シンセベースとエレキギターのリフは反骨精神の象徴…!? 『トリプルX:再起動』の音楽

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『トリプルX:再起動』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
…ということを先週のブログでざっくりお知らせ致しました。

2月は『トリプルX:再起動』と『クリミナル 2人の記憶を持つ男』でブライアン・タイラー祭りなのだの巻

今回は原稿の締切にあまり余裕のないスケジュールだったにもかかわらず、
映画音楽ライター根性を出して、
久々に作曲家さんインタビューが実現しました。
ワタクシがお話を伺ったのは、
ロバート・ライデッカーさんという若手作曲家です。

 

ライデッカーはブライアン・タイラーのアシスタントとして働いている方で、
タイラー作品以外にもマーク・アイシャムの『クレイジーズ』(10)や、
トレヴァー・モリスの『エンド・オブ・ホワイトハウス』(13)などで追加音楽を手掛けています。
若手とは言ってもなかなかの実績の持ち主と言えるでしょう。

ちなみにタイラーさんはハリウッド映画音楽界屈指のイケメン作曲家ですが、
ライデッカーさんもなかなかのイケメンです。

青春映画で主人公の友達役とかで出てても違和感がない感じのルックス。
そんなイケメン師弟コンビが『トリプルX:再起動』の音楽を作ってます。

せっかくインタビューでいろいろ話してもらえたので、
ライデッカーさんが語ってくれた『トリプルX』の音楽解説については、
国内仕様のサントラ盤の拙稿をご覧頂くことにしまして、
ここでは字数の都合でライナーノーツ原稿に書けなかったことや、
拙稿とは違う視点から見た『トリプルX:再起動』の音楽の特徴について書かせて頂きます。

 

『トリプルX』の主人公=ザンダー・ケイジは、
基本的に“群れない・媚びない・服従しない”という孤高の反逆児キャラでしたが、
今回の『再起動』は気の合う仲間とチームを組むストーリーになっています。

主役がヴィン・ディーゼルで、
アウトロー仲間とチームを組んで、
国家権力にイヤイヤ従いつつ巨悪を倒すという展開は、
最近の『ワイルド・スピード』シリーズと全く同じなわけです。
しかもどっちもタイラーさんが音楽を担当しているので、
ヘタをすると『ワイスピ』との区別がつかなくなってしまう。

ではタイラー&ライデッカーのコンビは、
どうやって両作品で音楽に違いを出したのか。
第一印象は「あんまり変わんないかも」という感じなのですが、
何度か聴いていると「このへんがちょっと違うんじゃない?」という部分が見えてくる。
このあたりの微妙な違いをスコアから感じ取る作業がなかなか面白い。

 

ワタクシが本作のスコアを聴いた印象だと、
『ワイルド・スピード』シリーズより重い音というか、
ブッとい(=太い)音を多めに使っているかなという感じです。
カーアクション中心の『ワイスピ』に対して、
こちらは格闘戦やX-スポーツなどのフィジカルなアクションが多めなので、
ガタイのいいディーゼルの巨体から繰り出されるアクションの”重み”をヘヴィな音で表現したり、
ドニー・イェンのキレッキレな動きに鋭いエレクトロ・サウンドを合わせてみたり、
いろいろな工夫の跡が垣間見えます。

ワタクシが一番感心したのは、
メインテーマ(いわゆる「ザンダー・ケイジのテーマ」)をシンセベースで奏でる手法でした。
何しろヴィン・ディーゼル自身があの低音ヴォイスで喋るもんだから、
シンセベースのメロディーがザンダーのキャラと見事に調和して、
スコアの中で「俺、ザンダー・ケイジ」的な存在感を醸し出しているのです。
これはなかなかうまい手法だなーと思いましたね。

 

タイラーさんは近年MADSONIK名義でエレクトロ・ハウスに急接近してますが、
この『トリプルX:再起動』でもかなり派手に電子音を鳴らしまくってます。
劇中ではさらにMADSONIKの”Divebomb”と”Take It To The Top”の2曲が使われています。
(前者はトム・モレロとKill The Noiseとの合作)

 

『ワイスピ』シリーズは話のスケールがどんどんデカくなって、
『TOKYO DRIFT』の頃のような(いい意味での)バカっぽさがなくなって、
音楽にも”遊び”の要素が少なくなっていきましたが、
そのぶん『トリプルX:再起動』の方でやりたい放題ヤッちゃってる感じですね。
そういう意味では本作の方が『ワイスピ』より”愉快な音楽”になってます。

まあ長々と書いてしまいましたが、
基本はいつもの「ブン回し系・鳴らし屋系」のタイラー・サウンドなので、
大音量で聴いてテンションがアガるタイプのロックでテクノなフルオケ・スコアになってます。
収録時間も70分近くあるので、買って損はしませんぜ。

『トリプルX:再起動』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ブライアン・タイラー&ロバート・ライデッカー
レーベル:Rambling RECORDS
品番:RBCP-3179
発売日:2017/02/22
定価:2,400円+税

 

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