『プリズン・ブレイク』DSDリマスター盤でラミン・ジャワディ・サウンドの原点を振り返るの巻

prison break

ラミン・ジャワディ作品の宣伝強化月間継続中!ということで、
『パーソン・オブ・インタレスト』(11~)、
『アイアンマン』(08)に続いて、
先頃DSDリマスター盤が発売になった、
『プリズン・ブレイク』(05~09)のサントラ盤について書かせて頂こうと思います
今回リイシューされたのは、
シーズン1と2の音楽を合計31曲・63分ほど収録したサントラ盤です。

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『シンプル・プラン』のイヤ~~な後味再び…。サム・ロックウェル主演作『転落の銃弾』

a single shot

以前、映画音楽家のアトリ・オルヴァルッソンさんと都内某所でお茶した時、
「最近『A Single Shot』(13)って映画の音楽をやったんだけど、これ難しかったわー」と言っていたのですが、
その『A Single Shot』が『転落の銃弾』という邦題でDVDリリースになっていたので観てみました。
サム・ロックウェル主演のスリラー映画です。

舞台はバージニア州の田舎町。
ロックウェル扮する主人公ジョン・ムーンは、
密漁でかろうじて生計を立てているやさぐれハンター。
凄腕ハンターらしいのだけれども(映画後半でその”凄腕”っぷりを見せてくれます)、
森に入って早々、映画開始5分程度で鹿と間違えて若い女性を誤写。
これはマズい、と証拠隠滅を計るべく女性が野宿していた場所を探ってみると、
大金の入ったスーツケースを発見。

父親が経営失敗して実家の牧場を手放し、
幼い息子を連れて家出した妻からは離婚を申し立てられ、
ドン底の生活を送っているジョンは、
短絡的に「カネさえあれば人生やり直せる!」と考えスーツケースをネコババ。
当然そんな胡散臭いカネに手を出してタダで済むわけがなく、
それ以来彼の身辺で不審な出来事が多発する…というお話。

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第87回アカデミー賞をちょっとだけ振り返ってみる。

the grand budapest hotel

今年のアカデミー賞の最優秀作曲賞は、
『グランド・ブタペスト・ホテル』(14)のアレクサンドル・デスプラでした。

本命:『イミテーション・ゲーム』のヨハン・ヨハンソン
対抗:『グランド・ブタペスト・ホテル』のデスプラさん
大穴:『ターナー、光に愛を求めて』のゲイリー・ヤーション

…とワタクシ予想を立てておりましたので、
見事に(ビミョーに?)外れてしまいました。

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マイケル・ダナ名作選/マネーボール(2011)

MoneyBall

弊社リリース作品『ケルティック・ロマンス』の作曲家、マイケル・ダナの映画音楽作品を振り返る不定期連載コーナー。
今回はアカデミー賞授賞式間近ということで、第84回アカデミー賞で6部門にノミネートされた『マネーボール』(11)をご紹介します。

映画の内容に関しては今さら説明不要でしょう。
オークランド・アスレチックスのGM、ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)の奇抜なチーム立て直し&補強術を描いた実録ドラマ。
捕手から一塁手に転向した(させられた)スコット・ハッテバーグ役で、今をときめく『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)のクリス・プラットが出ているのもポイント。

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遅ればせながら祝DSDリマスター盤発売! 『アイアンマン』はストーリーも音楽も1作目が一番好きですの巻

iron man

先週『パーソン・オブ・インタレスト』のサントラ盤のことを書いたので、
今月はラミン・ジャワディ強化月間ということにして、
彼の作品についていくつか書かせて頂きたいと思います。

今回はもうブログタイトルそのまんまなんですけど、
ワタクシ『アイアンマン』シリーズは2008年の1作目が一番好きなのであります。
前も書きましたが2作目はエピソードをいろいろ詰め込みすぎてドラマが浅いし、
何よりミッキー・ロークの扱いがヒドすぎる(特に後半)。
3作目は中国市場を露骨に意識した内容が気になって何だか話に乗っていけない。
その点1作目は、ストーリーが(いい意味で)シンプルで、
キャラクターの行動や性格づけがブレていないのが素晴らしい。

『ダークナイト』3部作のブルース・ウェインや、
『パーソン・オブ・インタレスト』のハロルド・フィンチの系譜に連なる、
「豊富な資金を悪との戦いに注ぎ込む大富豪」というトニー・スタークのキャラはやはり清々しい。
トニーとオバディア・ステインの関係を、
モーツァルトとサリエリに見立てた脚本もいいですね。
オバディアがサリエリのピアノ協奏曲(ラルゲット)を弾くシーンがあるので、
まぁ恐らくそういう解釈で合っていると思いますが。

で、音楽ネタついでにオリジナル・スコアの話になるわけですが、
『アイアンマン』シリーズは1作目がラミン・ジャワディ、
2作目がジョン・ファブロー監督のお気に入りのジョン・デブニー、
監督がシェーン・ブラックに代わった3作目が、
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(13)のブライアン・タイラーと、
続編が作られる度に作曲家が交代しましたが、
やっぱりいま聴いてもジャワディさんの1作目の音楽がベストではないかと確信しております。

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