第87回アカデミー賞をちょっとだけ振り返ってみる。

the grand budapest hotel

今年のアカデミー賞の最優秀作曲賞は、
『グランド・ブタペスト・ホテル』(14)のアレクサンドル・デスプラでした。

本命:『イミテーション・ゲーム』のヨハン・ヨハンソン
対抗:『グランド・ブタペスト・ホテル』のデスプラさん
大穴:『ターナー、光に愛を求めて』のゲイリー・ヤーション

…とワタクシ予想を立てておりましたので、
見事に(ビミョーに?)外れてしまいました。

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マイケル・ダナ名作選/マネーボール(2011)

MoneyBall

弊社リリース作品『ケルティック・ロマンス』の作曲家、マイケル・ダナの映画音楽作品を振り返る不定期連載コーナー。
今回はアカデミー賞授賞式間近ということで、第84回アカデミー賞で6部門にノミネートされた『マネーボール』(11)をご紹介します。

映画の内容に関しては今さら説明不要でしょう。
オークランド・アスレチックスのGM、ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)の奇抜なチーム立て直し&補強術を描いた実録ドラマ。
捕手から一塁手に転向した(させられた)スコット・ハッテバーグ役で、今をときめく『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)のクリス・プラットが出ているのもポイント。

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遅ればせながら祝DSDリマスター盤発売! 『アイアンマン』はストーリーも音楽も1作目が一番好きですの巻

iron man

先週『パーソン・オブ・インタレスト』のサントラ盤のことを書いたので、
今月はラミン・ジャワディ強化月間ということにして、
彼の作品についていくつか書かせて頂きたいと思います。

今回はもうブログタイトルそのまんまなんですけど、
ワタクシ『アイアンマン』シリーズは2008年の1作目が一番好きなのであります。
前も書きましたが2作目はエピソードをいろいろ詰め込みすぎてドラマが浅いし、
何よりミッキー・ロークの扱いがヒドすぎる(特に後半)。
3作目は中国市場を露骨に意識した内容が気になって何だか話に乗っていけない。
その点1作目は、ストーリーが(いい意味で)シンプルで、
キャラクターの行動や性格づけがブレていないのが素晴らしい。

『ダークナイト』3部作のブルース・ウェインや、
『パーソン・オブ・インタレスト』のハロルド・フィンチの系譜に連なる、
「豊富な資金を悪との戦いに注ぎ込む大富豪」というトニー・スタークのキャラはやはり清々しい。
トニーとオバディア・ステインの関係を、
モーツァルトとサリエリに見立てた脚本もいいですね。
オバディアがサリエリのピアノ協奏曲(ラルゲット)を弾くシーンがあるので、
まぁ恐らくそういう解釈で合っていると思いますが。

で、音楽ネタついでにオリジナル・スコアの話になるわけですが、
『アイアンマン』シリーズは1作目がラミン・ジャワディ、
2作目がジョン・ファブロー監督のお気に入りのジョン・デブニー、
監督がシェーン・ブラックに代わった3作目が、
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(13)のブライアン・タイラーと、
続編が作られる度に作曲家が交代しましたが、
やっぱりいま聴いてもジャワディさんの1作目の音楽がベストではないかと確信しております。

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『パーソン・オブ・インタレスト』のサントラ盤、日本版は2枚組仕様でお買い得です!の巻

person of interest

昨年の暮れにランブリング・レコーズさんから、
「『パーソン・オブ・インタレスト』のサントラ盤ライナーノーツを書いてみませんか?」
…とお声がけ頂きまして、
仕事の依頼を頂いてからドラマをシーズン2までイッキ観したのですが、
いやーすっごい面白いじゃないですかこのドラマ!

「何で今までこんな面白いドラマをスルーしてたんだよ自分!」と思ったと同時に、
このドラマの面白さに気づかせてくれたランブリングさんに大変感謝した次第です。

『パーソン・オブ・インタレスト』の何がそんなに面白いのかについては、
まぁ何か別の機会に詳しく書かせて頂くとして(ひとことで言えばこのドラマはセリフが面白いです)、
今回はサントラ盤のお話です。
製品のライナーノーツで書ききれなかったこともいくつかあるので、
その補足も兼ねてということで。

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『裸の銃(ガン)を持つ男』3部作のサントラ盤は意外と洒落たシネ・ジャズですの巻

the naked gun

去年投稿しようとしたものの、タイミングを逸してお蔵入りになっていたネタです。

あれは去年の夏だったでしょうか。La-La Land Recordsから『裸の銃を持つ男』3部作のサントラ盤が出たので、ついつい買ってしまいました。

『裸の銃』1作目は1988年、
2作目は1991年、
3作目は1994年だったみたいなので、
シリーズ完結から20年が経った計算になります。
当時の自分は中学・高校生ぐらいでしたが、このシリーズには笑わせて頂きました。
字幕でも十分面白いけど、日曜洋画劇場放送版の羽佐間道夫氏の吹き替えが素晴らしかった。
『裸の銃』シリーズはアメリカン・コメディ映画史上に残る名作ではないかと思います(個人的に3作目は下ネタが多すぎてイマイチだったのですが)。

1作目も2作目も決して上品な映画ではありませんが、3作目は監督がデヴィッド・ザッカーからピーター・シーガルに代わったため、下ネタの見せ方にちょっと洒落っ気が欠けている印象があった。何しろこの監督、2年後に『ナッティ・プロフェッサー2』(96)を撮った人ですから。

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