アレクサンドル・デスプラの室内オペラ「サイレンス」を観てきました。

先日お休みを頂きまして、神奈川県立音楽堂で行われたアレクサンドル・デスプラのオペラ「サイレンス」を観てきました。
その2日前にアンスティチュ・フランセ東京で行われたデスプラ様とソルレイ様のトークイベントも観てきたので、2泊3日の東京滞在でした。

川端康成の「無言」を原作にしたオペラということで、かなり難解な内容なのではないかと考えていたのですが、実際に鑑賞してみたら、思ったよりすんなりとオペラの世界に入っていけました。

登場人物が3人で物語が追いやすかったのと、絶妙なタイミングで”語り”が入ったので話を整理しやすかったこと、ミニマルな空間演出と研ぎ澄まされた音楽で、鑑賞中の集中力が途切れなかったことが大きかったのかなと思います。

「サイレンス」の劇中音楽は「登場人物が3人」ということで、舞台も「手前」、「奥」、「スクリーン」の3つだったし、アンサンブル・ルシリンも雅楽の楽器編成の方法に倣っていて、3グループ編成でフルートとクラリネットと弦楽器が3人ずつ(+パーカッション奏者)でした。

デスプラ様は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)でも、4姉妹のために弦楽器4種(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)とピアニスト2人(=手が4つ)という楽器編成の方法を使っていたので、「なるほど」と思いました。ここ最近『若草物語』のサントラを聴いていたのも無駄ではなかったようです。

そんなこんなで終演後、ワタクシ幸運にもデスプラ様に少しお会いできる機会に恵まれました

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MILK BOSSA in MOVIES

先日、いつもお世話になっているフレイヴァー・オブ・サウンドさんから
MILK BOSSAシリーズの最新作『MILK BOSSA in MOVIES』を送ってもらいました。

ちょうどCDを送ってもらった前日が誕生日だったので、何だかサプライズ・プレゼントを
貰ったような感じでちょっと嬉しかったです(ま、これは単なる偶然だったんですけど)。

今回のMILK BOSSAのアルバムテーマは、「映画音楽ヒット・ソングのボサノヴァ・カヴァー」。
「懐かしの(主に80年代の)映画主題歌」を「ボサノヴァ」で聴かせるという、ある意味実に
手堅いというか、いいとこどりのコンセプト・アルバムと言えるでしょう。

収録内容はと申しますと、古いところでは『卒業』(67)の”Mrs. Robinson”(サイモン&ガー
ファンクル)。新しいところでは『バットマン・フォーエヴァー』(95)の”Kiss from A Rose”
(シール)や『ユー・ガット・メール』(98)の”Dreams”(クランベリーズ)など。あとは80年代の
映画主題歌/挿入歌がメインです。

『トップガン』(83)の”Take My Breath Away”(ベルリン)とか『フラッシュダンス』(83)の
“What A Feeling”(アイリーン・キャラ)、『ビジョン・クエスト 青春の賭け』(85)の”Crazy for
You”(マドンナ)、『ネヴァー・エンディング・ストーリー』(84)の”The Never Ending Story”
(リマール)などなど。いやー、この前MTVの「100 Greatest Songs of the 80s」で見た
(聴いた)ようなアーティストの名前が次から次へと出て来て懐かし面白いです。

個人的に注目したのは、Depeche Modeの”Just Can’t Get Enough”(1982年の映画『青い
恋人達』挿入曲)のカヴァー。原曲はバリバリのシンセ・ポップでしたが、ボサノヴァにすると
こうなるのねー、という新鮮さがありました。始めはディペッシュ・モードの曲だと気付かなくて、
「この曲どっかで聴いた事あるんだけどなー。何だったっけ?」などと思ってしまいました。

このラインナップを原曲でまとめて聴くとなると、ちょいとベタで気恥ずかしい感じなのですが、
ボサノヴァ・カヴァーする事によって、コッテリした80年代テイストが絶妙なバランスで中和され、
爽やかな口当たり(耳当たりと言うべきか?)の曲に仕上がっているのがポイント。オシャレです。

まさに「日本の夏、MILK BOSSAの夏」って感じで聴かせて頂いてます。
寝苦しい夜のBGMに最適。

『MILK BOSSA in MOVIES』
レーベル:フレイヴァー・オブ・サウンド
品番:PUCY-1069
定価:2,000円

  

『ディパーテッド』スコア盤のごく私的な思い出話。

今から遡ること2年と数ヶ月前、フレイヴァー・オブ・サウンド様から『ディパーテッド』スコア盤のライナーノーツのお仕事を頂きました。
音楽はデヴィッド・クローネンバーグ作品でおなじみのハワード・ショア。

名作『インファナル・アフェア』(02)のハリウッド・リメイクという事で、オリジナル版を観て男泣きしてしまった自分には不満な点も結構あったりするのですが、それでもこの映画は自分にとって特別な作品なのです。多分、これから先もずっと。

何故かというと、このサントラの仕事でチャーリーさん(Charlie DeChant)とご縁が出来たようなものだからです。

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MILK BOSSA acoustic

先日、いつもお世話になっているフレイヴァー・オブ・サウンドのNさんと電話でお話し
した際、「最近、MILK BOSSAの新作を出したんですよー」という情報を聞きまして、
ありがたい事にサンプル盤を送って頂きました。

まずこの場を借りてNさんとSさんにお礼申し上げます。どうもありがとうございました。

・・・というわけで、「MILK BOSSA」シリーズについて簡単にご説明致しますと、
洋楽のヒット曲を毎回特定のテーマに基づいて、ボサ・ノヴァ・アレンジで心地よく
カヴァーしてしまおうじゃありませんか、という人気企画盤でございます。

1作目は特にテーマがなかったような気もしますが、2作目は「eighties」(ニュー・
オーダーとかシャーデーなど)、3作目は「Marcela(ロベルト・メネスカルの実娘)が
選ぶカヴァー集」、4作目は「AOR」(ボビー・コードウェルとかフィル・コリンズなど)
をテーマに誰もが知っているヒット曲をカヴァーしてきたわけですが、今回は
「acoustic」がテーマとなっておりました。

つまり、カヴァーする原曲もアンプラグドでアコースティックな感じの曲を選んで
みましたという事ですな。

ギルバート・オサリバンの「Alone Again」とか、スザンヌ・ヴェガの「Luka」、ロバータ・
フラックの「Killing Me Softly With His Song」(『アバウト・ア・ボーイ』(02)でネタに
されていた曲です)・・・といえば大体どんな感じがお分かりになるかと思います。

もともとアコースティックな曲なんで、ボサ・ノヴァとも相性抜群。ソフトなヴォーカルと
柔らかいギターの音色が何とも心地よいです。原曲を知っている人は「なるほど、
そういう解釈でカヴァーしたか」と思いながら聴いてみるのもまた一興。

個人的に一番ツボだったのは、ニール・ヤングの「Only Love Can Break Your Heart」
のカヴァーですかね。幸宏さんのカヴァー(「A Day in the Next Life」収録)で何度も
聴きましたし、つい先日もライブ盤「A Night in the Next Life」の完全版で聴いた
ばっかりだったもんでして。「なるほど今回はこういうカヴァーで来たか」と、言ってる
そばから先に述べたような聴き方をしてしまいました。これが音楽ライターの性って
やつなんでしょうか。

何はともあれ、ボサ・ノヴァ好きの方はシリーズごと押さえておきたい一品でしょう。

『MILK BOSSA acoustic』
レーベル:フレイヴァー・オブ・サウンド
品番:PUCY-1068
定価:2,000円