6月は『アオラレ』『グリーンランド -地球最後の2日間-』『Mr.ノーバディ』でデヴィッド・バックリーのサントラ強化月間です、というお話。

ランブリング・レコーズ様のご依頼で、5/28公開の映画『アオラレ』(20)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『エンド・オブ・ステイツ』(19)のデヴィッド・バックリー。

Angel Has Fallen (Original Motion Picture Soundtrack)

ワタクシはこの方がハリー・グレッグソン=ウィリアムズのもとで下積みしていた頃から音楽を聴いていて、初めてバックリーの名前を確認したのはHGWの『ナンバー23』(07)でした。
その後HGWとバックリーの共同名義でスコア作曲を担当した『ザ・タウン』(10)を経て、『パリより愛をこめて』(10)で初めてバックリー単独名義の作品を聴いたという流れになります(『ドラゴン・キングダム』(08)でバックリーの名前を知ったリスナーも多いと思いますが)。

From Paris with Love (Original Motion Picture Soundtrack)

そんなわけで、機会があったらバックリーさんには是非一度インタビューしてみたいなとずっと考えていたので、今回の『アオラレ』でバックリーさんご本人に詳しく話を聞くことが出来て大変嬉しかったです。
彼のコメントはBANGER!!!のコラム(下記参照)で少しだけ引用してますが、是非国内盤サントラの差込解説書にて全文をご覧頂きたいなと思います。

ラッセル・クロウがブチギレあおり運転!『アオラレ』は音楽でも“怒り”をあおり立てるサイコスリラー
https://www.banger.jp/movie/57600/

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BANGER!!!で書いた『ザ・アウトロー』の音楽コラムの補足的なお話

ムービープラスで今月(4月)も『ザ・アウトロー』(17)の放送があるということで、BANGER!!!に音楽紹介コラムを書かせて頂きました。

「ド派手アクション×シンセサウンド」の進化系『ザ・アウトロー』 ジェラバトが伝説の強盗犯に挑む! | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/31541/ #BANGER

この映画については、以前当方のブログでも音楽についてあれやこれや書いていたのですが、BANGER!!!コラムに書くにはダラダラしていた部分をバッサリ削って、より深く掘り下げた音楽分析を行ってみたつもりです。

当方の過去のブログ記事はこちら。

アクション映画の音楽に新風を吹き込む、クリフ・マルティネスによる『ザ・アウトロー』のアンビエント・スコア
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/9561

今回のブログはBANGER!!!コラムの補足ということで、『ヒート』(95)とその流れを汲む作品たちのサントラをざっくりご紹介させて頂きます。

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『ジェイソン・ボーン』のサントラ盤が届いたので聴いてみた

jasonbourne

映画の日本公開は10月ですが、
タワレコから『ジェイソン・ボーン』(16)のサントラ盤が届いたので早速聴いてみました。

監督・共同脚本はポール・グリーングラス。
グリーングラスとマット・デイモンが製作にも名を連ね、
製作総指揮にはダグ・リーマンの名前も。
撮影監督のバリー・アクロイド、
編集兼脚本のクリストファー・ラウズもグリーングラス作品の常連スタッフ。
音楽もジョン・パウエルが戻ってきました。

ただし今回はジョン・パウエルとデヴィッド・バックリーの共同クレジット。
バックリーはハリー・グレッグソン=ウィリアムズと『ナンバー23』(07)や『ザ・タウン』(10)などで仕事して、
ソロ作品では『ドラゴン・キングダム』(08)や『パリより愛をこめて』(10)、『PARKER/パーカー』(13)などを代表作に持つ作曲家。
バックリーの加入で、『ジェイソン・ボーン』の音楽は過去作品とどう変わったのかが注目ポイントだったわけですが、
ワタクシがサントラを聴いた感じでは「電子音率がやや高くなった」という印象を受けました。

 

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『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のダニー・エルフマンの音楽はかなりいいと思う。の巻

fifty shades of grey

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(15)は公開2週目ぐらいに映画館に観に行ったのですが、
確かその頃は『シグナル』(14)と『ジョン・ウィック』(14)のライナーノーツ執筆の準備で忙しくて、
ブログで何も書かないまま時が過ぎてしまったのでした。
しかし最近になってDVDレンタルが始まったので、
せっかくだからこのタイミングで以前書こうと思っていたことを書かせて頂きます。

まぁ映画本編は観る前から「女性目線の『ナインハーフ』(86)的な感じ?」と思っていたので、
ほぼ当方の予想通りの内容&結末でありましたが、
自分はダコタ・ジョンソン目当てで観に行ったので特に不満はありません。

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ザ・タウン

the town

いやー、前評判通りなかなか面白い映画だった。

初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(07)も地味ながらよく出来たハードボイルド映画でしたが、ベン・アフレックは娯楽色の強いクライム・アクションも撮れるんだなー、と感銘を受けた次第。2000年代中頃までロクな映画に出てなかったけど、(脚本家の素養はあったとはいえ)この人に監督の才能があったとは意外でした。

雑誌とか映画情報サイトでアフレックとイーストウッドの作品を比較・検証する記事がいろいろあったけど、作品傾向としてはアフレックはイーストウッドというよりマイケル・マン系と言った方がいいでしょう。ハードボイルドでありながら、どこかロマンティストな一面が垣間見えるストーリーテリングなんかが特に。

『ザ・タウン』(10)で個人的に見応えがあってよかったなと思ったのは、強盗の手口が極めてアナログな所。僕は「セキュリティシステムにハッキングして云々」みたいなハイテク強盗映画があまり好きではないので(強盗の手口でハイテクを使われると”何でもアリ”な気がして興ざめなのです)、本作のように強盗グループが綿密な計画と徹底した役割分担で”仕事”をこなす過程を描いた映画はグッと来るものがあります。このへんもマイケル・マンの映画に雰囲気が似ているかも(『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』とか)。アフレックもお気に入りに挙げている『ヒート』(95)とか『バンク・ジョブ』(08)とか『ハートブルー』(91)がお好きな方は、この映画も楽しんで頂けるのではないかと。個人的にショーン・ペンの最高傑作と思っている『ステート・オブ・グレース』(90)の雰囲気にも近いかもしれない。ロビン・ライトとレベッカ・ホールも女優として傾向が似てるし。

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