ジョゼ・パジーリャ監督もいろいろ大変だったらしいリブート版『ロボコップ』

robocop

「あの『ロボコップ』(87)をリメイクするの?」と当初は不安要素しかなかったものの、
『エリート・スクワッド』シリーズのジョゼ・パジーリャが監督するということだったので、
若干期待値を上げて新生『ロボコップ』(14)を観て参りました。

感想はというと、「思ったよりいい出来だったけど、何か物足りない映画」でした。
学生時代にやんちゃでやりたい放題だった奴が、
社会人になって妙に常識的な人間になってしまったような…。
そんな感じ。

スラムのギャングを容赦なく痛めつけて、
頭にビニール袋を被せて拷問するブラジル特殊警察部隊BOPEを描いたパジーリャが、
ヴァーホーヴェン印の過激なバイオレンス満載だった『ロボコップ』のリメイクで、
何でこんなアッサリしたアクション描写で落ち着いてしまったのか。
わざわざブラジルからパジーリャを招聘した意味ないのでは…?とも思いました。

で、気になってちょっとばかり調べてみたら、
まぁいろいろと裏事情が見えてきたのでした。

どうやらパジーリャ監督とマーフィー役のジョエル・キナマンは、
ハードなR指定バージョンを推していたらしいのですが、
スタジオ側からレーティングがPG-13で済むようにしてほしいと言われたのだとか。
当初の金額より予算オーバーしてしまった製作費を興行収入で回収するため、
レーティングを下げて、幅広い年齢層を集客しようと考えたのでしょう。
関連グッズ(フィギュアとか)の収入なども考えていたでしょうし。

パジーリャ監督も撮影中はかなりのストレスだったらしく、
同郷のフェルナンド・メイレレス監督に、
「10個アイデアを出しても9個ボツにされる」
「人生で最悪の経験」
「もう二度とこんな思いはしたくない」…と辛い心境を吐露していたそうなので、
「自分のやりたいように撮らせてもらえなかった」というのが本音なのでしょう。
(このトピックスはウィキペディアにも載ってました)
『トロピック・サンダー』でスティーヴ・クーガンが演じていた、
英国出身の映画監督デミアン・コックバーンと同じ状況に直面してしまったと。

 

「れば」「たら」の話をしても仕方がありませんが、
もしパジーリャが『エリート・スクワッド』魂全開で『ロボコップ』を撮っていたら、
きっとバイオレンスとブラックユーモア、
鋭い社会風刺が絶妙なバランスでブレンドされた傑作になっていたかもしれません。
ゲイリー・オールドマン、マイケル・キートン、
ジェイ・バルチェル、ジャッキー・アール・ヘイリー、
そしてサミュエル・L・ジャクソンという”濃い”面々を揃えたのに、
このアッサリ感は正直勿体ない。
ただ、マーフィーの妻役にアビー・コーニッシュを起用しただけあって、
家族の描写(父と子、夫と妻の関係)はなかなか力が入ってましたが。
『エンジェル ウォーズ』(11)のスイートピー役と『リミットレス』(11)を観て以来、
ワタクシこの女優さんを贔屓にしております。

マーフィー=ロボコップをさんざん「ブリキ男」とイジメたマトックスとは、
1対1でマーフィーの気が済むまで対決させてあげたかったですね。
それこそ1作目のマーフィーとクラレンスみたいに。
今回のは何か呆気ない決着のつけ方だったなぁ、と。

 

リメイク版『トータル・リコール』(12)を観た時にも思ったことですが、
ヴァーホーヴェンの映画をリメイクするのに、
バイオレンス描写とブラックユーモアを薄めたら魅力半減ですね…。
今回の『ロボコップ』は、ロボコップがMADE IN CHINAなのと、
ノートン博士の研究所が中国にあるところが、
最もキレのあるブラックユーモアだったかもしれません。
「ノートン」「中国」と聞いて、
数年前に某セキュリティソフトのサポートセンターに問い合わせたら、
大連に繋がったことを思い出してしまいました。

音楽については、また次回書かせて頂くこととします。

 

 

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