ピノ・ドナッジオの新作サントラを聴けることにも意義がある――『ドミノ 復讐の咆哮』

先日、映画情報サイトBANGER!!!に、『ドミノ 復讐の咆哮』(19)の見どころ&音楽紹介コラムを書かせて頂きました。

巨匠ブライアン・デ・パルマ監督最新作!
職人芸の映像テクニックとサスペンスフルな音楽『ドミノ 復讐の咆哮』 | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/27829/ #BANGER

この映画、撮影中に資金調達トラブルがあったとか、
本来もっと長かったのに89分にカットされたらしいとか、
いろいろゴタゴタがあったと聞いていたので、
映画本編を観るまで正直「大丈夫かな…」と心配しておりました。

でも映画を観てみたら、思った以上にちゃんとデ・パルマ映画していてひと安心。

以前、坂本龍一が『ファム・ファタール』(02)の時のインタビューで、「デ・パルマ監督のすごさは、いつも最初の15分に集約されている。こんな15分を撮れる監督はほかにいない」 …というようなことを言っていましたが、確かに今回も最初の15分(クリスチャンとラースの前振りが少しあるから18分かな?)が見応え満点でした。
屋根の上のチェイス・アクションシーンだったわけですが、クラシックなスリラーの雰囲気が濃厚に漂っていて最高でしたね。。
「スリラー映画というのは、やたらカメラを揺らしたり、カットを細かくすればいいというものではない!」というデ・パルマのポリシーがビシビシ伝わってくる名場面でした。

もっとも、クリスチャン(ニコライ・コスター=ワルドー)とアレックス(カリス・ファン・ハウテン)がお互いに自宅の電話で会話するシーンは、「スプリット・スクリーン+スロー・ズームショット」で見せてほしかったな、という気はしましたが。

映画本編で「ここを観て頂きたいな」ということは、ほぼ全てBANGER!!!に書いてしまったので、ここではドナッジオの音楽についてもう少し詳しく書かせて頂きます。

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アレクサンドル・デスプラの室内オペラ「サイレンス」を観てきました。

先日お休みを頂きまして、神奈川県立音楽堂で行われたアレクサンドル・デスプラのオペラ「サイレンス」を観てきました。
その2日前にアンスティチュ・フランセ東京で行われたデスプラ様とソルレイ様のトークイベントも観てきたので、2泊3日の東京滞在でした。

川端康成の「無言」を原作にしたオペラということで、かなり難解な内容なのではないかと考えていたのですが、実際に鑑賞してみたら、思ったよりすんなりとオペラの世界に入っていけました。

登場人物が3人で物語が追いやすかったのと、絶妙なタイミングで”語り”が入ったので話を整理しやすかったこと、ミニマルな空間演出と研ぎ澄まされた音楽で、鑑賞中の集中力が途切れなかったことが大きかったのかなと思います。

「サイレンス」の劇中音楽は「登場人物が3人」ということで、舞台も「手前」、「奥」、「スクリーン」の3つだったし、アンサンブル・ルシリンも雅楽の楽器編成の方法に倣っていて、3グループ編成でフルートとクラリネットと弦楽器が3人ずつ(+パーカッション奏者)でした。

デスプラ様は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)でも、4姉妹のために弦楽器4種(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)とピアニスト2人(=手が4つ)という楽器編成の方法を使っていたので、「なるほど」と思いました。ここ最近『若草物語』のサントラを聴いていたのも無駄ではなかったようです。

そんなこんなで終演後、ワタクシ幸運にもデスプラ様に少しお会いできる機会に恵まれました

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『フォードvsフェラーリ』は、スコアアルバムとコンピレーションアルバムの両方が欲しくなる音楽でした。

先週『フォードvsフェラーリ』(19)を観てきました。
ワタクシはマルコ・ベルトラミの音楽が一番楽しみだったのですが、今回は思いっきりギターロックを鳴らしていて、映画本編に負けないくらい面白い音楽に仕上がっていました。

で、ブログで何か書こうと思っていたのですが、どうせなら1月のBANGER!!!コラムでスコアの聴きどころをしっかりご紹介しようと思い、ブログ用にストックしていたネタを全てBANGER!!!のコラムで使うことにしました。

多彩なギターサウンドとエンジン音が融合『フォードvsフェラーリ』のパワフルな音楽 | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/26569/

マルコさんのスコアの聴きどころについては上記BANGER!!!コラムをご覧頂くとして、ここではその補足的なネタを書かせて頂きたいと思います。

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9年来の宿願叶う――『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』サントラ盤の音楽解説のお仕事

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(19)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
音楽担当は前作・前々作に続いてジョン・パウエル。
既にtwitterや当方のブログでお伝えしておりますが、ランブリングさんのBack Lot Music正規輸入盤15タイトル一挙リリースの際に、映画の邦題が決まる前の5月頃に音楽解説原稿を書いたので、『ヒックとドラゴン3』のタイトルでサントラがリリースになってます。

ワタクシは80年代にナムコの『ドラゴンスピリット』、90年代にビクター音産の『サンサーラ・ナーガ』シリーズをプレイしまくったので、
「竜で空を飛ぶ(竜と共に空を飛ぶ)」
「竜と共に生き、共に成長する」

…というストーリーの『ヒクドラ』シリーズが大好きなのであります(『サンサーラ・ナーガ』1作目の主人公はレベルアップしないだろ、というツッコミはさておき)。
そしてパウエルの音楽も『フェイス/オフ』(97)の頃からずっと聴いてます。

しかし第1作の音楽解説はほかのライターさんの担当になり、
第2作は国内盤サントラが発売されず…というか、
映画自体が当時まさかの劇場未公開で、
仕事の機会が全然訪れなかったんですね。。
それゆえ今回遂にお仕事を頂けて、喜びもひとしおだったのですが、同時に少々ハードな仕事でもありました。

『ヒクドラ3』の音楽については、サントラ盤のライナーノーツとBANGER!!!のコラムでいろいろ書かせて頂きましたので、こちらのブログではややパーソナルなネタを書かせて頂きます。

なおBANGER!!!コラムは下記の通り。

『ボーン・アイデンティティー』作曲家が音楽で人間とドラゴンの絆を彩る『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』 | BANGER!!!
https://www.banger.jp/anime/24833/ #BANGER

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マヤ・ホーク&ジェシー・ハリス インタビュー at ブルーノート東京こぼれ話

BANGER!!!のwebサイト上にも記事がアップされていますが、先日マヤ・ホーク with ジェシー・ハリスのブルーノート東京公演があった際、 楽屋でマヤさんとジェシーさんにインタビューして参りました。

『ストレンジャー・シングス』ロビン役マヤ・ホークが音楽活動もしてるって知ってた? ジェシー・ハリスとのコラボレーションについて語る | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/23477/

『ワンハリ』出演の女優&歌手マヤ・ホークの音楽Pはイーサン・ホークの旧友ジェシー・ハリス! 2人の来日インタビュー | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/23479/

ワタクシは初日の公演を観に行きまして、
インタビューは2日目に行いました。

前回のクライド(・ローレンス)さんへの対面インタビューの時は『Re:LIFE リライフ』(14)のサントラ盤用インタビューで既にやり取りがあったので、そういった点での安心感のようなものがあったのですが、マヤさんとジェシーさんとは初対面。正直かなり緊張しておりました。

ところがいざ楽屋でマヤさんとジェシーさんにお会いしたら、
お二人ともすごく気さくないい人だったので、
依然緊張はしていたものの、
不安になることなくインタビューさせて頂くことが出来ました。

インタビュー内容についてはBANGER!!!のコラムをご覧頂くとして、
ここでは字数の都合でコラムで書き切れなかったことや、
マヤさんとジェシーさんのインタビュー中の様子などを少しご紹介しようかなと思います。

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