追悼 デニス・ホッパー

dennis hopper

現地時間の5月29日朝、俳優のデニス・ホッパーが亡くなりました。
享年74歳。合掌。

ニュース映像で痩せ細った姿を見た時から覚悟はしていたけれど、
イーストウッドが80歳になっても精力的に映画を撮っている事を
考えると、まだまだホッパーには「永遠の不良中年」として活躍して
ほしかったな、とも思う。

とはいえ、若い頃からドラッグ&アルコール漬けの退廃的な生活を
送っては入退院を繰り返していたから、歳を取ってからその反動が
来たのかなと思うと、「その割には長生きしたほうなんじゃないだろ
うか」という気もするのです。

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A La Vie Prochaine

a la vie prochaine(DVD)

先頃の『Page By Page』リリース時に、「高橋幸宏FAIR 2009 DVD全員プレセントキャンペーン」
という企画をやっていたのですが、その時にEMIミュージック・ジャパンから送ってもらった幸宏さんの
PV集『A La Vie Prochaine』を今頃になってようやく鑑賞。

このDVDは1990年にレーザーディスクとVHSでリリースされたPV集のDVD化作品で、自分も当時
VHS版を買ったクチです。もっとも、当時はあまりこのビデオを見た記憶がないのですが、多分90年
当時はこの作品集の良さを理解するには幼すぎたのでしょう。何たって中学生でしたから。

a la vie prochaine(VHS)

・・・というわけで、改めて本編を見てみると、お洒落でいい作品だなーと今更のように思ってしまうの
でした。特に”X’ MAS DAY IN THE NEXT LIFE”のPVはモノクロの色味や構成がクロード・ルルー
シュの映画っぽくてグッと来ますな。実際、”FOREVER BURSTING INTO FLAME”のPVはドー
ヴィル海岸で撮ってますし。

幸宏さんのエッセイ集「ヒトデの休日」によると、”X’ MAS DAY…”のPVはサン・ラザール駅でゲリラ
撮影を敢行したとの事。ちなみにフランスでのPV撮影は、現地の日本人コーディネーターの仕切りが
悪くていろいろ大変だったそうで、同エッセイ集にもあれやこれやと舞台裏の事が書いてありました。

ま、この時期の幸宏さんのエッセイは文体が椎名誠調で、書いてある事も脚色している可能性が
あるので、真偽の程は定かではありませんが。

今夜のBGMは『BROADCAST FROM HEAVEN』で決まり・・・かな。

  

やっぱりBLURが好き

今日は午後に便利屋さんに来てもらって、ユニットバスのクリーニングをお願いしました。
作業中は仕事場を留守にできないので、午後は部屋でせっせとデスクワーク。

本日のお仕事中のBGMは、先日Blur Storeで購入したBLURのライブ・アルバム「All The
People / BLUR Live at Hyde Park」の7月3日公演盤。これが最高にイカス。

2003年のアルバム「Think Tank」リリース前に脱退したグレアム・コクソン(g.)が電撃復帰
して、オリジナル・メンバー4人が久々に一堂に会したライブという事で、メンバーも観客も
テンションが高い高い。グレアムのサイケなギターが炸裂!アレックスのベースがうねる!
デイヴのドラムが唸りを上げる!デーモンさん大熱唱!観客も大合唱!ってな感じで、会場
大盛り上がり。「観客が大合唱するライブ」といえばオアシスが有名なわけですが、いやいや
ブラーも負けちゃいませんって。

ワタクシが初めて聴いたブラのアルバムは「パーク・ライフ」だったので、初ブラー体験は
高校生の頃になります。今や語り草となっている「オアシスvsブラー抗争」をリアルタイムで
体験した世代なわけですが、自分はずーっとブラー派でした。

ワタクシが当時オアシスではなくブラーを選んだ理由はというと、ギャラガー兄弟のガラの
悪い言動が、中学時代の大っ嫌いだったイジメっ子を連想させたから・・・という音楽性とは
全然関係ないものでした。何事も第一印象が肝心って事ですかね(ちょっと意味が違うか)。

とはいえ、今日に至るまでブラーの音楽とお付き合いしてきて、ブリット・ポップ、ローファイな
オルタナ系サウンド、ワールドミュージック、ヒップホップ(Gorillaz)、映画音楽(デーモンさんは
『ラビナス』(99)、『私が愛したギャングスター』(00)、『101 Reykjavik』(01)のオリジナル・スコア
作曲を担当)・・・と、いろいろな音楽体験をさせてもらったので、今更のようにあの時ブラーを
選んでよかったなぁ、としみじみ思うのでした。

あ、そういえばブリちゃんが先日の「仙台コレクション」に急遽出演したそうなのですが、
自分は仕事が入っていて見に行けなかったので、詳しくは本人のブログをご覧下さい。
舞台裏の写真とかもいくつかUPしている模様です(Artist Linkから行けますので是非)。

ちなみにユニットバスは見違えるほどキレイになりました。便利屋さんどうもありがとう。
そしてお疲れ様でした。

  

ハートブルー(パトリック・スウェイジに捧ぐ)

2009年9月14日、俳優のパトリック・スウェイジが亡くなりました。享年57歳。死因は
すい臓ガンとの事でした。病気とは無縁そうなマッチョな風体のお方(バレエ・ダンサー
出身)だっただけに、その早すぎる死が本当に惜しまれます。

一般的には『ゴースト/ニューヨークの幻』(90)や『ダーティ・ダンシング』(87)で広く
知られているスウェイジでありますが、『3人のエンジェル』(95)のドラァグ・クイーン役や
『ドニー・ダーコ』(01)の胡散臭い自己啓発セミナーの教祖役、B級アクション『ブラック・
ドッグ』(98)のトラック野郎役など、型にはまらない個性的なキャラを約30年に渡って演じ
続けてきた個性派アクターでした。

その中で彼の代表作を一つ挙げるとするならば、筆者の場合は断然キャサリン・ビグロー
監督作『ハートブルー』(91)をチョイスしたいと思います。

初めてこの映画を観たのは高校生の頃で、確かTVの深夜枠で放送していた時だったと思うの
ですが、スウェイジ扮するサーファーのボディ(注:役名です)が実にカッコよかった。
ボディは東洋思想に通じる独自の人生観のような物を持っていて、サーファー仲間だけでなく、
彼らを追うFBI捜査官のジョニー・ユタ(キアヌ・リーヴス)すらも魅了してしまうカリスマ的な男
という設定でした。これがスウェイジの持つワイルドな雰囲気と絶妙にマッチしていたのです。

もちろん、ユタとボディはFBIと銀行強盗という立場なので、いずれは敵対する関係になるわけ
ですが、それでも心の中では互いをリスペクトしているのではないか、と思わせる「男の友情」
の描写が実に熱い。ラストの締め方もお互いの敬意というか友情が垣間見えて、不覚にも当時
ジーンと来てしまいました。

この作品を未見の方は、今からでも是非ご覧下さい。映画を見終わった頃には、『ゴースト』
ではなく、あえてこの作品をスウェイジの代表作にチョイスした筆者の気持ちもきっと理解して
頂ける・・・ハズ。

余談ですが、ユタと相棒のベテラン捜査官パパス(ゲイリー・ビジー)との親子のような関係も
グッド。特にパパスが張り込み中に新聞のマンガ欄を読んでだらしなくバカ笑いするシーンが
最高。ビグロー監督はこういう男同士の何気ないやり取りの描写がうまいんですよねー。新作
『The Hurt Locker』(09)も楽しみです。

オリジナル・スコアの作曲を手掛けたのは、先日『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』(08)で
ご紹介したマーク・アイシャム。映画公開当時リリースになったサントラ盤にはスコアが
1曲も収録されなかったのですが、2008年にLa-La Landから2000枚限定でスコア盤が
リリースになりました。実に17年越しのリリース。映画の根強い人気が分かるというものです。

改めて聴いてみて思うのですが、やっぱ名曲だわコレ。映画の公開から18年経っているのに
まったく色褪せていません。確かにシンセの音は「80-90年代前半の音」というチープな感じは
否めないのですが、楽曲全体のクオリティは今でも十分通用する完成度。
特にアイシャムさん自身が「今でも自分のデモ・リールに入れている」というスカイダイビングの
シーンの曲”Skydive”が出色。空を舞う清々しさと浮遊感が巧みに表現された名曲です。

あとは『ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!』(07)でもネタにされていた「ユタがボディを
撃てず、空に向かって銃を乱射」するチェイス・シーンの曲”Car / Foot Chase”も有名ですね。

・・・というわけで、”Skydive”と”Night Surfing”、そして映画のラストを締めくくる”Freedom”を
スウェイジ氏への追悼歌とさせて頂きたいと思います。

レスト・イン・ピース。

  

Have Fun, Stay Single

キャメロン・クロウ監督作『シングルス』(92)を久々に鑑賞。

当時「イカす音楽とファッションの発信地」として脚光を浴びていたシアトルを舞台に、
6人の独身男女の恋愛模様をユーモラスに描いた作品です。
個人的にクロウ監督の最高傑作ではないかと思っております。
(この時代のキャメロン・クロウはよかった…)

主なキャストはマット・ディロン(ロックバンド「シチズン・ディック」のリーダー・クリフ)、
ブリジット・フォンダ(クリフのガールフレンド、ジャネット)、
キャンベル・スコット(運輸省で超特急パーク&ライド計画に携わる公務員スティーヴ)、
キラ・セジウィック(環境保護委員会の職員リンダ)などなど。

主役はスティーヴとリンダなんですが、
サブエピソード担当のクリフとジャネットが実にいい味を出しておりまして、
巨乳好きのクリフのために豊胸手術を考えるジャネット(貧乳)が最高に可愛い。
そんなブリジット・フォンダも今やダニー・エルフマン夫人。時の流れを感じます(涙)。

ちなみにジャネットに豊胸手術を思いとどまらせる美容整形外科の医者を演じているのは
ビル・プルマン。
他にも「彼は2代目スコセッシよ!」と紹介されるビデオ・ディレクター役のティム・バートン、
『エイリアン』(79)のトム・スケリット(シアトル市長役)、
『スモーキン・エース』(07)のジェレミー・ピヴェン、
『キリング・ゾーイ』(93)のエリック・ストルツ(パントマイム芸人役)、
キャメロン・クロウ監督(インタビュアー役)等もカメオ出演してます。
ストルツは当時ブリジット・フォンダの恋人でした。
ヴィクター・ガーバーやポール・ジアマッティも端役で出ています。

余談ですが、映画の後半でスティーヴのパーク&ライド計画がシアトル市長からダメ出しを喰らって、
スティーヴは失意のあまり辞職(クビになったのかもしれない)してしまうのですが、
これを見ると本当にアメリカ人は車が好き(=電車が嫌い)なんだなーと思ってしまう。

ま、そんなこんなでこの映画の音楽なんですが、
これがまたロック好き垂涎のサントラというか何というか、
すごい顔ぶれが揃ってます。

まず、主題歌とスコアを担当しているのが元リプレイスメンツのポール・ウェスターバーグ。
主題歌の”Waiting for Somebody”と”Dyslexic Heart”はキャッチーで最高。

シチズン・ディックのメンバーとしてパール・ジャムのエディ、ジェフ、ストーンが顔を出しているほか、
彼らは未発表曲”Breath”、”State of Love and Trust”も提供。
そのシチズン・ディックの持ち歌”Touch Me I’m Dick”を作曲したのはマッドハニー。
「ベルギーでは売れている」バンドだそうです(クリフの劇中のセリフ)。

そしてアリス・イン・チェインズは”Would?”と”It Ain’t Like that”をライブハウスのシーンで熱唱。
これがまたグランジィかつハードロックな感じでイカす。
後者の曲は惜しくもサントラ未収録。

懐メロも結構使われてますが、
別格扱いなのはリンダとスティーヴのロマンティックなひとときを演出するジミ・ヘンドリックスの”May This be Love”。
さすがキャメロン・クロウ、ここぞという時の懐メロの使い方が相変わらずウマい。

劇中で使われた約30曲のうち、
サントラ盤にはシアトルのグランジ勢の曲を12曲+ジミヘンの曲を1曲収録。

■トラックリスト
1. Would? – Alice in Chains
2. Breath – Pearl Jam
3. Seasons – Chris Cornell
4. Dyslexic Heart – Paul Westerberg
5. Battle of Evermore – The Lovemongers
6. Chloe Dancer / Crown of Thorns – Mother Love Bone
7. Birth Ritual – Soundgarden
8. State of Love and Trust – Pearl Jam
9. Overblown – Mudhoney
10. Waiting for Somebody – Paul Westerberg
11. May This Be Love – Jimi Hendrix
12. Nearly Lost You – Screaming Trees
13. Drown – Smashing Pumpkins

映画公開当時は「流行最先端の音が詰まったアルバム」だったわけですが、
今は「90年代のあの頃」を振り返る1枚として、
また違った面白さが味わえるサントラになっているのではないかと思います。
中古CDショップで見かけたら即保護しましょう。
後に『マン・オブ・スティール』(13)で使われる事になる、
クリス・コーネルのソロ曲”Seasons”も収録されているので、
買っておいて損はないと思います。

ちなみに国内盤を買っても歌詞・対訳は載ってません。残念。