『荒野にて』のスコアは”考えるのではなく、感じる音楽”…だと思う。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『荒野にて』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
音楽はジェームズ・エドワード・バーカー。

日本のサントラリスナーにもほとんど知られていない作曲家ですが、
ワタクシちょうどこの仕事の数週間前に『タイム・トゥ・ラン』(15)をDVDレンタルで観ていて、
「B級アクション映画専門の作曲家さんかと思ったら、アンドリュー・ヘイのようなアート系映像作家の作品も担当するんだなぁ」という感じで、どんな音楽を書いたのか俄然興味が湧いてきたのでした。

で、ランブリングさんから送って頂いた音源を聴いてみたら、
当方の想像以上に深遠な音世界を構築していたので、軽く衝撃を受けた次第です。

そして試写で映画本編を観たらさらに衝撃。
上映時間122分の中で、スコアが使われていたのは20分ちょっとでした。。
思えば『さざなみ』(15)もスコアが一切ない映画でしたね。。

それじゃあ今回もスコアがなくてもよかったんじゃね?…と思われるかもしれませんが、ヘイ監督はそうしなかった。
その理由を考えてみると、
やはり「荒野」という特殊なロケーションと、
そこを彷徨う口数の少ないナイーブな少年の機微を描くためには、
ここぞというところで音楽が必要だったのでしょう。

 

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