『マネーモンスター』の作曲家交代は正解だったのかもしれないという話。

money monster

先日『マネーモンスター』(16)を観にイオンシネマ名取まで行ってきました。
仕事場からイオンモール名取まで、
仙山線と東北本線・仙台空港行きを乗り継いで約40分、
杜せきのした駅まで片道の交通費が490円というなかなか面倒な場所でした。。

一般料金の日に映画を観ようものなら交通費と映画代で2,800円するわけで、
サービスデーにでも行かなきゃやってられないよーというわけで、
月曜日の1,100円デーに行ってきた次第です。

 

まあ結論から申しますと、
遠出して観に行った甲斐のある映画でした。個人的には。
脚本が『張り込み』(87)や『ギャングシティ』(97)のジム・カウフということだったので、
これは面白い映画なんじゃないかとは思っていましたが、
期待通りの内容でした。

往年のシドニー・ルメット映画を思わせる社会派(?)籠城スリラー的な構成とか、
ジョージ・クルーニーの愛すべきダメ男キャラとか、
マシュー・リバティークの独特な色彩感覚の映像とか見どころ満載。
ジョディ・フォスターも『リトルマン・テイト』(91)とか『ホーム・フォー・ザ・ホリデイ』(95)とか、
初期の監督作は子供ものとか家族もので無難な線を選んでいたフシがありましたが、
こういう映画も撮れるんだなぁ、と大変頼もしく見えました。
そういえば『ハウス・オブ・カード』で監督を担当したのも、
フレディのバーベキュー店が潰れる異色のエピソードの回でしたっけ…。

ことほどさようにいろいろと見どころの多い作品でしたが、
ワタクシが最も注目していたのは音楽でした。
…というのも『マネーモンスター』は当初マイケル・アンドリュースが音楽担当になっていて、
その後スコアがボツになったのか、
急遽ドミニク・ルイスが音楽を手掛けることになったのでした。
さらに詳しく言えばアンドリュースが降板した後、
一時はリモート・コントロール・プロダクション組のヘンリー・ジャックマンが音楽を手掛けるという話が上がって、
その後「ジャックマンのプロデュースの下でドミニク・ルイスが音楽を担当」という形で落ち着いたという経緯がありました。

 

今日のハリウッドの映画音楽業界には「困った時のRCP頼み」的な風潮がありますが、
今回の場合はそれが非常にうまく行ったのではないかと思います。

ドミニク・ルイスが書き下ろした音楽は、「オケ+シンセ」というRCPの定番サウンド。
オーケストラは弦もの(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス)のみで、
ルイスはチェロの独奏も担当している模様。
全体的にひんやりとした質感の音になっていて、
これがなかなかスピーディーかつキレのあるサウンドで実にカッコイイ。
何度か繰り返して用いられるメインテーマにあたるメロディーも、
結構印象に残る感じのものになっています。

「逃げ場のない状況に置かれる主人公」
「迫るタイムリミット」
「限定された空間」

…という要素もあいまって、
ヘンリー・ジャックマンの『崖っぷちの男』(12)とか、
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズの『フォーン・ブース』(03)を連想させる音楽になってますね。
やはりこういう状況のストーリーには焦燥感を煽るデジタルビートがよく似合います。

マイケル・アンドリュースがどういう音楽を書いたのかは分かりませんが、
『ドニー・ダーコ』(01)や『カンパニー・マン』(02)の音楽を聴いた感じだと、
アンビエント寄りのスコアだったのかもしれません。
(強いて言うならクリフ・マルチネスの『トラフィック』(00)みたいな感じ)
『マネーモンスター』の後半の展開を考えると、
もっとエンタメ色の強い音楽が欲しかったのかもしれませんね。
そういうサウンドはやはりRCPのアーティストの方が巧そうな気がしますし。

 

…というわけで、
作曲家の交代劇はあまり好ましいものではありませんが、
今回の『マネーモンスター』に関して言えば交代がうまくいったケースなのではないかなと思います。
リモート・コントロール系の作曲家に興味がある方なら、
この映画のサントラ盤を買って損はないと思います。
ちなみにワタクシは損はないどころか、
『マネーモンスター』のルイスの音楽を大変気に入りました。

 

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