシンセサイザー、ドラムスを担当していますが、もうひとりピーター・カールセンという人物がギターを弾いています。この方、「Pil & Bue」というノルウェーのロック・デュオのギタリストで、映画のエンドクレジットで流れる”Fire”という曲を歌っているのもこの人(というかこのデュオ)です。

ウィーバはPil & Bueのプロデュースやミキシングを手掛けているので、その線で本作にも参加したものと思われます。なお”Fire”はサントラ未収録なので、曲を別途ご購入頂いて補完して下さいますようお願い申し上げます。

 

あとは本作にアナログシンセの名機Oberheim Matrix-12を持ち込んだカール・マルクス・ザヴォドニーなる人物ですが、フランス人のフロリアン・グリザールDORTMUNDなるエレクトロミュージック・デュオを組んでいるようですね。知る人ぞ知る…というか、日本ではほとんど情報が入ってこないデュオですが。

 

スコアの随所でガランガランとプリペアド・ピアノを鳴らしているエレン・ウゲルヴィークも、ノルウェー出身のピアニスト。プリペアド・ピアノの演奏者としても母国では名が通っている模様。

このように映画のサントラ盤を通して、日本で情報が入ってこないノルウェーのインディーミュージック・シーンで活動するミュージシャンの”仕事”が聞けるというのはなかなか面白いですね。

この映画のサントラでウィーバの音楽が気になったらアニマル・アルファのアルバムを買ってみてもいいと思うし、あるいはウィーバの初映画音楽作品『処刑山 デッド・スノウ』(09)を観てみるのもアリでしょう(劇中でアニマル・アルファの曲も使ってるし)。
あるいは本作のエンドクレジット曲”Fire”が気に入ったら、Pil & Bueのアルバムを買ってみてもいいのではないかと思います。

映画のサントラというのは、普段自分が聴かない音楽と出会うきっかけを作ってくれるものでもありますので、そういう意味でも『セブン・シスターズ』のサントラはなかなか面白いアルバムだと思いますよ。

 

『セブン・シスターズ』オリジナル・サウンドトラック
音楽:クリスチャン・ウィーバ
レーベル:Rambling RECORDS
品番:RBCP-3214
発売日:2017/10/11
定価:2,400円+税

 

 

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