サウスボストン発、荒くれ野郎どもの人情ドラマ『クロッシング・デイ -What Doesn’t Kill You-』

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名バイプレイヤー、ブライアン・グッドマンの初監督作品。
ブライアン・グッドマンの出演作で最も有名なものといえば、
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)のルーカス・ブラックの父親役でしょうか。

イーサン・ホークが出演しているという事で、
『クロッシング』(09)と『トレーニング デイ』(01)に便乗したような邦題になってますが、
原題は『What Doesn’t Kill You』(08)といいまして、
監督・脚本を手掛けたブライアン・グッドマンの半自伝的な物語なのだそうです。
マーク・ラファロの役名がブライアンなので、ラファロのキャラがグッドマン本人という事なのでしょう。

予告編やDVDのジャケットを見ると、
「サウスボストンを舞台にしたクライム・アクション」みたいな印象を受けますが、
どちらかというとヒューマンドラマ作品です。

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『Enjoy The Ride+Master Plan』製作ノート(その4)

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3/27発売のエリオット・ルイスのニューアルバム『エンジョイ・ザ・ライド+マスタープラン』の製作過程を振り返る、不定期連載コーナー。

少々ごぶさたしてしまった今回は、
日本版の仕様についてついて書かせて頂きたいと思います。

このブログで散々書かせて頂いた通り、今回のエリオットさんの新譜は『Enjoy The Ride』と旧アルバムの『Master Plan』を2枚組にしてリリースする事にしたわけですが、2枚組にしてもやっぱりお値段はフツーの洋楽CD1枚ぶんと同じ価格にした方がいいよなー、と思いました。

となると、「いかにして製作費を抑えるか?」という問題が出て参ります。
製作費は削りたいけど、元々の輸入盤よりクオリティを落とす事はしたくない。
日本盤用に何を残して、何を省くか。
何を追加して、何を削るか。
そのあたりを考えなければいけません。

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『L.A.ギャングストーリー』の音楽

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というわけで前回の続き。
『L.A.ギャングストーリー』(12)の音楽についてでございます。

この作品、当初は音楽担当がカーター・バーウェルとアナウンスされていたのですが、最終的には『トランスフォーマー』シリーズでおなじみのリモート・コントロール(以下RC)所属アーティスト、スティーヴ・ジャブロンスキーがスコアを手掛けました。

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『L.A. ギャングストーリー』/いい面構えの役者たちを総チェック!

Gangster Squad

舞台設定とキャストの顔ぶれを観た時から期待していたのですが、
いや実に痛快なハット・スクワッド映画でございました。

『アンタッチャブル』(87)、『狼たちの街』(96)、『パブリック・エネミーズ』(09)、
『L.A. コンフィデンシャル』(97)、『ブラック・ダリア』(05)、
TVシリーズの『クライム・ストーリー』あたりが好きな人ならどっぷりハマれる、
「男が男(=漢)であった時代」の物語。シビれますねぇ。

40年代が舞台とはいえ、意外と作りが現代風なのがこの映画のポイント。

上記の作品がどこか後味の悪い結末(←ハードボイルドの定番)だったり、
暗くてどんよりしたトーンの物語だったりするのに対して、
『L.A. ギャングストーリー』(12)は完全に娯楽映画に徹しているのですね。

荒くれ刑事たちは「法で裁けぬ悪党は法を超越した軍団でブッ潰す」という信念を決して曲げません。
あたかもこの映画の監督や製作者たちが、
「警察の超法規的活動は是か非か?というテーマは重要ではありません」と言っているかのように。
仲間の殉職すら「行き過ぎた暴力に疑問を投げかける要素」でなく、
熱い男のドラマとして昇華させてしまう。
映画の中であれだけ銃をブッ放しておきながら、
最後は男と男の殴り合いでケリをつけさせるという男気溢れるクライマックスもアツすぎます。
ま、簡単に言ってしまえば非常にスカっとする映画なのです。

それにしてもこの映画にはいい面構えの俳優が揃ってますねー。

リーダーのタフガイ(ジョシュ・ブローリン)、ヤサ男(ライアン・ゴズリング)、古参のガンマン(ロバート・パトリック)、その舎弟(マイケル・ペーニャ)、頭脳派(ジョヴァンニ・リビシ)、武闘派(アンソニー・マッキー)と”いかにも”なキャラが揃ったロス市警ギャング部隊も最高だし、『狼たちの街』でハット・スクワッドのリーダーを演じたニック・ノルティが彼らの上司というキャスティングも秀逸。ミッキー・コーエン役でキレ演技を披露するショーン・ペンも、娯楽映画に徹しきったヤクザ芝居が痛快です。ちなみに「ボクシングの試合で顔が崩れた」という設定の特殊メイクは、毎朝3時間かかったらしい。

男臭い映画に華を添えるグレイス・ファラデー役のエマ・ストーンも最高ですねー。『ラブ・アゲイン』(11)を観ていると、ゴズリングとの恋のさや当てはほとんどギャグに見えてしまうのですが、それがまたイイ。クラシックなメイクもお似合いです。

…と、まぁここまでは割とメジャーな顔ぶれだし、パンフレットにも写真付きで顔と名前が載っているので、このブログではパンフでフォローされてない”いい面構えの脇役たち”をざざーっと紹介していきたいと思います。

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マイケル・ダナ名作選 / アトランティスのこころ (2001)

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『ケルティック・ロマンス』のアーティスト、マイケル・ダナ&ジェフ・ダナのフィルモグラフィーを振り返る不定期連載企画。ちょっとご無沙汰してました。

現在、スティーヴン・キングの新刊『ビッグ・ドライバー』を読んでいるところなので、今回はキング作品繋がりで『アトランティスのこころ』(01)をご紹介したいと思います。

この映画が公開された頃は、確か「『スタンド・バイ・ミー』(86)の二番煎じ」みたいな言い方をされて不当に評価が低かった記憶があります。確かに「少年時代の親友の死を知った主人公が、当時の事を回想する」という導入部は似てますが、だからと言ってその批評はあんまりではないかと。僕個人としては『スタンド・バイ・ミー』よりも好きな作品です。

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