FOZZYの詞の世界

今週は2泊3日で東京に行ってました。小学校時代の同級生の女の子が
「大和楽」という伝統芸能をやっているのですが、彼女が主宰する作曲
発表会があるというので、ちょうど東京に仕事の用事もあったし、それなら
出張ついでに優雅に舞台鑑賞としゃれ込みましょうかね、という事になった
わけです。

で、東京滞在中にメールチェックしたら、外部のさるお方にお願いしていた
“Chasing the Grail”の歌詞対訳が届いていたのですが、これがまた実に
クオリティの高い翻訳で嬉しくなっちゃいました。

通常、ポップスの歌詞対訳となると、それを専門とする翻訳家の方に対訳を
依頼する事が多いと思うのですが、そこはインディーレーベル。せっかくだから
メジャーレーベルであまりやらないような実験的な事をやってみようじゃないか、
とあれこれ考えておりました。

そこで考えたのが、FOZZYの歌詞対訳を大学教授にお願いするという試み。

『デトロイト・メタル・シティ』がヒットして、ハードロックとかヘヴィ・メタルという
ジャンルはあんな事(詳しくは言えませんが、セックスとかドラッグとか誰かを
転がすとか、まぁそういう事)ばっかり歌っているような印象を世に与えて
しまったような気がするのですが、一概にそうは言えないんじゃないかと。
ハードロックだって失恋や傷心、社会風刺や文学的な事を歌ったりしている
わけで。

そこでFOZZYの詞の世界に格調高さを持たせるべく、英文学のプロに歌詞の
翻訳をお願いしたと。そういうわけです。

自分で言うのも何ですが、これが大正解!シロウトの僕がざっと読んでみても、
今回の”Chasing the Grail”はかなり凝った歌詞になってるなーと思ったので
すが、正統派英文学のプロの方が翻訳して下さったおかげで、詞の表現や
言葉の解釈に深みが増して、ワイルドな中にもインテリジェンスを漂わせた、
実に詩的な内容になったのでした。

思えばクリス・ジェリコという人は子供の頃から「本のムシ」だったという話も聞き
ますし(前に『WWE Confidential』でそんな事を言っていたような気がする)、マイ
ク・パフォーマンスも上手いので、日常的に語彙の豊富な人なんですな。今回も
ヨハネの黙示録を題材にした”Wormwood”とか、スティーヴン・キングとピーター・
ストラウブの小説『タリスマン』からタイトルを取った”God Pound His Nails”
なんて曲もあるし。

「FOZZYの歌詞は非常に文学的含蓄に富んでいて、いろいろなallusionがある」
と翻訳を担当した先生も言っておりました。つまりはヘヴィ・メタルとしてはもちろん
の事、独立した読み物(=詩)としても一級品というわけです。素晴らしい。

これでまた一歩アルバム製作が進みました。残りの作業も頑張ります。