映画 『ニード・フォー・スピード』の見所をいろいろ検証するの巻

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先週「ワイスピとは違うのだよワイスピとは!」などと書きましたが、
それでは『ニード・フォー・スピード』(14)は『ワイルド・スピード』シリーズとどこが違うのか。
今回はそのあたりをいろいろ検証していこうかなと思います。

まず『ニード・フォー・スピード』は、
「はじめにストリートレースありき」のストーリーがポイントかと。
自分も含めて映画が面白いから忘れがちなのですが、
『ワイルド・スピード』で真っ正面からストリートレースの世界を描いていたのは、
せいぜい3作目の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)までで、
あとはほとんど西部劇ライクな復讐劇(4作目のMAX)だったり、
『オーシャンズ11』(01)のようなドリームチーム強盗アクション(5作目のMEGA MAX)だったり、
遂にはFBIと共闘までしてしまったり(6作目のEURO MISSION)、
「クルマを使ったアクション映画」になってしまってます。

一方、今回の『ニード・フォー・スピード』は、
演出過剰になりつつあるカーアクション映画に歯止めをかけるというか、
「そもそも俺たちはストリートレースに熱狂してたんじゃなかったか?」と、
カーアクション映画を公道レースの世界に差し戻す内容になっているんですねー。

公道レースの世界というのがどんなものかというと、

「だったらレースで勝負だ!」(”だったら”って何?)

…というアレです。

父親が遺した自動車修理工場の借金を返済する方法も公道レース。
勝手な車の売買契約のツケを払わせるのも公道レース。
親友を事故死させた相手への復讐も公道レース。
とにかく「ストリートレースでケリをつける」というシンプル極まりない世界。
あまりにも単純でアホっぽく映るかもしれませんが、
まぁ~このテの映画は話を複雑にすればいいってもんでもありませんからねぇ。

 

そしてこの映画、古き良きカーアクション映画へさり気なくリスペクトを捧げてます。
プロダクション・ノートによると監督のスコット・ワウ(『ネイビーシールズ』(12)の人)は、
60年代から70年代にかけて作られたカーアクション映画に敬意を表する作品を作りたかったのだとか。
そこで挙がっている映画というのが、
『ブリット』(68)や『フレンチ・コネクション』(71)、『バニシング・ポイント』(71)、『グラン・プリ』(66)、『激突!』(71)といった作品群。

一番分かりやすいのは『バニシング・ポイント』でしょうか。
『ニード・フォー・スピード』には伊達と酔狂で公道レースを主宰し、
レースの実況中継や走り屋向けのラジオ放送まで行っているモナークという男が登場するのですが、
この男、『バニシング・ポイント』でいうところのDJ・スーパー・ソウルにあたるキャラではないかと。
モナークを演じているのはマイケル・キートン。

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運転しない代わりにマシンガントークで喋りまくるマイケル・キートン。

台本にセリフの大まかな筋だけ書いてあって、
あとはアドリブで適当に喋ってるんじゃないの?と思ってしまうぐらいマイペースで喋りまくり。
スタンダップ・コメディ出身のキートンの話芸が冴え渡ります。

あと、物語序盤のマウント・キスコのストリートレースで、
音楽(オリジナル・スコア)の入るタイミングが『ブリット』に似てるような気がしました。
最初は音楽なしでクルマのエンジン音を爆音で聴かせつつ、
途中からスコアが入ってくる感じ。

 

この映画のストーリー自体もどことなくロードムービー的なところがあって、
「デレオン」というモナーク主宰の全米最大の公道レースがあるのですが、
参加者はエントリー時間までにカリフォルニアまで行かなければならないんですね。
で、本作の主人公トビー(アーロン・ポール)は、
訳ありお目付役のジュリア(イモージェン・プーツ)を乗せて、
マスタングでNYからLAまで大陸横断の旅に出るわけです。
このあたりの展開が『キャノンボール』(81)的というか、
『トランザム7000』(77)的というか、
まぁ見方によっては『バニシング・ポイント』的というか、
「クルマで大陸横断」という何だか懐かしいノリで話が進むのです。

シカゴ市内で展開されるテク重視のカーアクションは『フレンチ・コネクション』っぽいし、
ユタ州でトビーのマスタングが武装した賞金稼ぎに追われるシーンは、
荒涼としたロケーションも相まって『激突!』っぽく見えなくもないですね。

「腕に覚えあり」なドライバーが大挙参加した『ニード・フォー・スピード』のカースタントは、
クルマで金庫を引きずり回しながらリオの街を爆走するのとはまた違った、
「一見荒っぽいけど、地に足の付いたスタイリッシュなカーアクション」と言えるでしょう。
映画に搭乗する車種も『ワイルド・スピード』とは違った感じのラインナップだし、
こっちもなかなか面白い映画ですぜ。

 

というわけで、『ニード・フォー・スピード』の話はまだ続くのであります。

 

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