アクション映画の音楽に新風を吹き込む、クリフ・マルティネスによる『ザ・アウトロー』のアンビエント・スコア

先日まる一日お休みを頂きまして、
109シネマズ富谷まで『ザ・アウトロー』(18)を観に行って参りました。

富谷は車で片道40分くらい、
公共交通機関利用だと、
地下鉄で泉中央まで10分、
そこから宮城交通のバスで30分くらいで、
まあ結構遠いわけです。
しかもこの映画は140分と聞いていたので、
どうしようかなぁ、
DVDリリースまで待とうかなぁ、とも思ったのですが、
「いや、これは是非映画館の大画面・大音響で楽しみたい!」と思った要素があったのでした。それは何かと尋ねたら~

音楽が『ドライヴ』(11)のクリフ・マルティネス。

もうこれに尽きるなと。ワタクシ的には。

 

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高橋ユキヒロ「Saravah Saravah!」を購入初日にひとまず10回ほど聴いてみた。

幸宏さんの新譜「Saravah Saravah!」を買いました。
1978年発売のファースト・ソロアルバム「サラヴァ!」のヴォーカルパートだけを録り直した異色盤…というか話題盤。
ベスト盤で数曲だけヴォーカル新録バージョンを入れるとか、
セルフカヴァーでアレンジも変えて歌い直すとかいうのは割とよくありますが、
「アルバム丸ごとヴォーカルだけ録り直す」というのは珍しいかなと。

例えばブライアン・フェリーが、声が硬いからと言ってファーストアルバムの「愚かなり、我が恋」を全曲歌い直すかというと、さすがにそれはしないんじゃないかと(←ものすごく分かりにくい例え)。

閑話休題。

で、初代「サラヴァ!」といえばワタクシ中学時代~高校時代に聴きまくりまして、
幸宏さんが言うところの「2,3回歌って”いいかな、こんなもんで”っていう」歌い方に完全に耳が馴染んでしまっているので、
新録バージョンに慣れるまで時間を要するのではないかと思ったのです。

ところが数回聴いただけで「今の幸宏さんの声」のヴォーカルが自然にスッと頭の中に入ってきまして、
ああ、これは無理のない素敵なリメイク/リモデル(再構築)だなーと思った次第です。
そして音がとってもクリア。
「あ、バックの演奏はここでこんなことやってたのか!」と今回初めて気づいた箇所も多々ありました。

 

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『バーバラと心の巨人』の劇中で流れる挿入歌2曲の歌詞を調べてみた。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『バーバラと心の巨人』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
音楽は『レッドタートル ある島の物語』(16)のローラン・ペレス・デル・マール。

前回のブログでスコアについては大体ご紹介してしまったので、
今回は挿入歌について書かせて頂こうかなと思います。

 

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『バーバラと心の巨人』の音楽は、3つのテーマ曲でウサ耳少女の複雑な内面を描き出す。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『バーバラと心の巨人』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
音楽はフランスで活躍するローラン・ペレス・デル・マール。

サントラリスナーでもあまり聞いたことのない作曲家ではありますが、
スタジオジブリが製作した海外アニメ映画『レッドタートル ある島の物語』(16)の音楽を担当した人と言えば、
「あ-、あの人ね!」と思って頂ける…かもしれません。

『レッドタートル』は全編セリフなし、
映像と音楽・効果音で物語が進行する映画だったので、
かなり音楽が印象に残る作品だったわけですが、
今回の『バーバラと心の巨人』のスコアも、
『レッドタートル』の雰囲気に近いメロディアスなオーケストラ・スコアに仕上がっています。
時折挿入されるチェレスタやマリンバの音色も、
少女っぽさを感じさせてよいアクセントになっていると思います。

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毎年恒例のマイケル・ダナ&ジェフ・ダナ兄弟との近況報告

弊社で「ケルティック・ロマンス」を発売する数年前から、ワタクシ毎年9月になるとマイケル・ダナさんと近況報告をするような感じになりまして。

普段だとお互い「こんな仕事したよー」とか「ケルロマがこのぐらい売れましたよー」というような話をするのですが、今年はマイケルさんとジェフ・ダナさんがエミー賞とアニー賞の音楽部門にノミネートされたので、なかなかめでたいムードの近況報告タイムでした。

アニメ『The Breadwinner(邦題:生きのびるために)』(17)の方はもうアニー賞の結果が出ていて、まあ今年は『リメンバー・ミー』(17)が強すぎたこともあり、残念ながら受賞はならずだったのですが、ワタクシが彼らとやり取りした日は、まだエミー賞の受賞結果が出ていなかったんですよね。

で、彼らは『またの名をグレイス(Alias Grace)』で作曲賞リミテッドシリーズ/テレビ映画/スペシャル部門にノミネートされていて、マイケルさんはさらに『ラスト・タイクーン』でメインタイトル・テーマ音楽賞にもノミネートされていたのでした。

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