『47RONIN』で「投げっぱなし」と言われているあの伏線を検証する

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まだまだ『47RONIN』(13)の話が続きます。
「いい加減飽きた」という声も聞こえてきますが、
もうしばらくお付き合い下さい。

この映画、予算超過とか追加撮影とかいろいろゴタゴタしたらしいのですが、
これが監督デビュー作だったカール・リンシュも、さぞかし大変だった事でしょう。
『トロピック・サンダー 史上最低の作戦』(08)でスティーブ・クーガンが演じていた、
新人映画監督デミアン・コックバーンみたいな状況だったのではないかと。

まぁ、あのデヴィッド・フィンチャーですら、
監督デビュー作の『エイリアン3』(92)で修羅場を経験したわけですから、
リンシュも今回のゴタゴタにメゲずに頑張って頂きたいところです。
映像センスは確かなものを持っていると思うので。

今回は映画を観た人の中で「伏線投げっぱなし」と批判されている、
あの「天狗の刀」について自分なりに検証して書いてみようかなと。

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『47RONIN』でいい味を出しているあの助演キャラについて

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この映画をご覧になった方のうち、
一体何人の人がこういう見方をしたか分かりませんが、
『47RONIN』(13)に登場する脇役キャラで最も印象に残るキャラを一人挙げるなら、
やはり大石内蔵助の片腕兼足手まといだった安野(羽田昌義)ではないかと思います。
何というか…安野のヘタレっぷりがいい味出してるんですよ、これが。

 

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皆さんイロモノ扱いしてるけど、『47RONIN』には評価すべき点もありますよ、という話

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『47RONIN』(13)を公開初日に観て参りました。

公開日が何度も延びたとか、
追加撮影とかVFX作業が遅れて再編集作業が遅れたとか、
作曲家が交代したとか、
あまりいい話を聞かなかったので、
一体どんな映画になったのかと内心ハラハラしていたのですが、
思った以上に頑張っている作りだったので安心しました。
というか、僕は結構楽しめました。
先日twitterにも書きましたが、
この映画は「おりえんたる・あくしょん・ふぁんたじぃ大作」なんだなぁ、と。
赤穂浪士の物語をベースにして、ファンタジー映画を作っちゃうよという。

何しろこういう映画ですから、
あそこがヘン、ここがヘンとツッコミながら映画を観る人も多いと思うのですが、
あんまり重箱の隅をつつくような見方をしても楽しくないですし、
多分それを聞かされる方もあまり面白くないような気もしますので、
個人的にはもっと広い心で本作を観て頂きたい所存です。
まぁ僕がキアヌ・リーブス好きなので、
単に贔屓目に観てしまっているだけかもしれませんが、
「ヘンな映画だと思ってたけど、あの場面は結構よかったね」という感じで、
愛のある目線で楽しんで頂きたいと思います。

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大傑作『ゼロ・グラビティ』のサントラは是非”アルバム”で買って下さい…!

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映画『ゼロ・グラビティ』(13)は映像、物語のみならず音楽(オリジナル・スコア)も素晴らしかった。
僕個人としては、作家性の強いSF映画の音楽はクリフ・マルチネスの『ソラリス』(02)と、
クリント・マンセルの『月に囚われた男』(09)の2本でもう最高レベルに達したと思っていました。
もうこれ以上のものは出て来ないのではないか、と。

ところが出てしまったんですねー。
今回の『ゼロ・グラビティ』の音楽、聴いていて鳥肌が立ちました。
こんなにも心の底から感情を沸き立たせてくれる音楽がまだあったとは、と驚いたほどです。

作曲はスティーブン・プライス。
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが地球を救う!』(13)とか、
『アタック・ザ・ブロック』(11)の音楽を手掛けた若手作曲家です。
プライスのバイオグラフィーはサントラ盤封入のライナーノーツに詳しく書かせて頂きましたが、
それにしてもエドガー・ライト印のコメディ映画の音楽を作曲していた人に、
シリアス極まりないSFサバイバル映画の音楽を任せてしまうのだから、
アルフォンソ・キュアロン監督の人選もスゴイものがありますね…。
結果的にその選択は大正解だったわけですが。

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『ゼロ・グラビティ』のマット役がジョージ・クルーニーでなければならなかった理由を考える

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というわけで、前回に続いて『ゼロ・グラビティ』(13)の話題。
今回はもう一人の出演者、ジョージ・クルーニーについて。

聞くところによると、クルーニーが演じたマット・コワルスキー役は、
当初ロバート・ダウニーJr.が演じる予定だったのだとか。
(その後スケジュールの都合で降板したらしい)
ダウニーJr.の降板を受けてキャスティングされたのがジョージ・クルーニー。
この二人の俳優を並べてみると、マット役に必要とされた要素が見えてきます。

その1:特徴ある声の持ち主である事。
その2: 男前(の中年)である事。
その3:ユーモアのセンスがある事。
その4:どこかマイペースで余裕を感じさせる人物である事。

個人的にはこの4つがマット役に必要不可欠な要素だと思いました。

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