登るも地獄、落ちるも地獄の山登りホラー映画『デッドクリフ(VERTIGE)』

vertige

先週末の夏休み中に実家でマッタリ過ごしていたら、
うちの親から「この映画、結構怖かったからアンタも観てみ」と勧められたので、
フランス製ロッククライミング・ホラー『デッドクリフ』(09)を観てみました。
劇場未公開作かと思ったら、ちゃんと2011年に公開されてるんですね。

クロアチアの山岳地帯へロッククライミングをしにやって来た5人の男女が、
想像を絶する恐ろしい事態に直面してしまうというお話。

まず結論から申し上げますと、当方の予想以上にコワイ映画でした。

何が怖いって、まずロッククライミングの映像が死ぬほどコワイ。
「手を滑らせたり足を踏み外したりしたら即死亡」的な臨場感が凄まじい。
高所恐怖症の気がある人には相当キツイ映像です。
映画を観ている最中、ずっと手のひらにイヤーな汗をかいてました。
で、吊り橋が崩落したり、
崖から落ちそうになったりしつつ何とか絶壁を登ったら、
そこにはもっと最悪なものが待っていたと。
登るも地獄、落ちるも地獄。
詳しいストーリーはネタバレ回避のため割愛しますが、
強いて言うなら『逆ディセント』。
あっちは降りるけどこっちは登るし、登った先にバケモノ的な輩も出てくるので。

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『スマーフ2』のスコア盤でヘイター・ペレイラの職人技を楽しむ

smurfs2

本日は前回のつづき。
『スマーフ2 アイドル救出大作戦!』(13)の音楽について。
作曲は前作に引き続きヘイター・ペレイラの担当。
この方、シンプリー・レッドの元ギタリストでもあります。
1988年から1996年までバンドメンバーでした。

ペレイラの名前はハンス・ジマーの音楽が好きな人なら既にご存じでしょう。
ジマーの『グラディエーター』(00)とか『M:I-2』(00)、
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズの『アンストッパブル』(10)とか、
『サブウェイ123 激突』(09)、『ドミノ』(05)などのスコアでもギターを弾いてます。

 

ギタリストとしてはアクションからシリアスドラマ、ロマコメまで、
幅広いジャンルに起用されているのですが、
「映画音楽家」としては圧倒的にロマコメとアニメ映画が多いのがこの人の特徴です。
『怪盗グルーの月泥棒』(10)とその続編、
『ビバリー・ヒルズ・チワワ』(08)に『おさるのジョージ』(06)、
バンドメンバー役でカメオ出演もしている『恋するベーカリー』(09:ジマーと共作)、
そして『スマーフ』シリーズというラインナップをモノにしています。
シリアスドラマは『ヘイヴン 墜ちた楽園』(04)と、
『Ask The Dust』(06:ラミン・ジャワディと共作)くらいではないかと。

で、今回サントラ盤のライナーノーツを書かせて頂く事になったわけですが、
共通の知人がいたのでペレイラさんにインタビューさせて貰う事が出来ました。
先に結論から申し上げますと、すごくいい人でした。

リモート・コントロール所属アーティストから引っ張りだこの多忙な人なので、
当初の予定より質問の回答が遅れたのですが、
後になって「この前は返事遅れてゴメンな。〆切りには間に合ったかい?」
なーんてわざわざペレイラさんの方から連絡を寄越してくれたりして、
それが嬉しかった…というか、誇張でも何でもなくちょっと感動しました。
『ホワイトハウス・ダウン』(13)のトーマス・ヴァンカーさんもいい人だったけど。

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夏季休業のお知らせ

kickass2_CD

今週末の8/23(金)から翌週8/26(月)までお休みを頂きます。
お盆期間中もずっと仕事していたので、これが遅めの夏休みという事で。
その間にレーベルショップでオーダー頂いた商品は、
27日(火)以降の発送になりますので、何卒ご了承下さい。

夏季休業といえば、
先日La-La Land Recordsが夏季休業に入る前にオーダーした、
『キック・アス2』(13)と『ウォリアーズ』(79)のサントラが届きました。
『キック・アス2』のスコア盤は音楽を手掛けたマシュー・マージソンのサイン入り。
どうやらオーダーのタイミングが先着100名に間に合ったらしいです。

アメリカのボックス・オフィス情報を見た感じでは、
『キック・アス2』が興行面・批評面でもイマイチパッとしない様子。
まぁ続編という事で、ある程度はそういう予想はしてたけど…。

しかしあれですね。
好きな映画はヒットしてもらいたいけど、
安易に続編を作ってコケてもらいたくない。
大ヒットしなければ続編を作られる事はないけど、
好きな映画がヒットしない(たくさんの人に観てもらえない)のは悲しいし、
だからといって大ヒットしてしまうと続編を作られてしまう。
このあたりが非常に悩ましい。

 

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ハンク・アザリアの奮闘に☆2つ半 『スマーフ2 アイドル救出大作戦!』

TheSmurfs2

『スマーフ2 アイドル救出大作戦!』(13)のサントラ盤ライナーノーツを担当する事になり、
7月中旬に内覧試写に行ってきました。

日本語吹替えのみの上映と聞いていたので、
試写も日本語吹替えかなーと思ったら、
何と字幕版での上映で非常に得した気分になりました。
ベテラン声優さんも多数起用している作品なのですが、
主要キャラの声がタレントだったので、まぁそのへんで吹替え版はちょっと…。

ストーリー的には、何というか非常に騒々しいです。
『スマーフ』の原作のマンガもこういうノリなのでしょうか。
(たぶん脚色の段階でかなりアメリカナイズされていると思うのですが)

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ディザスター、サバイバル、ロードムービー、そして頭文字Zのアイツ―― 『ワールド・ウォー Z』はミクスチャー・アクションホラー映画だった。

いくらお盆休み中でブラピの主演作とはいえ、真っ昼間からゾンビ映画を観に行く人はそれほどいないだろう…と思って『ワールド・ウォーZ』(13)予想以上にお客さんが入っていてビックリ。「ゾンビ映画であること」を徹底して隠した宣伝戦略が功を奏したという事でしょうか(観終わった後で何と言われるかは分かりませんが…)。

そんなわけでこの『ワールド・ウォーZ』はゾンビ映画ではあるものの、かなりいろんな要素が入っているように思います。
感染者が襲いかかってきて街中大パニックになるのはディザスター映画風。
主人公パーティーが手持ちの装備だけで何とか生き延びようとする展開はサバイバル映画風。
治療法を求めて世界中を飛び回り、道中で様々な人々と一度限りの出会いと別れを経験するのはロードムービー風といった感じ。
カメラが近すぎ&揺らしすぎで見づらいシーンがいくつかあるのが難点ですが、残虐描写は(これでも)控えめなので「走るゾンビ映画入門編」としてはよく出来た作品ではないでしょうか。

ブラッド・ピットが全編出ずっぱりの映画なので、共演のキャストは「地味だけどよく見かける顔の演技派俳優」で揃えてます。
一番メジャーなのは歯無しの元CIAエージェント役デヴィッド・モースでしょうか。『ザ・ロック』(96)『グリーンマイル』(99)のあの人。
名も無き空挺部隊員役で顔を出すのは『LOST』のジャック・シェパードことマシュー・フォックス。本当は続編を見越した重要な役だったのに、続編企画が棚上げになって出番が減ったらしい。
在韓米軍奇襲隊司令官役は近頃売れっ子になってきたジェームズ・バッジ・デール。『ローン・レンジャー』(13)でアーミー・ハマーの兄役を演じていた人。
WHO職員役でes[エス](02)のモーリッツ・ブライブトロイも出てました。
儲け役はイスラエル軍のセガン中尉を演じたダニエラ・ケルテスかな。「イスラエルのクリステン・スチュワート」みたいな感じで印象に残ります。

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