グリーン・ゾーン

green zone

監督ポール・グリーングラス×主演マット・デイモン×編集クリストファー・
ラウズの『ボーン・アルティメイタム』(07)のスタッフが再結集(撮影監督は
オリヴァー・ウッドではなく『ユナイテッド93』(06)、『ハート・ロッカー』(08)の
バリー・アクロイド)という事で、楽しみにしていた『グリーン・ゾーン』(10)を
観て参りました。

映像的には期待通りのデキ。例によって、ブレにブレまくる手持ちカメラの
映像を細かいカットで繋ぎ、スピード感溢れる映像を見せくれています。
かなり激しく画面が揺れるので、映画館だと目線の高さより前の席で観た
ら頭が痛くなったり乗り物酔いにも似た症状を引き起こすかも。この映画を
観る時は、あまり前の席に座らない方がいいと思います。

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ウルフマン

the wolfman

先週『ウルフマン』(10)を観てきました。

ベニチオ・デル・トロとエミリー・ブラントという僕のお気に入りの役者さんが
出てるので、彼らの演技は(個人的に)それなりに楽しめましたが、印象と
してはフツーの怪奇映画という感じでした。事件の真相も「あの人」が登場
した途端に何となく分かってしまいますし。

まぁ、製作中にゴタゴタがあった割にはソツのない仕上がりになっていた
ような気はしますが。

問題はそのゴタゴタだったりするんだなぁ。この前『タイタンの戦い』(10)で
作曲家交代劇があった事を書いたばかりですが、この映画でも交代劇が
起こってしまったのです。しかも、状況的にはこっちの方がもっとややこしい。

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THE 4TH KIND

the 4th kind

この『フォース・カインド』(09)という映画、先月上旬に内覧試写を観に行った時には貰った資料に12/23(水)公開予定と書いてあったんですが、どうやら18日(金)に変更になったようですな。

プレス資料の裏に「ネタバレになるような表現を使用されての(記事・宣伝の)ご掲載に関しましてはご配慮下さい」と書いてあるので、その言いつけを守るとなると、非常に紹介が困難な作品なんですよねー。でもまぁ、その辺に気をつけてあれこれ書いてみたいと思います。

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ワイルド・スピードMAX(オリジナル・スコアについて)

fast and furious

・・・というわけで、本日は『ワイルド・スピードMAX』の音楽についてのお話です。
音楽といっても、ここでご紹介するのはオリジナル・スコア。歌モノではありません。

スコアの作曲を担当したのは、近年「アクション映画の音楽ならオレに任せろ!」ってな
フィルモグラフィをモノにしてしまっている作曲家、ブライアン・タイラーです。

前作『TOKYO DRIFT』(06)に続いての登板という事で、彼はこのシリーズで初めて連続
登板を果たした作曲家という事になりました(1作目はBT、2作目はデヴィッド・アーノルド、
3作目はタイラー・・・と、監督が代わる度に作曲家も毎回変わっていたのです)。

『TOKYO DRIFT』のスコア盤リリースの時、ライナーノーツ用にタイラーさんにインタビュー
したのですが、あの時は映画音楽家というよりロックバンドのあんちゃん的なノリでいろいろ
語ってくれました。とはいえ、まぁ年に4、5本の映画音楽を担当する多忙な人だし、さすがに
今回は忙しいだろうなーと思いつつ取材のアポを取ってみたら、意外とあっさりOKが出ました。
素晴らしい。

・・・というわけで、今回も国内版スコア・アルバムのライナーノーツ用に「(音楽を担当する
映画の)作品選びのポイント」、「ジャスティン・リン監督との出会い」、「タイラーが語る
『ワイルド・スピードMAX』の音楽」・・・という感じでいろいろ語ってもらいました。

例によって、詳しくはランブリング・レコーズからリリースになった国内盤をお買い求め頂いて、
拙稿に目を通して頂ければと思います。こういう俗っぽい映画でも、結構いろいろ考えたり
分析したりして作曲してるんだなーという事がよく分かるお話でした。

しかも、インタビューから数週間後に「〆切りには間に合ったかな?」なーんて気を遣って
くれるナイスガイっぷりも見せてくれました。こういう気遣いがとっても嬉しい今日この頃。

さて今回のスコア。サウンド的には『TOKYO DRIFT』と同様、タイラーさんが演奏する
ラウドなギター、ドラム、ベース、シンセサイザーにオーケストラを組み合わせたハード
ロック調のスコアです。いわゆるアクション映画における「タイラー節」ってやつでしょうか。
『TOKYO DRIFT』ではかなり鳴らしまくってましたが、今回もかなりイッちゃってます。

一部で「『TOKYO DRIFT』との違いが分からん」という意見もありますが、よーく聴くと
音楽のトーンが微妙に異なります。何と言っても、今回はスコアでも「笑い」の要素がない。
前作のサントラだと、例えば”Hot Fuji”とか”Sumo”あたりのスコアは若干コミカルな要素が
ありましたが、今回は全体的にシリアス仕様になってます。

さらに今回はカーアクション・シーンで既製のヒップホップとかハードロックではなく、タイラー
さんのスコアで盛り上げてくれるのがスコア・ファンとしては嬉しいところ。映画冒頭の
タンクローリー襲撃シーンの”Landtrain”、道路封鎖なしのストリート・レース時の”Dom vs
Brian”、メキシコ国境の隠しトンネル内を疾走するシーンの”Tunnel”など、タイラーさんの
激アツ・スコアが炸裂。多分、本作がシリーズで一番スコア比率の高い作品なんじゃないかと
思います(歌モノはパーティーのシーンとかで使ってます)。

個人的には、アルバムの中でもイカレ系な感じの”Outta Sight”や”Fast and Furious”が
ラウドかつノイジーでお気に入り。メロディーを堪能したい方はメインテーマをフィーチャーした
“Suite”をどうぞ。78分近くスコアをCDに収録しているので、そういう意味でもお得な感じです。

『ワイルド・スピードMAX』オリジナル・サウンドトラック・スコア
音楽:ブライアン・タイラー
品番:GNCE7061
定価:2,625円