『スーサイド・スクワッド』は既製曲よりスティーヴン・プライスの音楽をもっと聴きたかった…の巻

suicide-squad

先週『スーサイド・スクワッド』(16)を観てきました。
ド派手なポスタービジュアルからもっとアナーキーな内容を想像していたのですが、
デヴィッド・エアー監督にしては思ったより無難にまとめたような印象でしたね。。

荒くれ者集団のアナーキーっぷりなら『サボタージュ』(14)の面々のほうがいい感じにブッ壊れてたし、
捨て駒部隊の悲哀というテーマも『フューリー』(14)のほうが真に迫っていたし、
何だか不完全燃焼な感じがして仕方がない。

続きを読む

『ハイ・ライズ』は音楽でも階級社会を痛烈に風刺する。

high-rise

都内での劇場公開から遅れること約一ヶ月、
先日遅ればせながらヒエラルキー崩壊スリラー『ハイ・ライズ』(15)を観てきました。

そういう映画だということは分かっていましたが、
ポスタービジュアルなどでスタイリッシュさを前面に出しつつ、
映画開始数分でゴミ屋敷のような不潔でカオスな映像を見せられるという構成が強烈でしたね。。。
その後はエロ・グロ・インモラル・デカダンスな展開の連続。

 

「上層階に行くにつれて住民が富裕層になっていく」
「電力などの供給は上層階優先」
「下層階の住人の陳情は基本的に後回し(もしくは放置)」
…というとんでもないマンションですが、
「入居時に管理者側からルールの説明があったんじゃないの?」と思ったものの、
マンションの設計者ロイヤル氏(ジェレミー・アイアンズ)の言動を見ていると、
たぶん肝心なことは一切説明しなかったんだろうなと思いました。
こんなマンション、お金があっても絶対住みたくない…。

ことほどさようにイギリスの階級社会を痛烈に皮肉った本作ですが、
音楽もなかなかシニカルでした。

 

続きを読む

『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』のジョン・ウィリアムズは音楽で”夢”を描くの巻

BFG_JP

エイベックス&ウォルト・ディズニー・ジャパン様からのご依頼で、
『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(16)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

音楽はみんな大好き巨匠ジョン・ウィリアムズ。
ウィリアムズの健康上の理由もあり、
スピルバーグの前作『ブリッジ・オブ・スパイ』(15)の音楽はトーマス・ニューマンでしたが、
本作でスピルバーグ×ウィリアムズのコンビが復活しました。
御年84歳ともなると、いろいろ心配してしまいますからね。。
YouTubeで『BFG』のレコーディング風景を見ましたが、
ウィリアムズがお元気そうだったので安心しました。

 

続きを読む

シンフォニックでグルーヴィー。ブライアン・タイラーが『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』で目指した曲作りとは?

now you see me 2

先日の『キング・オブ・エジプト』に続いて、
ランブリング・レコーズ様からのご依頼で『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(16)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
音楽は売れっ子&イケメン映画音楽家のブライアン・タイラー。

1作目の『グランド・イリュージョン』(13)は映画もヒットしたし音楽の評価も高かったのに、
サントラはダウンロード形式のみ、しかも日本のストアでは取り扱いなしという仕様だったので、
日本のタイラーファンは激しく落胆したわけですが(自分だけか?)、
今回は無事CDアルバム形式で発売されることになりました。

続きを読む

『キング・オブ・エジプト』は映像も音楽もゴージャスだぜ!!!の巻

gods of egypt

先頃ランブリング・レコーズ様のご依頼で、
『キング・オブ・エジプト』(16)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
音楽を手掛けたのは売れっ子作曲家のマルコ・ベルトラミ氏。

ワタクシ、マルコさんのサントラは過去に何度かライナーノーツを担当させて頂いておりまして、
(『アイ,ロボット』(04)、『フライト・オブ・フェニックス』(04)、『ダイ・ハード4.0』(07)、『スパイ・レジェンド』(14)の計4回)
時々ご本人にもインタビューしたりなんかもして、
ワタクシが駆け出しの物書きの頃からお世話になっているのでした。

今回は原稿の締切まで比較的日数の余裕があったので、
久々にご本人に直接お話を伺うことが出来ました(いわゆる独占インタビュー)。
マルコさんにコンタクトを取った時の第一声(?)が、

「おお、久しぶり!元気だった?」
「『キング・オブ・エジプト』の音楽解説書くの?そりゃよかったじゃないか!」

…みたいな感じだったのはちょっと嬉しかったですね~。

というわけで『キング・オブ・エジプト』の詳細な音楽解説については、
マルコさん本人のコメントが載った国内盤ライナーノーツを読んで頂きたいと思いますので、
ここでは音楽の概要や、
字数の都合で原稿に書けなかったこと、
ライナーノーツには使えないなーと思ったボツネタなどを書かせて頂きたいと思います。

 

続きを読む