BANGER!!!で書いた『リーサル・ウェポン』音楽コラムの補足的なお話

ムービープラスで『リーサル・ウェポン』シリーズの一挙放送があるということで、
BANGER!!!でシリーズの音楽紹介のコラムを書きました。

クラプトンやスティング、ハリソンらロック界のレジェンドが集結!『リーサル・ウェポン』シリーズは音楽もスゴかった
https://www.banger.jp/movie/74932/

マイケル・ケイメンは自分の好きな映画音楽家のひとりなのですが、2003年に亡くなって約19年の時が経ち、近年は彼の音楽について語られる機会がめっきり少なくなったような気がしました。
そんな中、3月に『リーサル・ウェポン』シリーズの一挙放送があるということで、これはBANGER!!!でケイメンの音楽について書く絶好の機会ではないかと思い、上記のコラムを書くに至ったというわけです。

それにワタクシは何年も前にLa-La Land Recordsから数量限定でリリースになった8枚組完全版サントラを購入したので、これを仕事に活用しない手はないだろうとも思いました。

『リーサル・ウェポン』の音楽コラムを書くに当たって、映画本編をしっかり観直して、毎日のようにサントラ盤を聴きましたが、久々にケイメン×クラプトン×サンボーンのスコアを聴いて、「やっぱりこのシリーズの音楽は面白いな」と実感しました。

『リーサル・ウェポン』シリーズの音楽を一言で表現するなら「ロックなスコア」ということになるわけですが、近年ブライアン・タイラーやタイラー・ベイツ、ハンス・ジマーとその一派が作曲するような「ロックなスコア」とは一線を画するサウンドなんですね。


彼らの「ロックなスコア」が「オーケストラとギター、ドラムスなどのロックサウンドが渾然一体となった音楽」なのに対して、『リーサル・ウェポン』のそれは”渾然一体”というよりも、「ケイメンのオーケストラ音楽とクラプトンのグルースギター、サンボーンのフュージョン系サックスが並列で演奏され、それらが絶妙なバランスで一体感を保っている」という感覚に近い。
それぞれがジャムセッションのごとく奔放に演奏しているのだけれども、バラついた印象がなく、ひとつの劇伴としてきちんと纏まっている感じ。このあたりは編曲の巧さなのでしょう。エリック・クラプトンとデヴィッド・サンボーンの個性の強い演奏を、ここまで上手に使いこなした映画音楽家は、ケイメン以外いないかもしれないと思ったほどです。

さて、BANGER!!!のコラムで書ききれなかった小ネタは以下のような感じ。

■その1:ハンサカーがエア・アメリカの”汚れ仕事”を語るシーンの音楽について

『リーサル・ウェポン』第1作(87)のハンサカーがジョシュアに狙撃される直前のシーンの音楽で流れている奇妙なパーカッションの音は一体何なんだ?というネタなのですが、あれは水を注いだミキシングボウルやアンクルン、ウォーターフォンを使っているそうです。ベトナム戦争時代の”汚れ仕事”を語るシーンなので、パーカッションの不思議な音でいい感じにエキゾチックなサウンドになってます。

■その2:南アフリカ総領事一派の音楽で使われているパーカッションについて

『リーサル・ウェポン2/炎の約束』(89)のヴィラン、南アフリカ総領事一派が登場するシーンの音楽で使われているパーカッションは、バスマリンバ、金属製/竹製のアンクルン、アフリカンドラムなどだそうです。彼らの登場シーン、あるいは暗躍シーンでこのパーカッションの音が使われることによって、南アフリカ総領事一派の不吉な存在を示唆する音楽設計になっているわけです。

■その3:『リーサル・ウェポン3』の一部の曲でリズム楽器に使われている意外なアイテム

『リーサル・ウェポン3』(92)のテーマソング、”It’s Probably Me”のイントロで聞こえてくるカチッ、カチッというリズム音。あれはクラプトンが所有していたジッポライターの開閉音をサンプリングしたものだそうです。
で、その音を劇中の一部のスコアでもリズム音として使っている。なぜそんなことをしたのかというと、『リーサル・ウェポン3』では「リッグスが禁煙を試みる」というサブプロットがあるので、それを音楽にも反映させたということらしいです。

■その4:『リーサル・ウェポン4』の”中華サウンド”へのこだわり

『リーサル・ウェポン4』(98)はジェット・リーのハリウッドお披露目映画的な意味合いの強い作品になりましたが、それゆえ音楽も中国の要素が強めになっておりまして、チャイニーズ・シンバルやオペラゴング、アルフーなどを使っています。
しかしケイメン曰く”I don’t think we’ll use Chinese melodies, but we will use Chinese textures”とのことで、「キッチュな中華メロディー」を新たに作曲するのではなく、「シリーズを通して使われているモティーフを中国の楽器で演奏する」という手法を取っているのだそうです。今回第4作のサントラをじっくり聴いてみて、「ああ、確かにいつものモティーフとかフレーズを中国楽器で演奏してるな」ということが分かりました。

クラプトンとサンボーンがここまで自由奔放かつたっぷりと演奏を聞かせてくれるサントラは『リーサル・ウェポン』だけではないかと思うので、映画をご覧になる時は是非スコアにも注目して頂きたいなと思います。また8枚組サントラ盤も再販してくれればいいんですけど。

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