登るも地獄、落ちるも地獄の山登りホラー映画『デッドクリフ(VERTIGE)』

vertige

先週末の夏休み中に実家でマッタリ過ごしていたら、
うちの親から「この映画、結構怖かったからアンタも観てみ」と勧められたので、
フランス製ロッククライミング・ホラー『デッドクリフ』(09)を観てみました。
劇場未公開作かと思ったら、ちゃんと2011年に公開されてるんですね。

クロアチアの山岳地帯へロッククライミングをしにやって来た5人の男女が、
想像を絶する恐ろしい事態に直面してしまうというお話。

まず結論から申し上げますと、当方の予想以上にコワイ映画でした。

何が怖いって、まずロッククライミングの映像が死ぬほどコワイ。
「手を滑らせたり足を踏み外したりしたら即死亡」的な臨場感が凄まじい。
高所恐怖症の気がある人には相当キツイ映像です。
映画を観ている最中、ずっと手のひらにイヤーな汗をかいてました。
で、吊り橋が崩落したり、
崖から落ちそうになったりしつつ何とか絶壁を登ったら、
そこにはもっと最悪なものが待っていたと。
登るも地獄、落ちるも地獄。
詳しいストーリーはネタバレ回避のため割愛しますが、
強いて言うなら『逆ディセント』。
あっちは降りるけどこっちは登るし、登った先にバケモノ的な輩も出てくるので。

シチュエーションがこんな感じなら登場人物もクセ者揃いで、
立入禁止の警告を無視して山登りを始めてしまうリーダー格(フレッド)、
フレッドのガールフレンドの活発女子(カリーヌ)、
患者を死なせた事がトラウマになっている女医さん(クロエ)、
パッと見た感じ体育会系っぽいクロエの元カレ(ギョーム)、
神経質で屈折してそうなクロエの今カレ(ルイック)といった面倒くさそうな顔ぶれ。
決して「仲良し5人組」ではないところがポイント。
元カレと今カレが顔を合わせてタダで済むわけがないし、
私生活でトラウマを抱えている人が何をしでかすか分からない。
極限状況下でドロドロした人間ドラマが繰り広げられます。
そういえば『ディセント』も女同士のドロドロしたドラマが強烈な映画でしたね。

 

「登山旅行で元カレと今カレを一緒にさせるわけねーだろ」とツッコミが入りそうですが、
程度の差こそあれ、現実世界でもこういう事ってあると思うのですよ。
飲み会とか卒業旅行とかパーティーとかで、
「何でコイツが一緒にいるんだよ」みたいな人と嫌々顔を合わせてしまう状況。
自分がその人と仲が悪くても、
友達がその人と親しいので「コイツと一緒は嫌」と言えなかったりとか。
この映画でも「もう(別れて)4年経ってるし別にいいじゃん」的なセリフもあるし、
仲のいい奴でも意外と自分の事を分かってくれていないという悲しい事実。
人付き合いの痛いところや、人間関係の脆さ・薄っぺらさを突いた脚本でもあります。

ちなみにフレッドを演じているのは、『96時間』(08)のニコラ・ジロー。
リーアム演じるブライアンの娘キムとそのおバカな女友達をナンパして、
人身売買組織に送り込んだ最低野郎を演じていたあの派手な顔の俳優です。
結果的に今回も仲間をヒドい目に遭わてしまうのがブラックな笑いを誘います。

このニコラ・ジロー以外はほぼ無名の俳優といっていい顔ぶれなので、
「誰がどの順番/どのタイミングで死ぬか分からない」
「誰がどんな行動を取るか予測がつかない」
…というイヤな緊張感(←褒め言葉)をドラマに生み出しておりまして、
これがまた怖さを増幅させる手助けをしております。

この映画の原題は『VERTIGE』(英題はHigh Lane)。
フランス語で「目眩」「高所恐怖症」というような意味のようです。
看板に偽りなしといった感じの原題と言えるでしょう。

ちなみにフレッドご一行様が「青春の曲」と言って車の中で大合唱していたのは、
Superglassの1995年作品のAlright。
スーパーグラス…懐かしいなぁ。
この曲をエンドクレジットでもう1回流すのはブラックユーモアというやつでしょう。

 

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