『さらば愛しきアウトロー』でロバート・レッドフォードが体現するアウトローの美学、そして挿入歌”Blues Run The Game”の歌詞について

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『さらば愛しきアウトロー』(18)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

そして先日BANGER!!!でこんなコラムを書かせて頂きました。

意思は貫くが、運命には逆らわない レッドフォード流“アウトローの美学”と“ジャズ”『さらば愛しきアウトロー』 | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/13646/

 

「自分の意思は貫くが、運命には逆らわない」とはどういうことか?…ということで、BANGER!!!のコラムでは字数の都合で書けなかったことを、ブログでもう少し補足させて頂こうかなと思った次第です。

前回のブログで「我が家は母子二代にわたるレッドフォードのファン」ということを書きましたが、
ちょうどコラム原稿を書いていた週に実家に帰る機会があったので、原稿の構想を練る意味も兼ねて熱いレッドフォード談義を交わしたのでありました。

 

で、「レッドフォードが映画の中で演じてきたキャラクターの生き方をひと言で表現するなら、あれは何と表現すればいいのかなぁ」という話になって、
「どのキャラも自分の意思を貫いてるよね」
「でも運命には逆らわないような結末を迎えてるよね」
…という双方の意見を取り入れた結果、
「自分の意思は貫くが、運命には逆らわない」というのがレッドフォード的「アウトローの美学」なんじゃないかという結論に至ったわけです。

例えば『明日に向って撃て!』(69)の有名なラストシーンはその最たるものですが、
ほかにも『華麗なるギャツビー』(74)のギャツビー氏の生き方とか、
『愛と哀しみの果て』(85)や『二重誘拐』(02)での退場の仕方、
『幸福の条件』(93)ラストの身の引き方、
『ラスト・キャッスル』(01)のあの結末、
『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』(13)の”我らの男”の生き様とあのラストなどを観て頂くと、
当方の言わんとすることが何となくご理解頂けるのではないかと。

 

何ものにも囚われず、やりたいことを最後まで貫き通すけれども、
“潮時”を感じたらあっけないほどあっさり身を引いたり、
映画から退場したりする。
この引き際こそがレッドフォード流の「アウトローの美学」であり、
彼の唯一無二のカッコよさなのではないかなと思うのです。

で、その「アウトローの美学」をより一層引き立たせたのが、
『さらば愛しきアウトロー』の終盤で使われたジャクソン・C・フランクの挿入歌「Blues Run The Game」だった気がします。
(これは「主題歌」というより「挿入歌」と表現した方が適当ではないかと思います)

Catch a boat to England, baby Maybe to Spain
Wherever I have gone Wherever I’ve been and gone
Wherever I have gone The blues are all the same

Send out for whiskey, baby Send out for gin
Me and room service, honey Me and room service, babe
Me and room service Well, we’re living a life of sin

When I’m not drinking, baby You are on my mind
When I’m not sleeping, honey When I ain’t sleeping, mama
When I’m not sleeping You know you’ll find me crying

Try another city, baby Another town
Wherever I have gone Wherever I’ve been and gone
Wherever I have gone The blues come following down

Living is a gamble, baby Loving’s much the same
Wherever I have played Whenever I throw them dice
Wherever I have played The blues have run the game

Maybe tomorrow, honey Someplace down the line
I’ll wake up older So much older, mama
I’ll wake up older And I’ll just stop all my trying

「僕がどこで何をしようが、憂鬱な気分(=blues)は変わらない」
「そのうち僕も年老いて、何も挑戦したりしなくなるんだろう」
…というような歌詞がやたらめったら切なくなるわけですが、
この曲が流れた後も映画は”その後”のエピソードがあって、
「僕は生涯アウトロー」という意思表示的なラストを迎えると。

もしこの映画が「Blues Run The Game」で幕を閉じていたら、
この曲は「去りゆくアウトローへの挽歌」ということになっていたのだろうけれども、
本作のレッドフォードは「その時(=引退、もしくは死)が来るまで、僕はやりたいことをやるだけだよ」と言わんばかりに強盗稼業を続けていく。
だから本作の「Blues Run The Game」は挽歌という感じではないのかもしれない。

Maybe tomorrow, honey Someplace down the line
I’ll wake up older So much older, mama
I’ll wake up older And I’ll just stop all my trying

…と歌われてはいるけれども、
レッドフォード扮するフォレスト・タッカーにとって、
“その時”はまだ来ていないんだよ、と。
こういう既存の懐メロを使った「前振り」があるから、
あのカラッとしたラストにアウトローのロマンを感じるんだろうなと思います。

あっさりした味わいのレッドフォードの退場のさせ方も含めて、
デヴィッド・ロウリー監督は「レッドフォードを魅力的に撮る方法」を熟知した映像作家だなーと思いました。

そのジャクソン・C・フランクの「Blues Run The Game」はサントラ盤にも収録されてますので、こちらも是非ということで。

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