CORIOLANUS -英雄の証明-

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シェイクスピア悲劇『コリオレイナス』の舞台を現代の政情不安な小国(たぶん東欧のイメージ)に置き換えた、レイフ・ファインズ製作・監督・主演作…なんですが、それにしてもまぁ何でこんな邦題になったんだろう。

サミュエル・L・ジャクソンとトミー・リー・ジョーンズが共演した『英雄の条件』(00)という映画がありましたが、あれの二番煎じみたいな邦題になってしまいました。映画本編を観た感じでは「無愛想で愚直な”英雄”(=ファインズ)が、腹に一物抱えた政治家の策略で国を追われ、やがて敵国に寝返って祖国への復讐を企む」というストーリーなので、”英雄の証明”とはちょっとテーマが違うんじゃないかという気がする。まぁ『英雄の条件』ってのもピントのズレた邦題だなーと思いましたが。

というわけで、ここでは『コリオレイナス』と表記させて頂きます。

シェイクスピア劇で上映時間が123分と聞いた時は、もっと冗長な内容なんじゃないかという印象でしたが、予想に反して一気に観られました。脚色がうまいのかな。まさかシェイクスピア劇でコンバット・シューティングが見られるとは思いませんでした。撮影監督が『ハート・ロッカー』(08)のバリー・アクロイドという事もあって、市街戦もなかなかの迫力。ファインズの演出力もさることながら、スタッフの人選もなかなかの目利きです。

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レーベル配信楽曲の人気タイトルトップ3

先日、レーベル音源の配信をお願いしている会社さんからここ3ヶ月分の売上報告書が届いたので、何となーく目を通して何となーく分析。

せっかくなので、過去数年分の売上報告書も再度見直して、どの曲が人気なのかトップ3を集計してみる事にしました。

各アーティストの統計結果は以下の通り。

■Charlie DeChant
1位:Afternoon
2位:Blue Song
3位:Sun Shower

■FOZZY
1位:Paraskavedekatriaphobia (Friday the 13th)
2位:Martyr No More
3位:Under Blackened Skies

■Eliot Lewis
1位:She’s Gone
2位:Jetstream
3位:Truth

※『ケルティック・ロマンス』はまだ集計データが足りない感じなので割愛。

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ジェフ・ダナ名作選 / バイオハザードII アポカリプス(2004)

resident evil 2

『ケルティック・ロマンス』のアーティスト、マイケル・ダナ&ジェフ・ダナのフィルモグラフィーを振り返る不定期連載企画。

今回はジェフの作品から、ポール・W・S・アンダーソン監督&ミラ・ジョヴォヴィッチ主演『バイオハザード』シリーズの2作目、『バイオハザードII アポカリプス』(04)をご紹介します。

有名ゲームソフトの映画化、と言っても映画版のバイオハザードは独自のストーリーを展開しているため、忠実な映画化とは言い難いものがあります。が、しかし。この『バイオII』はシリーズ中最も再現度が高い要素があります。それは登場キャラクター。さらに言うならジル・バレンタイン。

何と言っても、シエンナ・ギロリー扮するジル・バレンタインのコスプレが最高なのですよ。ゲーム版『バイオIII』のコスチュームを完璧に着こなしてます。よくこれだけイメージがぴったりの女優さんを探してきたもんだ。映画版『バイオII』の真のヒロインはジルといっても過言ではないでしょう。この映画はシエンナジルの事だけで語り尽くせます(ヒドい言い方)。

しかし肝心の映画本編…というか、格闘アクションの見せ方がイマイチなのが残念。監督のアレクサンダー・ウィットは『ハンニバル』(01)とか『ボーン・アイデンティティー』(02)の第二班撮影監督をやっていた人(この映画の後、『ワールド・オブ・ライズ』(08)の撮影監督に抜擢されます)なので、長編映画監督としての手腕はまだまだだったのでしょう。その点、続編の『バイオハザードIII』(07)はベテランB級アクション監督のラッセル・マルケイだったから、映像にも一種のケレン味というかメリハリがあったような気がします。

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『THE GREY 凍える太陽』(音楽について)

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『THE GREY 凍える太陽』(11)はリドリー&トニー・スコットの製作会社「スコット・フリー」の作品という事で、音楽担当は『プロヴァンスの贈りもの』(06)以来リドリーお気に入りの作曲家となったマーク・ストレイテンフェルドが起用される事になりました。

ジョー・カーナハン自身はクリフ・マルチネス、クリント・マンセル、アラン・シルヴェストリと毎回違う作曲家と組んでいるので、スコアにはそれほどこだわりがないのか、あえていろんな作曲家と仕事をしてみたいと思っているのか、まぁそのどちらかなのでしょう。

もともとあまり自己主張が強くない音楽を書き下ろす人でしたが、今回は題材がこんな感じなので、ストレイテンフェルドの作風が功を奏しているというか、音数やメロディーをぐっと抑えた虚無感と寂寥感を感じさせるスコアを作り上げています。悲壮感を漂わせたテーマ曲”Writing The Letter”も結構耳に残るメロディーではないかと。「これからヤバい事が起こるぜぇ」という危うい空気感をバスサックスの音色で表現している点もなかなか手が込んでます。

というわけで、手堅い仕事をしているストレイテンフェルドではあるのですが、ハンス・ジマーのもとで下積みをした作曲家でありながら、個人的にはリモート・コントロール色が極めて薄い音楽を作る人という印象があります。

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THE GREY 凍える太陽(映画について)

リーアム・ニーソンご一行様 vs オオカミ軍団の極寒サバイバル・スリラー映画『THE GREY 凍える太陽』(11)を観てきた。

ノーテンキかつ大味な内容だった『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(10)に比べたら、実に反骨精神旺盛かつ苦い結末を好むジョー・カーナハンらしい作品でした。『NARC/ナーク』(02)への原点回帰といったところでしょうか(『ブラッド・ガッツ』(98)は未見なので何とも言えませんが)。

ここ最近『センチュリオン』(10)や『フローズン』(10)、『セラフィム・フォールズ』(06)など極寒サバイバル映画を観る機会が多いのですが、『THE GREY』もその系譜に繋がる作品かな、と。

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