『必殺』シリーズの音楽は個人的に70年代の作品が一番好きです(追悼・平尾昌晃氏)

先日、平尾昌晃氏の訃報がtwitterで流れてきたわけですが、

「”よこはま・たそがれ”や”瀬戸の花嫁”などのヒット曲で知られる平尾昌晃さん」

…という略歴のまとめ方をされていて、
ああそうか、一般的には平尾さんは「昭和歌謡曲のヒットメーカー」という認識なんだなーと思った次第でして。

それじゃあお前さんはどういう認識なんだと聞かれたら、
ワタクシ的には断然「平尾さん=『必殺』シリーズの作曲家」なのです。

 

世代的に言えば『必殺仕事人III』の”仕置のテーマ”が最も印象に残っているのですが、
ワタクシ当時はまだ子供でしたので、
後に時代劇専門チャンネルやテレ朝チャンネルなどで『必殺』シリーズの再放送を観るようになってからは、
70年代の『必殺』シリーズ(いわゆる”仕事人”以前)が内容・音楽ともにお気に入りになりまして、サントラ盤も買い漁りました。
それで平尾さんの音楽も集中的に聴きまくったのですが、
「作曲:平尾昌晃/編曲:竜崎孝路」のコンビが作り出す楽曲のバリエーションの多彩さ、
数回聴けば覚えられるキャッチーなメロディー作りの巧さ、
他の時代劇音楽とは一線を画すサウンドに感銘を受けました。

 

ワタクシ『木枯し紋次郎』が好きなので、
敦夫さんがレギュラー出演した『必殺仕業人』が一番好きなのですが、
何だかんだで音楽もこれが一番好きかもしれません。

シリーズ屈指のドライな人間関係と無情な世界観を反映させたかのような、
ストリングスとギターの音色を前面に出したクールなスコア。
剣之介とお歌のテーマの寂しげなメロディーもいいし、
やいとや又右衛門のテーマのエッチなミュートトランペットもいい味出してるし、
ブライアン・フェリーのアルバム「イン・ユア・マインド」を彷彿とさせる(←こんな例えを出すのは自分ぐらいでしょうけども)”歌うストリングス”のアレンジが絶品です。
「♪デデデーン/デデデーン」という”仕置のテーマ”のイントロもアガりますね。

『新 必殺仕置人』は『仕業人』からガラッと変わって派手なサウンドになっていて、
これも結構好きだったりします。
仕置の仲間が『仕業人』のクールな連中から一転、
運動部の部員のようなタフでワイルドな面々になったせいか、
音楽も享楽的というかアッパーなノリになっているのが印象的。
「観音長屋」のハッピーな曲調などは、
鉄・巳代松・正八・おてい・主水さんという面子だからこそ生み出せたものではないかなと。
随所でジョン・カーペンター的なシンセサイザー音が使われるようになったのも特徴ですね。
(「追跡」とか「危機一髪」「絶体絶命」が聴きどころ)

基本的に”仕置のテーマ”はアップテンポでテンションが上がる曲、という認識があったので、
『必殺仕置屋稼業』のサックスがエロティックな昭和歌謡系ブルース・サウンドは初見時かなり意外でした。
このスローな曲で仕置をするの?と思いましたが、
曲が40秒を過ぎたあたりからガーッと盛り上がってきて、
「こういう仕置のテーマもイイですね!」とハマってしまいました。
『仕置屋稼業』は何と言っても”市松のテーマ”の切ないテーマが出色ですね。
テーマソングの「哀愁」のメロディーも市松さんの虚無的なキャラに合っているような気がします。

“仕置のテーマ”はどの作品もテンションが上がる名曲揃いですが、
個人的には『必殺必中仕事屋稼業』の”仕置のテーマ(「仕事屋大勝負」)”がシリーズ最高傑作ではないかと思っております。
疾走感あふれるリズムと哀愁のメロディーを奏でるヴァイオリン、
西部劇音楽のような鋭いカッティングのギター演奏がやたらとカッコイイ。
バディ・ムービーっぽい半兵衛さんと政吉のコンビだからこそ、
このスピーディーな曲がマッチしたのかなーと思います。
(仕置メンバーが3人以上だとこの曲はちょっと合わないかも)

…で、今週から時代劇専門チャンネルで『必殺仕置人』が始まったので、
久々にサントラを聴いているのですが、
上記の作品に比べるとラテンサウンドとかマカロニ・ウエスタン・テイストとかジャズ・テイストがやや強めな感じかなと。
「戯れ」のピアノがレイ・チャールズのなんとなーく「ホワッド・アイ・セイ」っぽかったり。
シリーズ初期の作品にもかかわらず(それゆえか?)、
「音楽でいろいろやってみました」感が最も強いアルバムという印象です。
ワカチャカかき鳴らされるギターがカッコイイ「末世に生きて」が収録されている点だけでも、
このサントラは個人的に”買い”でした。
『必殺仕業人』の「あんた この役者どう思う」でも使われてまして、
剣之介・又右衛門・主水さんが渡世人の格好で出張するファンサービス的なシーンで流れて
印象に残っていた曲なんですよね~。

いやぁ70年代『必殺』シリーズの音楽はクオリティ高いです。
ギリギリ70年代だし『必殺仕事人』のサントラも買おうかな…。


 

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