4月のBANGER!!!コラムの補足 – 『クリミナル 2人の記憶を持つ男』の音楽はなぜシンセスコアになったのか

ムービープラスで『クリミナル 2人の記憶を持つ男』(16)の放送があるということで、BANGER!!!で音楽紹介のコラムを書きました。

凶悪犯に“感情”は生まれるのか?『クリミナル 2人の記憶を持つ男』極悪ケヴィン・コスナーの胸熱サスペンス
https://www.banger.jp/movie/76502/

この映画、スコア作曲のブライアン・タイラーがシンセでなかなか面白いことをやっていたので、機会があったら是非音楽をご紹介したいと考えていました。
プレス枚数はそれほど多くなさそうでしたが、サントラ盤は輸入盤で出ていたものの国内盤は発売されず。現在は廃盤になっていて配信でのみ入手可能といった感じです。
そういえばこれだけ豪華スターが共演しているのに、日本での劇場公開規模もそれほど大きくなかったような記憶もあります。面白いのになぁこの映画。

音楽の重要なポイントについてはBANGER!!!のコラムでほぼご紹介しましたが、例によってもう少し補足すべきネタが2,3あるのでブログで書かせて頂きます。

まず本作の音楽がなぜシンセスコアになったのかという件。

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BANGER!!!で書いた『リーサル・ウェポン』音楽コラムの補足的なお話

ムービープラスで『リーサル・ウェポン』シリーズの一挙放送があるということで、
BANGER!!!でシリーズの音楽紹介のコラムを書きました。

クラプトンやスティング、ハリスンらロック界のレジェンドが集結!『リーサル・ウェポン』シリーズは音楽もスゴかった
https://www.banger.jp/movie/74932/

マイケル・ケイメンは自分の好きな映画音楽家のひとりなのですが、2003年に亡くなって約19年の時が経ち、近年は彼の音楽について語られる機会がめっきり少なくなったような気がしました。
そんな中、3月に『リーサル・ウェポン』シリーズの一挙放送があるということで、これはBANGER!!!でケイメンの音楽について書く絶好の機会ではないかと思い、上記のコラムを書くに至ったというわけです。

それにワタクシは何年も前にLa-La Land Recordsから数量限定でリリースになった8枚組完全版サントラを購入したので、これを仕事に活用しない手はないだろうとも思いました。

『リーサル・ウェポン』の音楽コラムを書くに当たって、映画本編をしっかり観直して、毎日のようにサントラ盤を聴きましたが、久々にケイメン×クラプトン×サンボーンのスコアを聴いて、「やっぱりこのシリーズの音楽は面白いな」と実感しました。

『リーサル・ウェポン』シリーズの音楽を一言で表現するなら「ロックなスコア」ということになるわけですが、近年ブライアン・タイラーやタイラー・ベイツ、ハンス・ジマーとその一派が作曲するような「ロックなスコア」とは一線を画するサウンドなんですね。


彼らの「ロックなスコア」が「オーケストラとギター、ドラムスなどのロックサウンドが渾然一体となった音楽」なのに対して、『リーサル・ウェポン』のそれは”渾然一体”というよりも、「ケイメンのオーケストラ音楽とクラプトンのグルースギター、サンボーンのフュージョン系サックスが並列で演奏され、それらが絶妙なバランスで一体感を保っている」という感覚に近い。
それぞれがジャムセッションのごとく奔放に演奏しているのだけれども、バラついた印象がなく、ひとつの劇伴としてきちんと纏まっている感じ。このあたりは編曲の巧さなのでしょう。エリック・クラプトンとデヴィッド・サンボーンの個性の強い演奏を、ここまで上手に使いこなした映画音楽家は、ケイメン以外いないかもしれないと思ったほどです。

さて、BANGER!!!のコラムで書ききれなかった小ネタは以下のような感じ。

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『ギャング・オブ・アメリカ』のBANGER!!!コラムのこと。そしてサウンドトラックアルバムのこと。

先日、BANGER!!!で『ギャング・オブ・アメリカ』(21)の見どころポイントと音楽の紹介記事を書きました。

「殺人組織」を率いた伝説の男!『ギャング・オブ・アメリカ』ハーヴェイ・カイテル82歳の含蓄あふれる名演に慄く
https://www.banger.jp/movie/72445/

普段ならば映画の紹介と音楽の解説は4:6くらいの割合で書くのですが、ワタクシはハーヴェイ・カイテルが大好きなので、今回は個人的な推しのカイテル出演作の話が多めになりました。

学生の頃、「ハーヴェイ・カイテルの出演作にハズレなし」と信じて疑わなかったワタクシは、いろんな映画を観まくったものです。
WOWOWやスターチャンネルの放送作品はもちろん、
ビデオレンタルで観た『バッドデイズ』(97)、
今はなき仙台のシネアートで上映された『スモーク』(95)、
わざわざ恵比寿ガーデンシネマまで観に行った『真夏の出来事』(96)、
大学時代の恩師と物語の解釈を議論した『ルル・オン・ザ・ブリッジ』(98)、
AXNミステリー(だったかな?)で放送されたテレビシリーズ『ニューヨーク1973/LIFE ON MARS』(08)など、どれも思い出深い作品です。

そんなカイテルおじさまも御年82歳。
主演作が日本で劇場公開になるというのはとても貴重なことだし、これを逃したらBANGER!!!でカイテル出演作のコラムを書く機会も訪れないだろうと思い、当方の”カイテリスト”としての矜恃を前面に出して原稿を書かせて頂いた次第です。

カイテルの演技の真骨頂といえば、あの「ファッファッファッ」という独特かつ気風のいい”笑い”と、『レザボア・ドッグス』(91)のラストや『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』(92)で見せた、見ているこちらまで苦しくなってくる”魂の泣き(嗚咽)”の演技。『ギャング・オブ・アメリカ』はその二つが観られるというのが素晴らしいのです。

そんなわけで今度は音楽のお話。

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『マークスマン』のBANGER!!!コラムの補足的なお話

先日、BANGER!!!でリーアム・ニーソン主演最新作『マークスマン』(21)の見どころポイントと音楽の紹介記事を書きました。

麻薬カルテルから少年を守れ!! リーアム・ニーソンの逃避行アクション『マークスマン』 音楽はドラマ『24』の作曲家 | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/70957/

めぼしいことは大体コラムの中で書いたと思うのですが、もう少し補足しておいたほうがいいかなというネタも少しあるので、それについては当方のブログで書かせて頂きます。

音楽担当は『24 -TWENTY FOUR-』(01~10, 14)のショーン・キャラリー。
最近だと『BULL/ブル 法廷を操る男』(16~)の音楽を担当してます。
テレビシリーズの音楽制作をメインに手掛けている方なので、長編映画のスコア作曲は久々になります(当方調べでは8年ぶりくらいだと思います)。

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2021年最後に買ったサントラ盤(『ラブ・アクチュアリー』スコア盤/『クエスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士』)

11月の中あたりから怒涛の原稿締切ラッシュが続いておりまして、ブログの更新が思いっきり滞っております。
毎日のように原稿を書いていると、仕事がひと段落する頃にはブログまで書こうという気がなくなるんですよね…。
とにかく時間がないのでゆっくり映画を観ることもままならず、気分転換にEテレの15分番組を観るのが精一杯という状態。

そんなわけで、最近買ったサントラ盤をご紹介して(…と言っても2枚だけですが)2021年最後のブログにさせて頂きたいと思います。

■その1:『ラブ・アクチュアリー』(03)スコア盤

クレイグ・アームストロングの音楽をこよなく愛するアームストロンガーとしては、映画の公開当時から発売してほしいと思っていた『ラブ・アクチュアリー』のスコア盤。

当初の予定より発売日が延びたということで、クリスマスの日に手に入ればいいネタになったのですが、このアルバムと”おまとめ発送”にしていた某サントラ盤も入荷が延びに延びまくったので、おとといになってようやく手に入りました。。

スコア盤の宿命である「コンピ盤に比べてジャケ写が地味」という件ですが、このアルバムに関して言えばジャケットがリバーシブル仕様になっているのが密かに嬉しい

コンピ盤では数曲しか聴けなかったアームストロングのスコアが60分近く聴けて幸せです。

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