247°F

247F

レンタルDVD店の「サスペンス・ホラー」の棚に並ぶ怪しげな日本未公開のホラー映画の数々。何となく興味をそそられてパッケージ裏面のあらすじを読んで、「これ意外と面白いんじゃね?」と思って借りてみると心底しょーもない映画だったりして、まぁ確率から言えばダメな映画の方が多いわけですが、中には掘り出し物もあったりするから侮れません。

「サウナから出られなくなるワン・シチュエーション・スリラー」という解説文に興味を持ち、なおかつ僕が他の映画で見た事のある役者さんが3人出演していたので、『247°F』(11)なる映画をレンタルしてみました。原題の意味はFahrenheit 247(摂氏にすると約120°)。劇中でサウナがピークまで上昇した時の温度です。

ちなみに見た事のある役者さんというのは、『ランナウェイズ』(10)でリタ・フォードを演じていたスカウト・テイラー=コンプトン、リメイク版『13日の金曜日』(09)でいけ好かない金持ちのボンボンを演じていたトラヴィス・ヴァン・ウィンクル、『X-MEN』(00)のセイバートゥース役のタイラー・”ビッグ・スカイ”・メインの3人です。

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『ALEX CROSS』予告編

ジェームズ・パターソンのベストセラー小説の映画化作品、『コレクター』(97)と『スパイダー』(02)でモーガン・フリーマンが演じていたDr.アレックス・クロスのB級サスペンス・シリーズがまさかのリブート。しかも主演がフリーマンからタイラー・ペリーに変わるというこれまた驚きの人選。

この思い切った人選を日本映画で例えるなら、原田芳雄が演じていた役を柳沢慎吾主演でリメイクするようなもんでしょうか(ちょっと違うか?)

アレックス・クロスというキャラは「犯罪心理学の専門家」という設定なので、「Tyler Perry’s なんたら」みたいなコメディ映画を監督・脚本・主演を兼ねて撮りまくっているペリーは何かイメージが違うなーと。

クロス役にジェイミー・フォックスを起用できれば立派なA級サスペンスになった気もしますが、バジェット的に難しかったか、あるいは最初からそういう路線は狙っていなかったのか。個人的には『ロックンローラ』(08)や『プロメテウス』(12)のイドリス・エルバなんて知性とタフさを兼ね備えた感じでよかったんじゃないかなーと思うのですが、どうでしょう。

しかしペリーのクロス役異常に強烈なのが、”ピカソ”役のマシュー・フォックス。役作りで筋トレ&減量をしたらしく、見た目にもアブない感じのサイコな悪党を不気味に演じている模様。もはや『LOST』のジャック・シェパードの面影は微塵もありません(左腕のタトゥーは健在)。

そういえばフォックスはここ最近飲酒運転だの、女性のバス運転手を殴っただの、ドミニク・モナハンからツイッターでボロカスに言われただの、ダーティーな話題が続いておりましたが、この映画のための役作りだったのか、もともとSっ気のある人なのか、何だか分からなくなってきました。

そんな『ALEX CROSS』(12)は現在全米公開中。
“ややウケ”といった感じの興行成績と、日本でのペリーの知名度を考えると、日本公開は難しいかな…。

監督は『ステルス』(05)、『ハムナプトラ3』(08)のロブ・コーエン。
音楽は『ハムナプトラ3』でコーエンと組んだジョン・デブニーが担当しています。
サントラは配信のみのリリースらしい。まぁそんな事だろうとは思ったけど…。

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マイケル・ダナ名作選 / サーフズ・アップ (2007)

surfs up

『ケルティック・ロマンス』のアーティスト、マイケル・ダナ&ジェフ・ダナのフィルモグラフィーを振り返る不定期連載企画。今回はマイケルの作品から、CGアニメ映画『サーフズ・アップ』(07)をご紹介します。

サーフィン大会で優勝を狙う青年ペンギン・コディ(声:シャイア・ラブーフ)とその仲間たち、そして伝説のプロサーファー”ビッグZ”(声:ジェフ・ブリッジス)とのユルいドラマをドキュメンタリー番組タッチで描いたアニメ。

マイケル・ダナといえば、アトム・エゴヤンとかアン・リーのようなシリアスドラマ専門の映画音楽家という印象だったので、「マイケルがペンギンアニメの音楽をやるの?」と当時かなり意外に思ったもんです。

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ボーン・レガシー(音楽について)

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ジェイソン・ボーン・シリーズの立役者を4人挙げるとするならば、

主演のマット・デイモン、
1作目の監督・シリーズ3作の製作総指揮のダグ・リーマン、
2・3作目の監督のポール・グリーングラス、
そして音楽のジョン・パウエルという事になるでしょう。

この4人が全員プロジェクトから離脱して、『ボーン・レガシー』(12)の音楽は一体誰が担当する事になるのかと思ったら、ジェームズ・ニュートン・ハワードが手掛ける事になりました。

監督のトニー・ギルロイとは『フィクサー』(07)と『デュプリシティ』(09)で仕事しているし、プロデューサーのフランク・マーシャルとも一連のM・ナイト・シャマラン作品で交流があるので、この人選は割とすんなり決まったのではないかと。

さてジェイソン・ボーン・シリーズの音楽と言えば、サンバの如く豪快にパーカッションを鳴らしまくるスピード感&グルーヴ感抜群のサウンドが魅力だったわけですが、果たしてパウエルが生み出した”ジェイソン・ボーン・サウンド”をJNHがどう料理するのか。似たようなノリのスコアを書くのか、あるいはパウエルとは違う手法で攻めてくるのか、個人的には興味津々でございました。

先に結論から申しますと、前者の「似たようなノリのスコア」でした。
JNHの仕事で言えば『ソルト』(10)のノリに近いサウンドかなー。

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ボーン・レガシー(映画について)

the bourne legacy

CIAの凄腕暗殺者ジェイソン・ボーンを巡る一連の騒動は、
前作『ボーン・アルティメイタム』(07)で一応完結。

ポール・グリーングラスは「もうこのシリーズの監督はしない」と言い、
マット・デイモンは「ポールが登板しないなら自分も出演する事はないだろう」と言い、
製作総指揮のダグ・リーマンもシリーズから離れたわけですが、
それでも「このシリーズはまだ稼げるから続編作るぜ!」ってな感じで「番外編的続編」を作ってしまうあたり、さすがハリウッドですな。
いい意味でも悪い意味でも…というか、どっちかというと悪い意味で。

ま、フランク・マーシャルといえばやり手のプロデューサーですからね。
自作のクオリティを守るため、スタジオとケンカしまくった面倒くさいリーマン(フランカ・ポテンテの起用を巡ってモメたりもしたらしい)もいなくなったし、シリーズの脚本家トニー・ギルロイに監督させて、自分の作りたいように作るぜーと思った事でしょう。

そんなわけで、これでもかなり期待して『ボーン・レガシー』(12)を観に行ってきました。

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