「潜水艦/海戦アクション映画のサントラはハズレなし」の法則は『グレイハウンド』にも当てはまるというお話。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、Apple TV+で配信中の映画『グレイハウンド』(20)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当はテレビシリーズ『ARROW/アロー』や『メンタリスト』のブレイク・ニーリー。
ワタクシ的には、2000年代のハンス・ジマー(およびリモート・コントロール・プロダクションズのアーティスト)の作品でオーケストラ指揮や追加音楽の作曲を担当していたイメージが強い作曲家です。

『グレイハウンド』オリジナル・サウンドトラック(TOWER RECORDS)

『グレイハウンド』の音楽については差込解説書でかなり詳しく書かせて頂きましたし、BANGER!!!でニーリーさんにインタビューもさせて頂いたので、正直もうブログで書くネタがありません。。

Uボートの不気味さと緊張感を増幅させる音楽!
トム・ハンクス主演最新作『グレイハウンド』の作曲家が語る
https://www.banger.jp/movie/43397/

しかし、せっかくなのでもうちょっとネタを絞り出してみたいと思います。

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『ハンターキラー 潜航せよ』のトレヴァー・モリスの音楽がとても親切設計な件

『ハンターキラー 潜航せよ』オリジナル・サウンドトラック(amazon)
『ハンターキラー 潜航せよ』オリジナル・サウンドトラック (TOWER RECORDS)

先日『ハンターキラー 潜航せよ』(18)を観てきました。

この手の映画で前評判が高いというのはちょっと珍しいケースだなと思っていたのですが、いやいや前評判に違わぬ大変見応えのある映画でございました。

潜水艦映画と特殊部隊映画のアクションいいとこどりで、そこにペンタゴンとロシア政府、クーデター組織の駆け引きのドラマを加えて、米露潜水艦艦長の男のドラマと、ネイビーシールズ隊員の男の友情ドラマまで描いてしまう欲張り仕様。
しかも絶妙なタイミングで潜水艦と司令部・シールズの場面を切り替えるので、122分ずっと緊張感が維持されてダレ場が全くないのが素晴らしい。

ドノヴァン・マーシュ監督すごいよ!…と思いました。

『ハンターキラー』を観た後マーシュ監督の『裏切りの獣たち』(13)を観たのですが、これもまたよく出来た犯罪映画でした。
限定された空間でのスピード感のあるカメラワークとか、極限状況下での緊迫した人間ドラマの見せ方とか、犯罪者集団と軍人/政治家という違いこそあれ、両作品に共通する部分がかなりあったなーという印象。『裏切りの獣たち』を観て『ハンターキラー』の監督に抜擢したという製作陣はいいセンスしてます。

で、ドラマのテンション(和製英語のほうではなく、本来の”緊張”の意味)を高める音楽を作曲したのは、『エンド・オブ・ホワイトハウス』(13)、『エンド・オブ・キングダム』(16)の作曲家のトレヴァー・モリス。『ハンターキラー』はジェラルド・バトラーの製作会社「G-BASE」も携わっているので、「それじゃあ音楽もモリスで」ということになったのでしょう。

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IMMORTALS -神々の戦い-

immortals

ミッキー・ロークの凶悪ヒールっぷりを大画面で見たくて、『インモータルズ 神々の戦い』(11)を劇場にて鑑賞。

結論としましては、個人的に大満足の映画でした。何と言ってもロークの演じたハイペリオンの極悪非道っぷりが素晴らしい。登場キャラが多すぎて後半で影が薄くなった『アイアンマン2』(10)のウィップラッシュとは違い、ハイペリオンは最後まで見せ場があるし、テセウスとのラストバトル(肉弾戦)もなかなかの迫力。テセウス役のヘンリー・カヴィルも骨のある二枚目という感じで好印象。『TUDORS -背徳の王冠-』のブランドン役でもいい演技をしていたので、今後大成してくれるといいのですが。

監督が『ザ・セル』(00)のターセム・シンという事で、今回もヴィジュアルがギラギラ。そして斬首・串刺し・胴体輪切り・真っ二つ・頭部粉砕などの残虐描写が凄まじかった(一番ヒドいのは巫女様の蒸し焼きだったな・・・)。『ザ・セル』の時も馬の輪切りとか巻き上げ機(何を巻き上げたかはあえて言いませんが)とかのグロ描写が多かったし、ターセムという人はちょっとサドっ気のあるのかもしれない。

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