『Man of Steel』デラックス版サウンドトラックの中身

man of steel_Deluxe Edition

恐らく熱烈なジマー・ファンの大半はこちらを買ったと思われる、
『マン・オブ・スティール』(13)の数量限定デラックス盤。
映画のタイトルにちなんで、スティールケースに入っております。

“Experiments from The Fortress of Solitude”と題されたDisc 2の中身は、

1. Man of Steel (Hans’ Original Sketchbook) 28:11
2. Are You Listening, Clark? 2:39
3. General Zod 7:07
4. You Led Us Here 2:51
5. This is Madness! 3:38
6. Earth 6:13
7. Arcade 7:25

…の全7曲。

続きを読む

いろいろスゴい『Man of Steel』の音楽

man of steel

ハンス・ジマーの事だから、きっと壮大な音楽なんだろうなーとは思っていたし、
去年の10月頃にベテラン音楽監督のボブさんから、
「いまハンスが隣で曲を作っとるんだが、
今度の『マン・オブ・スティール』(13)の音楽は本当にグレイトだぞ!」
…というようなメールを貰っていたので、期待値は上がる一方だったのですが、
実際にサントラを聴いてみたら確かにスゴかった。いろんな意味で。

続きを読む

Johnny Marr -The Messenger-

Johnny Marr_The Messenger

ジョニー・マーがThe Smiths→The Pretenders→The The→Electronic→Modest Mouse→The Cribsと渡り歩いて完成させたソロアルバム。
彼名義のソロ(及びソロ・プロジェクト)作品としては、
Johnny Marr and the HealersのBoomslang以来10年ぶりでしょうか。
今回のニューアルバムはCD購入後にかなり聴きまくったため、
ウォークマンの評価が2週間かそこらで☆5つになりました。
個人的に大好きなアルバムです。

…が、しかし。自分の身の回りの反応は何故だかイマイチで、
「ジョニー・マーは歌わないでギター弾いてる方がよかった」
「ジョニー・マーはザ・ザの頃のほうがよかったなぁー」
…と言われてしまい、どうにも肩身が狭いのです。

うーん…そうかなぁ。自分はすごくいいアルバムだと思っているのですが。

  続きを読む

『ザ・ファン』のサントラを補完してみる

the fan

故トニー・スコット監督が「野球の事を全然知らない(興味がない)」のに撮ったというメジャーリーグを舞台にしたサイコ・サスペンス映画『ザ・ファン』(96)。

ロバート・デ・ニーロがうだつの上がらないナイフのセールスマン、ギル・レナード、「黒い中学生」ウェズリー・スナイプスが高給取りのメジャーリーガー、ボビー・レイバーンを演じてます。デ・ニーロがナイフのセールスマンというだけでまず恐い。「ファンはどうでもいい」という”いかにも”な発言をカマすスター選手をイヤミに演じたスナイプスもいい芝居してます。巷の評価はイマイチっぽいですが、僕はこの映画結構好きです。

ボビーの口八丁なエージェント役のジョン・レグイザモ、ボビーのライバル選手プリモ役のベニチオ・デル・トロ、姉御チックなスポーツ記者のエレン・バーキン、放送関係の技術屋役でジャック・ブラック、ギルの元相棒役に『遊星からの物体X』(82)でバケモノになっちゃったチャールズ・ハラハンなど、有名どころの俳優が総出演。

オリジナル・スコア作曲はハンス・ジマー。ギルが「大のローリング・ストーンズ好き」という設定なので、劇中はストーンズの音楽ガンガン!…なのですが、権利関係の都合でサントラ盤には未収録。それだけならまだいいのですが(よくないけど)、その他にも劇中仕様曲がサントラに入ってなくて、その代わりに未使用曲がボーナストラックに入ってたりして、実にありがた迷惑な仕様のアルバムになってます。そういやこの時期にTVT Recordsから出たサントラはこういうのが多かったっけ。

というわけで、サントラ収録曲は以下の通り。

01: DID YOU MEAN WHAT YOU SAID / Sovory
02: LETTING GO / Terence Trent D’Arby
03: UNSTOPPABLE / Mic Geronimo (未使用曲)
04: HYMN OF THE BIG WHEEL / Massive Attack
05: (LET ME UP) I’VE HAD ENOUGH / Kenny Wayne Shepherd
06: LITTLE BOB / Black Grape
07: THE BORDER SONG (HOLY MOSES) / Raymond Myles (未使用曲)
08: WHAT’S GOIN’ DOWN / Honky
09: DELIVER ME / Foreskin 500
10: FOREVER BALLIN’ / Johnny “J” And Big Syke
11: I’M DA MAN / Jeune (未使用曲)
12: SACRIFICE / Hans Zimmer (オリジナル・スコア・メドレー)

ちなみに02はジマー作曲のメインテーマにテレンス・トレント・ダービーが歌詞をつけて歌ったものです。
ジマーのスコアメドレーは19分くらいあります。
ギルの狂気を表現した陰鬱なエレクトロ・スコアがスリリングでいい感じ。

では早速未収録曲を補完して、俺ジナルなサントラを作りましょう。

続きを読む

『THE GREY 凍える太陽』(音楽について)

the grey

『THE GREY 凍える太陽』(11)はリドリー&トニー・スコットの製作会社「スコット・フリー」の作品という事で、音楽担当は『プロヴァンスの贈りもの』(06)以来リドリーお気に入りの作曲家となったマーク・ストレイテンフェルドが起用される事になりました。

ジョー・カーナハン自身はクリフ・マルチネス、クリント・マンセル、アラン・シルヴェストリと毎回違う作曲家と組んでいるので、スコアにはそれほどこだわりがないのか、あえていろんな作曲家と仕事をしてみたいと思っているのか、まぁそのどちらかなのでしょう。

もともとあまり自己主張が強くない音楽を書き下ろす人でしたが、今回は題材がこんな感じなので、ストレイテンフェルドの作風が功を奏しているというか、音数やメロディーをぐっと抑えた虚無感と寂寥感を感じさせるスコアを作り上げています。悲壮感を漂わせたテーマ曲”Writing The Letter”も結構耳に残るメロディーではないかと。「これからヤバい事が起こるぜぇ」という危うい空気感をバスサックスの音色で表現している点もなかなか手が込んでます。

というわけで、手堅い仕事をしているストレイテンフェルドではあるのですが、ハンス・ジマーのもとで下積みをした作曲家でありながら、個人的にはリモート・コントロール色が極めて薄い音楽を作る人という印象があります。

続きを読む