ブライアン・フェリーのレア音源集を作って気分転換したお話。

2年前の今日、ブライアン・フェリーの来日公演を見に行っていたことを思い出しました。
その時のことはBANGER!!!のブライアン・フェリー映画主題歌コラムでも少し書いてます。

『キングスマン』『ナインハーフ』英ロック界の伊達男ブライアン・フェリーの音楽を堪能
https://www.banger.jp/movie/6753/

海外アーティストが頻繁に来日して、彼らのライブを見に行ったり、仕事で県外へ気軽に出張したり出来たあの頃。たった2年前のことなのに、もう遥か昔のことのように感じてしまうのが悲しい。

コロナ禍が収まるどころか宮城県はリバウンドで状況が悪化してきているし、「なんでこうなる…!?」と、この頃すっかり気が滅入っております。
ただ、あまり気が滅入ってしまうと物書きの仕事に支障が出るので、これは少々気分転換をしなければいけないなと思い、先日は一日中家にこもってブライアン・フェリーのレア音源集を作っていました。

要するにフェリーさんのアルバム未収録曲やシングルB面曲、映画に提供したカヴァー曲や主題歌などをまとめて一枚のアルバムにする作業なのですが、こういう編集作業というのはいざ着手するとなかなかハマるものでして、作業に没頭するうちに精神集中というか雑念が取り払われて、意外とよい気分転換になった次第です。

今だったら「プレイリスト作り」ということになるのかもしれませんが、それだと簡単かつ便利にいろいろ出来てしまうので面白くないし、頭がリフレッシュされない。
あえて時間と手間をかけて作業することに意義がある。
どうせ外出を控えて自宅での時間が有り余っていることだし、他人に”無駄”と思われる行為に没頭するのも乙なものです。

そんなわけで、ワタクシが編集したフェリーさんのレア音源をご紹介します。

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『秘密への招待状』のBANGER!!!コラムの補足的なお話(エンディングテーマ”Knew You for a Moment”の歌詞とか)

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、映画『秘密への招待状』(19)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は弊社リリース作品「ケルティック・ロマンス」でもおなじみのマイケル・ダナ。

今回もサントラ盤の差込解説書用に、マイケルさんから話を聞くことが出来ました。
昨年インタビューを申し込んだ時、アメリカはちょうど感謝祭シーズンだったのですが、なんとか締め切り期限に間に合わせて回答して下さいました。

そんなわけで『秘密への招待状』の音楽に関しては差込解説書で詳しく説明させて頂きましたし、先日BANGER!!!のコラムでもダイジェスト的にざっくりご紹介したので、正直ブログで書くネタがもう残っておりません。。

育ての親J・ムーア&生みの親M・ウィリアムズ競演!あのマッツ主演作をリメイク『秘密への招待状』の音楽が複雑な“親の心”を映し出す
https://www.banger.jp/movie/52124/

まあこちらのブログで私見を交えてもう少し突っ込んだ分析をさせて頂くならば、今後しばらく家族ドラマの音楽は、この映画のようにあまり規模の大きくないオーケストラがトレンドになっていくのではないかなと思います。
もともとマイケルさんはアトム・エゴヤン監督作品でこういうタイプのスコアを作曲していましたし、ジュリアン・ムーア出演作で言えば、イラン・エシュケリの『アリスのままで』(14)もピアノ四重奏のスコアだったし、ランディ・ニューマンの『マリッジ・ストーリー』(19)も本人が「室内楽規模のオーケストラ」とライナーノーツで説明していたし、同じニューマンの『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』(17)に至っては全編ピアノ曲だったことからも、その傾向が見えてくるのではないかと。

■以前のブログ
『マリッジ・ストーリー』音楽解説余話 ごく私的なランディ・ニューマン音楽遍歴
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/10386

さて今回のブログでは、字数の都合で差込解説書やBANGER!!!コラムで書ききれなかったトピック――『秘密への招待状』のエンディングテーマ曲について少しばかりご紹介したいと思います。

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『クラッシュ』(1996年)のスコアに聴く、ハワード・ショアの実験的室内楽の世界

『クラッシュ』(96) 4K無修正版が劇場公開中ということで、せっかくだからサントラにまつわる学生の頃の思い出話でも書こうかなと思い、ブログを書きました。

若い映画ファン(サントラリスナー)には「ハワード・ショア=『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの作曲家」というイメージが定着しつつありますが、ワタクシのような『羊たちの沈黙』(90)やデヴィッド・クローネンバーグの最盛期にショアの音楽を聴き始めた人は、「ショア=実験的で難解な音楽を書く人」という印象を持っているのではないかと思います。

『羊たちの沈黙』や『セブン』(95)、『ザ・セル』(00)あたりの音楽も強烈でしたが、ショアはクローネンバーグ監督作に登板した時の実験精神に溢れた音楽もすごい。
『スキャナーズ』(81)や『ヴィデオドローム』(83)の悪夢的な音楽とか、『裸のランチ』(91)の前衛的なジャズスコアもなかなかのインパクトでしたが、ショア×クローネンバーグの作品では、個人的に『クラッシュ』が一番印象的でした。

この映画が日本で劇場公開になった当時、自分はまだ成人になるかならないかの年頃だったので、『クラッシュ』は観に行きませんでした。成人映画指定だったので、親に「映画館に観に行くのはやめてくれ」と言われてたんですね。観るならビデオレンタルか衛星の映画チャンネルで放送になった時に家で観てくれと。
ワタクシは素直な青年でしたので、親の言いつけを守って『クラッシュ』の本編を観たのは映画公開から数年後、スターチャンネルで放送があった時でした。
サントラ盤を買ったのもその頃。今はなき新星堂カルチェ5仙台店のサントラコーナーにひっそりと売られているのを発見し、すみやかに保護(購入)したのを今でも覚えています。

映画のオープニングタイトルで流れるエレクトリックギター・アンサンブルの不吉なメインテーマに一発でヤられまして、「これは是非サントラで聴きたい!」と思ったんですね。そのぐらいインパクトのある音楽だった。

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【聴いたら最期】『ヒッチャー』のシンセスコアは時代の先を行くサウンドだったと思う

『ヒッチャー』(86)ニューマスター版が劇場公開中ということで、サントラ(音楽)のお話でもと思いブログを書きました。

…というのも、1月のBANGER!!!コラムで『ヒッチャー』と『キング・オブ・シーヴズ』(18)のどちらを書こうか悩んだのですが、諸般の事情で後者を選んだため、コラムのために温めていた『ヒッチャー』のネタが使えなくなってしまいました。
そのままお蔵入りさせるのも勿体ないので、当方のブログで再利用させて頂いた次第です。

『ヒッチャー』の音楽を担当したのはマーク・アイシャム。
ワタクシの好きな作曲家さんのひとり。
『蜘蛛女』(93)と『ハートブルー』(91)は特に好きなサントラです。

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2020年ごく私的サントラベスト10

今年はコロナ禍ゆえ、1月中旬に『フォードVSフェラーリ』(19)を観たのを最後に映画館へ行かない生活に入ってしまったので、新作映画の鑑賞本数はいつもの半分以下になってしまいました。

前回のブログにも書いたことですが、学生時代に映画館でインフルをうつされて1ヶ月半近く死ぬほどツラい目に遭ったので、こういう強力な感染症が流行っている時は、とても映画館に行く気になれないんですね。。

まぁそれでもネットフリックスやAmazonプライム、Apple TV+、オンライン試写、DVDレンタルなどでいろいろ観たので、普段よりちょっと気分が乗ってこないものの、その中でごく私的なサントラベスト10を選んでみました。

世の中がこういう状況なので、今年のチョイスの条件は

  1. 今年何らかの形で”初めて観た”映画(数年前にDVDリリースされた映画や、試写で観た来年公開の映画も含む)
  2. 実際にお金を出して買ったサントラ

…ということにさせて頂きました。

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