映画予告編音楽シリーズ、TRAILERHEADの日本独自企画盤で「熱くなれ!」

trailerhead

『Introduction to TRAILERHEAD』がいろんな意味でアツいらしい。

TRAILERHEAD(トレイラーヘッド)は、
映画の予告編音楽を製作する音楽製作会社「イミディエイト・ミュージック」がリリースしている、
予告編音楽のコンピレーション・アルバム・シリーズ。
「トレイラーヘッド」はアーティスト名やユニット名ではありません。
「ケルティック・ウーマン」とか「Feel」のようなシリーズ名に相当します。
なのでアーティスト名は社名の「イミディエイト」という事になりますかね。

このシリーズはこれまで「Trailerhead」、「Saga」、「Triumph」の3枚が発売されていて、
今回の「Introduction to Trailerhead」は、
過去3枚のアルバムから「2分でボルテージ最高潮!」になれる曲を、
各アルバムから5曲ずつセレクトした日本独自編集盤です。
正式には「(トレイラーヘッドの)イントロダクション盤」という位置づけではありますが、
事実上の「ベスト盤」と言っていいでしょう。

それにしても、サントラにハマるなら分かるけれども、
映画本編で使われない予告編音楽に目をつけるなんて、
よっぽどのマニアだろうと思っておりましたが、
これが意外と(というか、かなり)売れているらしい。

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『エージェント:ライアン』サントラ盤のこと -パトリック・ドイル、シンセ・スコアに開眼するの巻-

jack ryan

『エージェント:ライアン』(13)の音楽を手掛けたのは、ケネス・ブラナー監督の盟友パトリック・ドイル。ワタクシの好きな映画音楽家の一人です。
何しろ初めて買ったサントラ盤(スコア盤)は『カリートの道』(93)だったし、その姉妹編とも言える『フェイク』(97)の音楽もよかったし、以前『スルース』(07)のサントラ盤ライナーノーツも担当したことがありました。

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『エージェント:ライアン』の主要キャストをあれこれ検証してみる

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前回投稿した記事で、
『エージェント:ライアン』(13)の出演者についてほとんど触れていなかったので、
せっかくだから何か書きます。

まずはジャック・ライアン役のクリス・パイン。
『レッド・オクトーバーを追え!』(90)の初代ライアンがアレック・ボールドウィン、
『パトリオット・ゲーム』(92)と『今そこにある危機』(94)のハリソン・フォードが2代目、
『トータル・フィアーズ』(02)のベン・アフレックが3代目で、
本作のパインが4代目のライアンということになります。
「シリーズの再リブート」ということで、かなり若返りが図られました。

クリス・パインがジャック・ライアンに見えるかというと、正直ビミョーです。
やはり『スター・トレック』シリーズのカーク船長のイメージが強すぎて…。
あるいは『アンストッパブル』(10)の新人車掌、
はたまた『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』(07)のサイコな殺し屋と、
いわゆる「現場叩き上げ」系のキャラをこれまで見てきたので、
「現場経験ゼロの情報分析官」とはちょっと違うかな、と…。
もう少しアナリストっぽいヘアスタイルだったら印象も違っていたかもしれませんが。

しかしながら「まだCIAの現場に馴染んでない若造」というキャラの
立ち位置はうまく表現していたように思います。
身体を張ったアクションはさすがの安定感。
何しろ『アンストッパブル』で走る電車の上を歩き回った人ですから。

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「シミュレーション抜きでいきなり実戦かよ!?」 新人CIA情報分析官の奮闘記『エージェント:ライアン』

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「シミュレーション抜きでいきなり実戦かよ!?」
分かる人には分かる、『機動戦士Zガンダム』のカクリコン中尉のセリフです。

というわけで『エージェント:ライアン』(14)のご紹介。
『トータル・フィアーズ』(02)以来12年ぶりの、
ジャック・ライアン・シリーズ最新作兼リブート作です。
『トータル・フィアーズ』もリブートだったはずなのですが、
どうも製作サイドの認識ではあの映画はイマイチという事らしく、
(まぁ2002年の作品にしては核の描写がかなりアレだったのは事実ですが)
今回の『エージェント:ライアン』で”なかったこと”にされてしまったようです。

この映画ではジャック・ライアン(クリス・パイン)がCIAエージェントになるまでが描かれておりますが、
まずその過程を追っていくと、

学生時代のライアンが留学先のイギリスで911の惨事を知り、
帰国後海兵隊に入隊。
乗っていたヘリがアフガンで撃墜され重傷を負う。
リハビリ中に後の妻となるキャシー(キーラ・ナイトレイ)と知り合う。
除隊後、CIAのハーパー(ケヴィン・コスナー)からリクルートされる。
CIAの身分を隠してウォール街の投資銀行で働きながら、
不審な金の流れを当局に逐次報告する任務を与えられる。
そこでロシアの企業チェレヴィン・グループの不穏な動きに気づく…。
というような流れになってます。
物語はトム・クランシーの小説を題材にしたものではなく、
映画の完全オリジナルストーリー。
だから「Based on Character Created by Tom Clancy」の表記になっています。
「トム・クランシーの創作したキャラクターに基づく」というやつですね。

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新進気鋭の作曲家、ベンジャミン・ウォルフィッシュの緻密な編曲が光る『ハリケーンアワー』の音楽

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ポール・ウォーカーが無人の病院で発電機のハンドルを回し続けて奮闘する、
限定空間型サバイバル・スリラー『ハリケーンアワー』(13)。
音楽はイギリス人の若手作曲家ベンジャミン・ウォルフィッシュが手掛けております。

インディペンデント映画のサントラの面白さは、
あまり有名でない(あるいはブレイク前の)作曲家の仕事が楽しめること。
ウォルフィッシュの場合は後者にあたるミュージシャン。
最近だとブライアン・コックス主演のUK産脱獄映画『DATSUGOKU-脱獄-』(08)の音楽を担当してます。
入り組んだ物語構成と、UKを代表する演技派俳優のアンサンブルが実に見応えある作品でした。
音楽的にもかなり面白いアレンジを聞かせているので、個人的にオススメです。

 

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