『ナイト&デイ』の音楽(ジョン・パウエルの劇伴+劇中で流れた既製曲)をチェックしてみた。

「ホール&オーツが好きなら見ておいて損はないですよぉ」と友人に勧められたので、『ナイト&デイ』(10)をDVDにて鑑賞しました。この映画、劇場公開されていた頃に観ていなかったんですよね…。

Knight and Day – Original Motion Picture Soundtrack (amazon music)

なぜこの映画とホール&オーツが関係あるのか? と思ったら、劇中「ゼファー」なる画期的なアイテムを発明した天才青年サイモン(ポール・ダノ)がホール&オーツのファンという設定で、サイモンの隠れ家で”Private Eyes”が流れていたり(結構長い時間かかってた)、トム・クルーズ扮する主人公ロイからH&Oの缶バッジを貰って喜んだりするシーンがあったのですね。納得です。

The Very Best of Daryl Hall & John Oates – amazon

この映画、もっとヒットしてたら「ホール&オーツのリバイバル・ブーム到来!」みたいな感じで話題になっていたかもしれない。実際のところは『(500)日のサマー』(09)の”You Make My Dream”ほど注目されなかった気がするので、そのへんがちょっと残念。トム・クルーズがケイティ・ホームズとの結婚で「結婚でウキウキご機嫌な俺」というキャラ作りをして大失敗した頃だったので、それがモロに映画の興行成績にも影響してしまった感じでしょうか。
映画スタジオはそれらしい理由をつけてシラを切っていますが、映画のキービジュアル(ポスターやサントラ盤のジャケ写)がキャストの写真ではなくシルエットなのも、「お騒がせ俳優のトム・クルーズを前面に出したくない」という思惑があったものと思われます。まあ自分でやったことが「ちょっと痛すぎた」という事情もありますが、この時期のトム・クルーズは本当に不遇だった。

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「吸血鬼+西部劇+ブルースロック」の異色作 ジョン・カーペンターの『ヴァンパイア/最期の聖戦』

先日中古CDショップに行ったら、『ヴァンパイア/最期の聖戦』(98)のサントラが500円コーナーで投げ売りされていたので、すみやかに保護してきました。映画公開当時買いそびれたサントラだったんですよねこれ。

ジョン・カーペンターのフィルモグラフィーの中でも、あまり語られる事のない映画ではありますが、見所を挙げるならばヴァンパイア討伐隊「スレイヤーズ」のリーダーを演じたジェームズ・ウッズのイカす不良中年っぷりと、『30デイズ・ナイト』(07)のパンフレット内解説でネタにされていたマーク・ブーンJr.の無惨かつアッパレな最期などが挙げられます。
「ヴァンパイアもので西部劇を撮る」というカーペンターのウエスタン・ムービーへの偏愛が微笑ましいです。

で、この映画のサントラ。例によってカーペンターが自分でスコアを作曲しているわけですが、これがコッテコテのブルース・ロック。自分でギター、ベース、シンセを演奏するだけでなく、わざわざスティーヴ・クロッパー(g)やドナルド・”ダック”・ダン(b)、リック・シュローサー(dr)ら腕利きを招集して、「The Texas Toad Lickers」なるバンド(これまたコテコテなネーミングセンス)まで組んでしまうんだから、カーペンターのこの映画への入れ込み具合が分かるというものです。

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GAMER(音楽について)

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・・・というわけで、長くなってしまった前回の続き。『GAMER』(09)の音楽について。

スコアを作曲したのは、ジェフ・ザネリとロバート・ウィリアムソンの二人。ザネリは『ヒットマン』(07)とか『ディスタービア』(07)の音楽を担当しているリモート・コントロール・プロダクションズ所属の作曲家。ウィリアムソンは『ミッドナイト・ミートトレイン』(08)のスコアを手掛けた作曲家。

さてこの映画のサントラ。何だかネットの掲示板とかを見ていたらすこぶる評判が悪くて、「買って失敗だった」とか「買わなきゃよかった」みたいなコメントがいくつかありました。普通、そういう書き込みを見たらそのサントラを買わないもんですが、僕は「そんなにヒドいのか?」とあえてサントラを購入した物好きです。もっとも、ちょうどタワレコのポイントが貯まっていたので、それを使ってリスクを軽減させましたが。

で、聴いてみた感想ですが、「まぁこんなもんでしょ」という感じ。
ことさら聴いてて腹は立ちませんでした。

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GAMER (映画について)

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『アドレナリン』(06)で注目されたエクストリーム系ゲーム脳監督コンビ、マーク・ネヴェルダイン&ブライアン・テイラーの新作映画。遅ればせながらDVDを借りて観た。

「囚人が生死を懸けたゲームに参加させられる」というストーリーで、話のノリとしてはシュワルツェネッガーの『バトルランナー』(87)とほとんど同じ。異なる点は「生死を懸けたゲーム」がTV番組でなくオンラインゲームである事と、囚人は自分の意志でも動けるけれども、ある程度はゲームプレーヤーに操作されるようになっているという事。あとはネヴェルダイン&テイラーの映画なので、エログロ描写が『バトルランナー』なんかの比じゃない事。

それにしても、『スレイヤーズ』で死刑囚がバトルゲーム30回勝ち抜きで釈放なのはまだいいとして、一般囚が一定の動作しかできない障害物キャラ(道路を往復するだけとか、バイクに乗ってウロウロするだけとか)で銃撃戦のど真ん中に放り込まれるのは扱いがヒドい気がする。その代わり1ゲームだけ生き残れば釈放って設定だったと思うけど、あの状況じゃまず生き残れないでしょ。

この映画、ヴィジュアル・デザインをyU+co.(『300』(06)とか『ダレン・シャン』(09)のタイトルデザインを手掛けたチーム)が担当しているので、『スレイヤーズ』の画面表示とか、セカンドライフチックな『ソサイエティー』のヴィジュアルは割とスタイリッシュにまとまってます。見所はそれぐらいかな・・・。ハッキリ言って中身はカラッポなので。

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UNKNOWN / アンノウン(音楽について)

unknown

『アンノウン』(11)の音楽を担当したのはジョン・オットマン。
本作のジャウム・コレット=セラ監督とは、
「パリス・ヒルトンが惨殺されるホラー」として有名な『蝋人形の館』(05)と、
極悪少女の正体が強烈な傑作ホラー『エスター』(09)に続く3度目のコラボレーション。

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