デヴィッド・アーノルドの007音楽に関するBANGER!!!コラムの補足的なお話。

The World Is Not Enough (Limited Edition) – TOWER RECORDS

ムービープラスで6ヶ月連続『007』特集放送があるということで、
前回の『007/ゴールデンアイ』(95)のエリック・セラの音楽に関するコラムに続いて、
デヴィッド・アーノルドの音楽コラムを書きました。

巨匠のお墨付き! テクノ系「次世代型『007』音楽」を確立した作曲家デヴィッド・アーノルド https://www.banger.jp/movie/36451/ #BANGER

エリック・セラの『ゴールデンアイ』の音楽コラムを書いたのだから、ファン人気の高いアーノルドの音楽もきちんと紹介しないといけませんよね」…と思い立ったものの、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(97)から『007/慰めの報酬』(08)まで1作品ずつ紹介していったら肝心の映画の放送が終わってしまうので、「ひとつのコラムの中で5タイトルの音楽をまとめて紹介」という構成にさせて頂きました。

…とはいえ、コラムを書くにあたって映画を観直したり、
サントラをじっくり聴き直したりしたので、
文字数の割には手間がかかってます。

当方がお伝えしたいことはコラムの中でほとんど書いてしまったのですが、こちらのブログでは補足的なネタ(サントラ盤の在庫状況など)を書かせて頂きます。

まずアーノルドがジョン・バリーや『007』シリーズの製作陣(イオン・プロダクション)に注目された『007』シリーズ主題歌のカヴァー集というのがコレ。

Shaken and Stirred: The David Arnold James Bond Project (amazon)

もう廃盤になってますが、ダウンロード版で入手可能。

で、『トゥモロー・ネバー・ダイ』のサントラ盤なのですが、通常盤はレコーディング状況とリリーススケジュールの関係上、映画の途中までのスコアしか収録されていなかったのですが(シェリル・クロウの主題歌とk.d.ラングのエンディングテーマは収録)、のちにChapter III Recordsからスコア完全盤が発売になりました。
しかしメジャーレーベルからの発売ではなかったので、プレス数もそれほど多くなかったようで、割とすぐに売り切れた記憶があります。
現在は日本盤・輸入盤ともども廃盤状態。ダウンロード版でのリリースも実現していない模様。

ワタクシはこのスコア完全盤を持っていたのですが、東日本大震災の時に仕事場の棚からCDの雪崩が起きまして、何枚かのサントラ盤と一緒に、このスコア盤にもディスクの盤面に致命的な深い傷がついて再生不能になり、泣く泣く処分する羽目になりました(PCに音源を取り込んでいなかったのが悔やまれます)。そんなわけで、『トゥモロー・ネバー・ダイ』のスコア完全盤のリイシューが待たれます。

一方、『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(99)と『007/ダイ・アナザー・デイ』(02)のスコア完全盤は、数年前にLa-La Land Recordsから枚数限定で発売されました。収録曲のボリューム、迫力のサウンド共に大変聴き応えがあります。

ちなみにサントラ盤のブックレットの中で、アーノルドはセラの音楽にも言及していて、「ピアースの映画で音楽がああいう感じ(エレクトロニック・スコア)になるのは自然なことだった。好き嫌いは別として、あれがピアースのボンドを体現するものなんだ」と言ってました(思いっきり意訳ですが)。

賛否真っ二つに分かれた『ゴールデンアイ』の音楽ではありますが、ある意味セラが「新しい007音楽」の”突破口”を開いたからこそ、のちのアーノルドやトーマス・ニューマンが仕事をやりやすくなったのではないかとも思います。

そして『ダイ・アナザー・デイ』のサントラ盤ライナーノーツを読むと、監督のリー・タマホリは「『トリプルX』(02)のようなアクションスコアを欲しがっていた」そうです。
監督の意向を反映した結果、音楽もあのような派手なテクノ系スコアになったと。
『ダイ・アナザー・デイ』の音楽は、一部のコアな007ファンから「やり過ぎ」と言われているようですが、まあ監督が『トリプルX』を例に出したらこうなるしかないだろうなという感じです。ちなみにタマホリ監督は、その後『トリプルX ネクスト・レベル』(05)を撮ってます。

そしてアーノルドのテクノ系007音楽は『ダイ・アナザー・デイ』で一旦終了し、『007/カジノ・ロワイヤル』(06)と『007/慰めの報酬』(08)では、「オーケストラ+シンセ with ワールドミュージック要素」というサウンドになりました。
ブロスナン時代の007音楽に比べると「一聴しただけで分かる派手さ」は抑えられましたが、フルオケサウンドの重厚感とスケール感、リズムのグルーヴ感はキープといったところでしょうか。

『カジノ・ロワイヤル』のサントラ盤は、まだCDプレス盤で購入可能のようですが、『慰めの報酬』のCDプレス盤はもう廃盤になってしまった模様。

『ワールド・イズ・ノット・イナフ』と『カジノ・ロワイヤル』はアーノルドが主題歌の作曲にも携わっているので、主題歌のメロディがスコアの中でも多めに使われていていいですね。
『ワールド・イズ・ノット・イナフ』は「エレクトラのテーマ」に歌詞をつけた「Only Myself To Blame」(歌:スコット・ウォーカー)がエンディングテーマに予定されていたものの、監督のマイケル・アプテッドが「この映画の最後を締めるには暗すぎる」(意訳)とダメ出ししたので、歌がボツになって「ジェームズ・ボンドのテーマ」のリミックスに差し替えられた経緯があります。
まあこのようなことがあっても、アプテッドどアーノルドの関係は良好のようで、『イナフ』(02)や『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』(10)でタッグを組んでおりますが。

今度の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(20)の音楽はハンス・ジマーになりましたが、新たな俳優が7代目007を襲名した時、再び音楽担当がアーノルドになるのか、それともまた別な作曲家が招聘されるのか、サントラリスナー的には大変気になるところです。

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