英国のベテラン音楽家、ジョージ・フェントンの底力を感じた『ブルー・プラネット』のサントラ盤

先日お伝えしたとおり、ランブリング・レコーズ様のご依頼でBBC製作の海洋ドキュメンタリー『ブルー・プラネット』シリーズ(01,17)の日本版サントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は第1作がジョージ・フェントンで、第2作がハンス・ジマーとジェイコブ・シェイ、デヴィッド・フレミングの三人。

ジマーさんの『ブルー・プラネットII』は前回のブログでご紹介したので、今回はフェントンの第1作をご紹介致します。

『ブルー・プラネット』オリジナル・サウンドトラック(amazon)
『ブルー・プラネット』オリジナル・サウンドトラック(TOWER RECORDS)

ジョージ・フェントンは1970年代から活動している作曲家ですが、日本では”知る人ぞ知る”存在といった印象ですね。。最近はケン・ローチ作品の常連作曲家というイメージではないかと。以前『スノー・ロワイヤル』(19)のブログで書いたとおり、ワタクシはフェントンの音楽が好きで結構いろいろサントラを持っています。

そんなフェントンの作品で一番売れたサントラは、おそらく海洋ドキュメンタリー映画『ディープ・ブルー』(03)ではないかと思います。この映画、ベルリン・フィルが演奏を手掛けたことでも話題になりましたし。

で、その『ディープ・ブルー』のもとになったドキュメンタリーテレビシリーズが、今回日本盤サントラが発売される『ブルー・プラネット』(01)だったと。

フェントンは『プラネットアース』(06)の音楽も担当していて、こちらも続編はハンス・ジマーとその仲間たちが音楽を担当することになってしまいましたが、それではフェントンの音楽はジマーさんに劣るのかと言うと、もちろんそんなことは全然ありません。むしろBBC製作のネイチャードキュメンタリーシリーズの熱心なファンの中には、ジマーさんとその仲間たちが手掛けた音楽よりも、フェントンの音楽が好きな人も多いようです

『ブルー・プラネット』第1作の音楽は伝統的なオーケストラパレットを基調としつつ、スパニッシュギターを用いたワルツ、電子音、ミニマルな反復フレーズなどを用いて、多彩なサウンドでリスナーを楽しませてくれるタイプのものでした。
サンプリングやオーバーダブを駆使した、分厚いサウンドで聴かせるジマーさんのスコアに比べると、風通しが良くてリラックスして聴けるサウンドかなと。

そして特筆すべきは、フェントンの『ブルー・プラネット』は2001年に作曲した音楽であること。
これが16年後に製作されたジマーの音楽と比べても、スケール感やクオリティーの面で全く劣らないという事実から考えても、いかにフェントンの作った音楽が普遍的なものであるかが分かるというものです。

ちなみに『ブルー・プラネット』の成功によって、2000年代に入ってからのフェントンは「ドキュメンタリー音楽の作曲家」としても高い評価を得て、『アース』(07)、『ライフ -いのちをつなぐ物語-』(11)、『フローズンプラネット』(11-12)などの音楽も手掛けるようになりました。

余談になりますが、今回『ブルー・プラネット』シリーズのサントラ盤に音楽解説を書かせて頂くにあたって、amazonプライムビデオでシリーズをイッキ見しました。
第1作が全8話第2作が全7話、各50分くらいだから12.5時間くらいかな。
さらにどの曲がどのシーンで使われていたかを確認するため、メモしながら見たり繰り返し見たりしたので、なんだかんだで年末年始に20時間くらいこのシリーズとお付き合いしたと思います。
でも、不思議とこの作業が全然苦痛に感じなかったんですよね。。
やっぱりフェントンとジマーの音楽がよかったからなんだろうなと思います。

『ブルー・プラネット』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ジョージ・フェントン
発売・販売元:Rambling RECORDS Inc.
品番:RBCP-3245
価格:2,640円(税込)
発売日:2022年02月23日

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