BANGER!!!で書いた『スカーフェイス』音楽コラムの補足的なお話

先日、BANGER!!!で『スカーフェイス』(83)の音楽コラムを書きました。

『スカーフェイス』 過激なバイオレンスにセクシーなディスコ音楽!
EDM界の巨匠ジョルジオ・モロダーの功績
https://www.banger.jp/movie/59235/

ワタクシ「自分は『ゴッドファーザー』(72)より『スカーフェイス』のほうが好きです」と公言すると、友人・知人からは十中八九「え~マジですか~?」というリアクションをされるのですが、そういう反応を返してくる人の6割ぐらいは『スカーフェイス』を観たことがなくて、残りの4割くらいはそもそも映画の存在自体を知らなかったりして、四半世紀くらい非常に肩身の狭い思いをしてきたのですね。

で、まぁそんな当方の憤懣やるかたない思いと、溢れんばかりの『スカーフェイス』愛を今回のBANGER!!!コラムにまとめて注ぎ込んだ次第です。

そんなわけで、自分が長年書きたいと思っていたことはほとんど書けたと思うのですが、もうちょっと補足しておいた方がいいかなというネタもあるので、少しばかり自分のブログで書かせて頂きます。

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6月は『アオラレ』『グリーンランド -地球最後の2日間-』『Mr.ノーバディ』でデヴィッド・バックリーのサントラ強化月間です、というお話。

ランブリング・レコーズ様のご依頼で、5/28公開の映画『アオラレ』(20)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『エンド・オブ・ステイツ』(19)のデヴィッド・バックリー。

Angel Has Fallen (Original Motion Picture Soundtrack)

ワタクシはこの方がハリー・グレッグソン=ウィリアムズのもとで下積みしていた頃から音楽を聴いていて、初めてバックリーの名前を確認したのはHGWの『ナンバー23』(07)でした。
その後HGWとバックリーの共同名義でスコア作曲を担当した『ザ・タウン』(10)を経て、『パリより愛をこめて』(10)で初めてバックリー単独名義の作品を聴いたという流れになります(『ドラゴン・キングダム』(08)でバックリーの名前を知ったリスナーも多いと思いますが)。

From Paris with Love (Original Motion Picture Soundtrack)

そんなわけで、機会があったらバックリーさんには是非一度インタビューしてみたいなとずっと考えていたので、今回の『アオラレ』でバックリーさんご本人に詳しく話を聞くことが出来て大変嬉しかったです。
彼のコメントはBANGER!!!のコラム(下記参照)で少しだけ引用してますが、是非国内盤サントラの差込解説書にて全文をご覧頂きたいなと思います。

ラッセル・クロウがブチギレあおり運転!『アオラレ』は音楽でも“怒り”をあおり立てるサイコスリラー
https://www.banger.jp/movie/57600/

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ブライアン・フェリーの最新ライブ盤「ROYAL ALBERT HALL 2020」を公式ストアから買いました。

ブライアン・フェリーの最新ライブアルバム「ROYAL ALBERT HALL 2020」を買いました。

前回の「LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL 1974」はタワーレコードオンラインで買ったのですが、「やっぱり公式ストアでフェリーさんのサイン入りCDを買っておけばよかったな~」と後悔したので、今回はフェリーさんの公式ストアからサイン入りCDをオーダーしました。2019年の来日公演の時に買えなかったツアーパンフも売っていたのでまとめ買い。

それに今回のアルバムは“All proceeds from this release will be shared between his band and crew members”ということだったので、30年以上フェリーさんの音楽を聴いている身としては、チャリティに参加する意味でも直販で買わなきゃなぁと思ったわけです(昨年予約注文した時点では、輸入盤国内仕様が枚数限定で出るなんて思わなかったし)。

コロナ禍でちゃんと当方の手元に届くかしらと若干不安だったものの、4月上旬に「発送したよ!」というお知らせメールが来て、その後さほど待たされることもなく、確か10日以内くらいに届いたような気がします。梱包もしっかりしていて、ツアーパンフも折れ曲がることなくピンとした状態でお届け。
CDを手に取った時「アレ? フェリーさんのサインは?」と一瞬思いましたが、紙ジャケの内側にサインが入ってました。

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BANGER!!!で書いたトレント・レズナー&アッティカス・ロスの映画音楽コラムの補足的なお話。

先日、BANGER!!!でトレント・レズナー&アッティカス・ロスの映画音楽に関するコラムを書きました。

2度目のアカデミー賞受賞なるか!? トレント・レズナー&アッティカス・ロスの映画音楽仕事を振り返る
https://www.banger.jp/movie/55647/

個人的には『この茫漠たる荒野で』(20)のジェームズ・ニュートン・ハワードに作曲賞を獲ってもらいたいのですが、アカデミー賞は「無冠の帝王にはなかなか賞をくれない(例:トーマス・ニューマン)」「一度作曲賞を獲った人にも、割とすぐにまた賞を授与する(例:グスターボ・サンタオラヤ、アレクサンドル・デスプラ)」という傾向があるので、それを考えると今回もトレント・レズナー&アッティカス・ロスが有力かなと思います。

そんなわけで、当方のブログでは字数の都合でBANGER!!!のコラムで書けなかったネタを少し補足させて頂きます。

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アカデミー賞作曲賞ノミネートは伊達じゃない! 『この茫漠たる荒野で』のジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽が素晴らしいというお話。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、NETFLIXで配信中の映画『この茫漠たる荒野で』(20)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『ファンタスティック・ビースト』シリーズ(16,18)や『ナイトクローラー』(14)のジェームズ・ニュートン・ハワード(以下JNH)。

まずサントラ盤の概要については、BANGER!!!に書かせて頂いたこちらのコラムをご覧下さい。

アカデミー賞有力! Netflix『この茫漠たる荒野で』 壊れた世界を調和へと導く意味深長な音楽
https://www.banger.jp/movie/53607/

サントラ盤のブックレットにはポール・グリーングラス監督の比較的長めのライナーノーツが載っていたので、こちらは学生時代の恩師に全訳をお願いしました。
『この茫漠たる荒野で』の音楽のこと、そしてパンデミックでボロボロになっている今日の現実世界のことなど、かなり大事なことが書かれてあったので、これはプロの方に翻訳して頂いたほうがいいなと思ったので。これを読むのと読まないのとでは、本作の音楽に対する見方(聞き方)もかなり変わってくると思います。

さてワタクシはJNHの音楽が大好きでして、学生時代(90年代前半)からいろんなサントラを買い漁っていました。

『メジャーリーグ』(89)や『摩天楼を夢みて』(92)…はコンピ盤でしたが、『逃亡者』(93)とか『ダイヤルM』(98)とか『ディアボロス 悪魔の扉』(97)とかいろいろです。


個人的に一番好きなJNHの作品は、何と言っても『わかれ路』(93)ですね。トゥーツ・シールマンスのハーモニカをフィーチャーした、コンテンポラリー・フュージョン系のスコアがすごくよかった。

しかしながら、サントラリスナーとの会話で「ジェームズ・ニュートン・ハワードが好き!」と公言しても、なかなか会話が盛り上がってくれなかったり、「あ、そうなんですか。ところで私はですね…」と華麗にスルーされたり、「通ぶってマニアックな作曲家を選びやがって」と思われたり、個人的な体験から言ってもいい思い出がほとんどなかった。「ビートルズのメンバーで誰が好き?」と聞かれて、「ジョージ・ハリスン!」と答えた時の相手のリアクションに似ているかもしれません。

でも、いや、そんな感じだからこそ、「ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽はいいぞ」とワタクシは声を大にして申し上げたいわけです。

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