ボーン・レガシー(映画について)

the bourne legacy

CIAの凄腕暗殺者ジェイソン・ボーンを巡る一連の騒動は、
前作『ボーン・アルティメイタム』(07)で一応完結。

ポール・グリーングラスは「もうこのシリーズの監督はしない」と言い、
マット・デイモンは「ポールが登板しないなら自分も出演する事はないだろう」と言い、
製作総指揮のダグ・リーマンもシリーズから離れたわけですが、
それでも「このシリーズはまだ稼げるから続編作るぜ!」ってな感じで「番外編的続編」を作ってしまうあたり、さすがハリウッドですな。
いい意味でも悪い意味でも…というか、どっちかというと悪い意味で。

ま、フランク・マーシャルといえばやり手のプロデューサーですからね。
自作のクオリティを守るため、スタジオとケンカしまくった面倒くさいリーマン(フランカ・ポテンテの起用を巡ってモメたりもしたらしい)もいなくなったし、シリーズの脚本家トニー・ギルロイに監督させて、自分の作りたいように作るぜーと思った事でしょう。

そんなわけで、これでもかなり期待して『ボーン・レガシー』(12)を観に行ってきました。

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HAYWIRE/エージェント・マロリー(音楽について)

haywire

文章が長くなって前回書けなかった『エージェント・マロリー』(11)の音楽について。
オリジナル・スコア作曲は『オーシャンズ11』(01)のデヴィッド・ホームズです。

スティーヴン・ソダーバーグ映画の常連作曲家といえば真っ先にクリフ・マルチネスの名前が挙がるわけですが、マルチネスは『トラフィック』(00)とか『コンテイジョン』(11)などのシリアスドラマ系、ホームズは『オーシャンズ』シリーズや『アウト・オブ・サイト』(98)のような娯楽映画系、という感じで作品によって作曲家も使い分けている様子(『エリン・ブロコビッチ』(00)と『さらば、ベルリン』(06)ではトーマス・ニューマンを起用してたけど)。

で、この『エージェント・マロリー』のホームズの音楽が実にカッコイイ。

サウンド的には『アウト・オブ・サイト』の流れを組む、ドラムス&ベースのグルーヴで聴かせるクラブ/ジャズ系の音。「もしラロ・シフリンが今風のクラブ/ジャズ系のスコアを書いたら?」みたいな感じのサウンドです。威勢のいいブラスの鳴らし方とか、エレキギターのレトロな音の響きとか、70年代TVシリーズの音楽を彷彿とさせるものがありますな。メロディーを楽しむというより、グルーヴを楽しむスコア。

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HAYWIRE/エージェント・マロリー(映画について)

haywire_poster

映画の日に『最強のふたり』(11)じゃなくて、あえて『エージェント・マロリー』(11)を観に行ったひねくれ者です。ひねくれ者というか、まぁ個人的にスティーヴン・ソダーバーグの映画が好きなので。

女子総合格闘界の人気者、ジーナ・カラーノ主演のアクション映画でございます。

「組織に裏切られた女性エージェントが、復讐のためひとり黒幕に戦いを挑む」というシンプルなストーリーを、時系列のシャッフルとクセモノ俳優たちの勿体ぶったセリフでトリッキーに仕立てた、いかにもソダーバーグ的な構成。アンチ・ソダーバーグな人にはこの手法が「スカした映画撮りやがって」と勘に障るらしい。

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HGUC ハンブラビ

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なぜこのタイミングで?という気もしますが、先頃HGUCシリーズでハンブラビが発売になったので買ってみました。

買っておいてこういう事を言うのも何ですが、僕はハンブラビがあまり好きじゃなかったというか、正直苦手でした。というのも『機動戦士Zガンダム』を放送していた当時、ヤザン・ゲーブル大尉の極悪な戦いっぷりが子供心に恐くて、ややトラウマ気味になったから。

ヤザンの悪行といってすぐに思い出せるのは、

■ドサクサに紛れてジャマイカン少佐を謀殺(まぁこれはスッキリしたけど:笑)
■バッチ中尉のリックディアスをなぶり殺し
■アーガマに帰還しようとした片腕のジムII(ネモカラーのアレ)にトドメの一撃
■ウミヘビで百式をドツいて大気圏に突き落とす
■レコア少尉のメタスをギッタギタに(「男の武器」テールランスの攻撃がアレな感じ)
■Zガンダムにクモの巣攻撃→主人公(カミーユ)に電撃を食らわして気絶させる
■前方不注意で追突事故を起こしたカツにトドメの一撃
■エマ中尉のガンダムMk-IIをボコボコに
■Mk-IIを庇ったラーディッシュを容赦なく撃沈
■パラス・アテネの残骸に容赦なくビームライフル発射(その結果エマ中尉重傷)

…とまぁこんな感じ。恐すぎ。当時バッチ中尉のリックディアス撃墜シーンを見た時は背筋が寒くなりました(妙に生々しく描いてたし)。これで「ヤザンは極悪非道っぽいけど、実は意外と部下の面倒見がいい人」と言われても、小学生の僕には全然ピンと来ませんでしたね…。

そんな自分も30代半ば。そろそろ過去のトラウマと対峙する必要があるのではないかと思い、HGUCハンブラビ購入に踏み切ったわけです(少々大げさですが)。

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